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レクサスの最高峰である「L」を冠したモデルは、セダンのLS、クーペのLC、SUVのLXがこれまでラインナップされてきた。そこに新たにミニバンの「LM」が加わった。
発表自体は先代モデルからLMのメイン市場である中国を筆頭としたアジア圏を見据える形で、2023年4月に開催された上海モーターショーで発表されている。
アジア圏では高級ミニバンがラグジュアリーカーとして認識されており、LMも先代モデルが人気を集めており、モデルとしては二代目になる。先代モデルは日本での発売はなかったが、新型は上海モーターショーでの「今秋日本発売」の発表どおり2023年10月19日に正式発売となった。
2000万円はレクサスブランド最高額
概要は上海モーターショーの段階である程度公開されていたものの、日本での販売価格については発表されていなかった。今回の発売にあたり、改めて価格が発表されたわけだがその金額は2000万円と設定された。
MotorFan.jpは日本での販売価格を、他導入国での価格と比較して1400万円〜と予想したが、それを大きく上回る結果となった。
LMは今回の発売時点ではパワートレーンも1種類として完全なワングレード展開となっており、価格もオプションを除いた価格で2000万円となっている。
車名名は「LM500h」で、グレード名は「”EXECUTIVE”」。T24A-FTS型2.4L直列4気筒DOHCターボにハイブリッドに6速AT「Direct Shift-6AT」を組み合わせたAWDをドライブトレーンとしている。
車名 | LM500h |
グレード | “EXECUTIVE” |
パワートレん | T24A-FTS型2.4L直列4気筒DOHCターボ +ハイブリッド「eAxle」 |
トランスミッション | Direct Shift-6AT |
駆動方式 | AWD |
価格 | 2000万円 |
ボディカラーは「ソニッククォーツ」「ソニックチタニウム」「グラファイトブラックガラスフレーク」「ソニックアゲート」の4色を設定している。
なお、レクサスブランドではLSが1799万円(LS500h”EXECUTIVE Advanced Drive”)、LCが1550万円(LC500 Convertible)、LXが1800万円(LX600″EXECUTIVE”)となっており、LMがレクサスブランド最高額車となった。
昨今は自動車業界や世界経済を取り巻く諸問題から発生するデリバリー遅延に対処するため、発売初期段階ではグレードを絞るケースが見受けられるが、LMは後から新グレードの展開はあるのだろうか?
全長は5オーバー! 広大な室内空間を生む3mのホイールベース
LMはボディこそミニバンの形状をしているが、新たなフラッグシップとなるラグジュアリーカー。全長5125mm×全幅189mm×全高1955mm(19インチホイール車)とホイールベース3000mmというサイズを4名乗車として、完全なショーファードリブンとして仕立てられている。
全長 | 5125mm |
全幅 | 1890mm |
全高 | 1955mm(19インチホイール) 1945mm(17インチホイール) |
ホイールベース | 3000mm |
ホイールサイズ | 19インチ/17インチ |
車両重量 | 2460kg |
アルファード/ヴェルファイアに設定のないターボハイブリッド「DIRECT4」
パワートレーンとなる「2.4L-T HEV DIRECT4」はT24A-FTS型2.4L直列4気筒DOHCターボにパラレルハイブリッドと6速AT「Direct Shift-6AT」を組み合わせ、リヤに高出力モーター「eAxle」を搭載するAWD。
余裕のある駆動力と走行状況に応じた緻密な制御で、ダイレクトかつトルクフルな走りに加え快適な乗り心地を実現している。
エンジン | T24A-FTS 2.4L直列4気筒ターボハイブリッド |
ハイブリッドシステム | パラレルハイブリッド |
トランスミッション | Direct Shift-6AT |
駆動方式 | AWD |
エンジン最奥出力 | 275ps/6000rpm |
エンジン最大トルク | 46.9kgm/2000-3000rpm |
モーター最高出力 | フロント:87ps リヤ:103.2ps |
