[トラック大好き]三菱ふそうの新型スーパーグレートが世界初公開!【ジャパンモビリティショー2023】

「トラックもカーボンニュートラル」。しかし言うは易し行うは難し。三菱ふそうバス・トラックは交換式バッテリーというユニークなシステムで解決を図る。
三菱ふそうバス・トラック株式会社代表取締役・CEO:カール・デッペン氏

三菱ふそうのCEOであるカール・デッペン氏は、同社の掲げる「2039年までにバリューチェーン全体でカーボンニュートラル達成」という目標について触れ、製品ポートフォリオのすべてのセグメントにおいて「エレクトリックモデルを展開する」と言及した。

最新の事例が、ブース内にも展示されるeキャンター。今回のJMSにおいてはダンプ車両とごみ収集車の2種を展示した。

eキャンター:ごみ収集車仕様。ePTO:モーター式の動力取り出し装置を備えることでフル電動化、今回のJMSではダンプ仕様も展示された。
ごみ収集車仕様の電動パワートレーン。110kW/430Nmのパフォーマンスで、後輪駆動。もちろんプロペラシャフトレス。

しかし、BEVとなると気になるのが充電。トラックともなるとバッテリー総電力量も乗用車に比べて相対的に大きく、すると充電時間はさらに長くなり――というスパイラルに陥ることが想像できる。三菱ふそうはその課題を、バッテリー交換式モデル/交換ステーションという手段で解決を図る。アメリカのアンプル社と共同実証を進めるこのシステムは、交換ステーションに入庫したeキャンターからバッテリーパックを外して充電済みのそれと入れ替えるというもの。所要時間は5分を目標としていて、実際のデモンストレーションでも提唱する時間の短さを実感できた。

デモンストレーションの様子。リフトで車両全体を持ち上げ、下からモジュールを交換する方式。
モジュールを差し込む直前。装着後のグラウンドヒットによる損傷が懸念されるが、ケースの底部を厚く頑丈にすることで対処している。

BEVで多く用いられる三元系リチウムイオンバッテリーセルは扱いがシビア。とくに大電流を用いる急速充電やフル加速ではその傷みが加速する傾向にある。あらかじめ、バッテリーに負荷を与えない充電を済ませたパックと交換ステーションで取り替えるだけ、というフローにすることで、リチウムイオンバッテリーを大切に使うという目論見だ。本年の冬には日本国内において試験車両の走行を実施する予定。

ブースでは非接触式充電システムも提案されていた。トラック用の充電ケーブルとなると10m級となり、取り扱うのも一苦労。非接触式とすることでその手間から解放、さらに設備の配置自由度も高まる。
現在の仕様ではギャップ10cm。当然ながらその値では最低地上高の要件をクリアできないだろう。しかし間を大きくすれば充電性能に劣ってしまう。ここの性能をいかに高めていくかが今後の課題のひとつだという。

そしてワールドプレミアのスーパーグレート。新型のエンジン・6R30型を搭載したのがトピックのひとつで、高出力要求と低燃費性能を両立させた。シリンダー配列は直列6気筒で、1-3/4-6番それぞれにターボチャージャーを備える過給システム。変速機については2017年モデルで新規投入したAMT・ShiftPilotを継続使用、ただし新エンジンの出力特性に合わせて制御を新設計した。

アンヴェールの瞬間。赤い車体に赤い照明。加えて今回は内装も赤である。
技術的な説明は副社長の林春樹氏からプレゼンテーションがなされた。

キャブにはノーマルルーフ/ハイルーフに加えて、今回新たにスーパーハイルーフを設定。オーバーヘッドコンソールの容量はもちろんのこと、キャブ内で立っても頭がルーフにつかないという具合に、広大なキャビンを実現した。

室内はゴージャスの一言。先代の内装がブラックとグレーからの選択だったのに対し、新型ではブラックとレッドからのセレクトとした。
スーパーハイルーフの様子。とにかく広く、ひたすら高い。ルーフが荷箱と連続する形状とすることで空力性能の向上も見込めそうだ。

安全装備では「アクティブ・サイドガード・アシスト2.0」がトピック。従来、左折時の巻き込み事故を予防することを目的にミリ波レーダをキャブ左側に備えていたが、新型スーパーグレートでは右側にもミリ波レーダを装着。システムが危険であることを察知すると、20km/h以下のシーンでは被害軽減ブレーキを作動させ緊急停止させる。さらに、装着義務化に先立ち電動パーキングブレーキを装着している。

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