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都市型上質SUV=レイバックの狙い
その正体はレヴォーグ『レイバック』だった。期待通り、レヴォーグをベースにアウトバックやクロストレック同様、200mmのロードクリアランスと高い車高を持つクロスオーバーモデルとして新たにデビュー。これで4WD技術を基盤に持つスバルには、オンロード、オフロードともに走りが楽しめるモデルがフルラインアップされたことになる。
そのなかでもレイバックは都市型SUVを目指し、上質感をテーマに開発。室内に目を向けてみればレヴォーグの体育会系イメージとは異なり、ステッチを用いた2トーンカラーののシートやインテリアデザインを採用し、装備面では全車に10スピーカーのハーマンカードンサウンドシステムを奢る。
外観的にはフロントグリルにアクセントのクロームラインを左右に横断させたり、クロスオーバーモデルの特徴とも言えるフェンダーアーチは控えめのデザインとなっている。
ちょっと見では背の低いレヴォーグとの差異はあまり感じられなかった。都市型を謳うモデルらしくオフのイメージを控えると同時に、タワーパーキング等のことも考慮した上でのパッケージングかもしれない。タイヤサイズもクロストレックと同サイズの225/50R18を選んでいる。
走りはしなやか・マイルド
走りはひと言で言えばマイルド。以前のスバル車のイメージは、手応えは重めで入力も全体にしっかり系。最初の強めの入力はあえて許し、それをボディやサスでカバーする印象だった。しかし、レイバックは最初の当たりからしてしなやか。オールシーズンタイヤは緩めのグリップ感と適度なたわみ感を持ち、サスペンションも上下に良く動く。小さな入力や一般道の走りのレベルなら足元の小さな範囲で抑え込んでくれるが、強めの入力では意外なほどボディ大きく動かし対処する。
ステアリングを切っていったときの応答性は素直で、軽めの手応えながらもノーズは旋回ラインにスッと入っていってくれる。路面変化やさらに回り込んでいくようなコーナーでは切り増しすることでロール量は増し、旋回力もやや落ちる。時にズシリと底を打つような印象もあることから、攻めに対してはちょっと弱い。しっとりと滑らかに走らせてこそ、このクルマの良さは光ってくる。
それだけに高速ドライブや街乗りなどでは力まずにドライブできるだろうし、雪道などにおいては逆に唐突な滑りから解放されて落ち着いた走りが楽しめるに違い無い。
パワーフィールは1.8L直噴ターボとリニアトロニックCVTとの組み合わせによって、ターボの効き始めと同時に変速感が出てしまい、ダイレクト感は薄い。マニュアルモードでステップシフトを行なうことで、中速域の太いトルク感を味わうことができる。
走行モードやシフトモードを選択することでレヴォーグ同様の力強さを味わえる上に、通常モードにおいては足元の大きな動きに合せて穏やかな走りを演出し、ドライバーを選ばぬ多彩な味わいを持つ。
最近のスバルの最新モデルはどれに乗ってもカドのない乗り味や、穏やかなパワーフィールを持つなど、粗削りなイメージは陰を潜めて、まさに全社あげての都市型仕様にシフト中だ。そんななかでレイバックは、たっぷりとしたロードクリアランスでオフをこっそりサポートしつつも、カドのない乗り味とゆったり感で走りを全方位でカバー。都市型SUVの魅力を持つと同時に、今のスバルを代表する大型新人として今後の動きから目が離せない。
スバル・レヴォーグ レイバックLimited EX(プロトタイプ) 全長×全幅×全高:4770×1820×1570mm ホイールベース:2670mm 車両重量:1600kg 乗車定員:5名 最小回転半径:5.4m 燃料タンク容量:63ℓ エンジン 型式:CB18 形式:水平対向4気筒DOHCターボ 排気量:1795cc ボア×ストローク:80.6mm×88.0mm 圧縮比:10.4 最高出力:177ps(130kW)/5200-5600rpm 最大トルク:300Nm/1600-3600rpm 燃料供給方式:筒内直接噴射 使用燃料:無鉛レギュラーガソリン 燃料タンク容量:63L トランスミッション:チェーン式CVT(リニアトロニックCVT)