モーター最大トルク | フロント:29.8kgm リヤ:17.2kgm |
システム最高出力 | 371ps |
燃費(WLTC) | 13.5km/L |
0-100km/h加速 | 8.2秒 |
静粛性と上質な乗り心地を極めた足まわり
サスペンションはフロントがマクファーソン式ストラット、リヤがトレーリングアーム式ダブルウィッシュボーン。路面や走行状態に応じて瞬時に減衰力を切り替えることができるリニアソレノイド式あくちゅーえーたと周波数感応バルブを組み合わせた「周波数感応バルブ付きAVS」をレクサスでは初めて採用し、あらゆる速度域で上質な乗り心地を実現した。
新規開発のアルミホイールは17インチにはアウターリムを中空化して気柱共鳴音を低減して静粛性を高めたノイズリダクションホイールとなっている。19インチは鍛造ホイールで、17インチと同等の質量を実現。バネ下重量を軽減している。
48インチディスプレイを備えた4名乗車のショーファードリブン
LMの特徴のひとつは後席も2名席とした4名乗車であること。しかも、前席と後席の間には48インチ大型ワイドディスプレイを備えたパーティションを設けており、後席のパーソナル感を高めている。一方でディスプレイ上部は昇降/調光ガラスを設定。前方視界がもたらす開放感とプライバシーを両立する。
48インチディスプレイは横長1画面、左右2画面、中央1画面の使用が可能。HDMI端子を2つ用意しており、PCなどと接続してリモート会議にも対応。画面で片方を資料、片方を会議画面といった使い方も想定されている。
オーディオには23スピーカーからなる「Mark LevinsonTM* Reference 3D Surround Sound System」を採用し、上質で奥深いサウンドが楽しめる。
パーティション下部にはラゲッジスペースを設け、中央部は750mlのシャンパンボトルなら3本、500mlペットボトルなら6本が入る冷蔵庫を設置している。
シートはオットマンやシートヒーター、シートベンチション、大型ヘッドレストを備えたパワーシートで、抜群の座り心地を提供するだけでなく、レクサス最高級本革である「L- ANILINE」が上品な質感を演出している。
さらにシートバックとシートクッションには大腿部から背中までを押圧するリラクゼーション機能まで備え、最高のリラックス空間となっている。
インテリアカラーはソリスホワイトとソニックチタニウムを設定。また、室内の加飾には日本古来より縁起が良いとされる「矢羽根」をヘリンボーン柄杢で再現。インパネやフロントコンソール、リヤオーバーヘッドコンソールに採用している。
もちろん、脱着可能なタッチ式コントローラータイプのリヤマルチオペレーションパネルを備えており、リヤクライメイトコンシェルジュ、シート、オーディオ、14色のテーマカラーを用意した室内イルミネーションなどの照明の操作ができる。
運転に集中しやすい「Tazuna Concept」
運転に集中しやすいシンプルな空間とドライバーが意のままに操れる操作系を目指した「Tazuna Concept」を体現するコックピット。前方と室内のスムーズな視線移動に配慮し、ヘッドアップディスプレイ、12.3インチフル液晶メーター、14.1インチセンターディスプレイを配置。合わせて走行系のインターフェースをステアリング周辺に集約した。
運転席に8Way、助手席4Wayのパワーシートはセミアニリン本革表皮とし、シートヒーターとシートベンチレーションを設定する。リラックスできドライビングに集中できる高機能かつ上質なシートではあるが、やはりラグジュアリーさではリヤシートには譲るようだ。
LMはトヨタ・アルファード/ヴェルファイアと兄弟車であり、装備や機能など準ずる部分もある。アルファード/ヴェルファイアもトヨタのトップクラスのラグジュアリーカーであるためだが、LMは4名乗車のみの設定とアルファード/ヴェルファイアには設定されていないターボハイブリッドをパワートレーンとすることでさらなる上級感を打ち出してきた。
それにしてもワングレードで2000万円というセンチュリー(セダン)並みの設定は驚きだ。レクサスの他車種を見てもワングレード展開は例が無く、今後、新規グレードや特別仕様車、3列目シート仕様の設定もあるかもしれないが、おそらくこのLM500hがトップグレードになるのではないかと思われる。