新型センチュリーが背の高いSUVスタイルで登場したのは既報のとおり。リヤゲートも備える、これまでのセンチュリーとは全く異なったボディ形状が特徴的だ。
発表会では2台の新型センチュリーが壇上に登場。何より来場者を驚かせたのは、赤いブレーキキャリパーを装着したGRMNの存在だ。
そのスポーティなテイストはもちろんのこと、リヤドアの分割線が極めて目立たないばかりか、フロントドアのようなドアハンドルもなく、まるで2ドアクーペのような佇まいとなっている。
もう1台の新型センチュリーのリヤドアにはフロント同様にドアハンドルが付いている。この違いが意味するものとはなんだろうか?
乗り降りする人の所作まで考えたシート高
結論から言えばGRMN仕様車のリヤドアはスライドドアだった。アルファード・ヴェルファイアやレクサスLMが高級車となった今、ショーファードリブンのスライドドアは“アリ”なのだろうが、センチュリーにスライドドアが採用されたこと、さらにSUVスタイルのクルマにスライドドアが採用されたことは、非常に革新的であると考えても良いだろう。
発表会でも、2台のセンチュリーの後席からそれぞれパッセンジャーが降りてくるデモンストレーションが演じられた。スイングドアは、これまでのショーファードリブン同様に運転手(あるいはドアマン)がドアを開きパッセンジャーが降りるという流れは変わらない。
一方で、スライドドアはスイッチあるいはリモコンで操作することになるため、運転手やドアマンがドアを開ける動作はほとんどなく、ドア自体の動きもスイングドアより少なく非常に厳かに感じられた。
その様子を動画で見てほしい。
スライド動作はもちろん、最後の部分でも凝った動きをしているのに非常にスムーズな動作なのがお分かりいただけるだろうか。
ミニバンなどではボディサイドにスライドレースが配置され、それを目立たないように処理するのがデザインのポイントになってくるが、新型センチュリーのボディサイドにはスライドレールがあるようには見えず、見事な処理というほかない。
また、SUVスタイルとなっていることからシート高はセダンのそれよりも高くなっている。このシート高が逆にセダンよりも腰の高さが自然で乗り降りしやすいというのもSUVの魅力として語られることも多い。
新型センチュリーでも、このシート高には細心に注意が払われており、乗り降りしやすい自然な高さであることはもちろん、乗り降りする際にパッセンジャーの所作がより美しくなるように配慮されているという。
SUVは基本的に乗用車の延長でスイングドアを採用してきた。しかし、前述のようにミニバンが高級車やショーファードリブンとしても認められるようになってきたことから、高級SUVやその他のショーファードリブンにもスライドドアが採用されるケースが増えるかもしれない。
新型センチュリーがその先駆けになるのだろうか?