DUNLOP DIREZZAで戦略的に勝負を進めたチーム・ドルーピー、第8戦はGR86&AE85の2台が揃ってベスト16へ進出!!【D1GP AUTOPOLIS DRIFT】

2023年「グランツーリスモD1グランプリシリーズ」は、10月28〜29日、大分県・オートポリスインターナショナルレーシングコースで第7戦と第8戦が開催された。今シーズン4年振りにD1GPフル参戦を果たした名門チーム・ドルーピーは巧みなタイヤ戦略で、GR86のステアリングを握る石川隼也が第8戦でベスト16へ駒を進めた。この日は、松川和也(AE85)とふたり揃ってのベスト16進出となった。2023年、チーム・ドルーピーの果敢なラストスパートに迫る。

Photo:サンプロスD1事務局

今回のオートポリス戦で「広島トヨタ team DROO-P」のGR86を駆る石川隼也は、ハイスピードでの戦いとなる国際サーキットコースに対応するため、ふたつのタイヤ銘柄を用意して週末を迎えた。今年のD1GP開幕戦に投入したDUNLOP DIREZZA β02に加え、DUNLOP DIREZZA ZⅢを持ち込んだのである。

快晴に恵まれた土曜日、第7戦。石川はDUNLOP DIREZZA ZⅢをチョイスした。1本目は95.7点。2本目は果敢に攻めて97.1点をマークするも、無念にも総合19番手となりベスト16への進出は叶わなかった。やはり、タイヤへの負担が大きく、本来のパフォーマンスを発揮できなかった模様だ。この結果、翌日の第8戦にはDUNLOP DIREZZA β02を装着する判断を下したのである。

翌日の第8戦も気持ちの良い秋晴れとなった。石川のGR86には改めてDUNLOP DIREZZA β02が装着されている。朝イチのグループA・5番目での走行となった石川は、路面温度が充分に上がらない状態で巧みにマシンをコントロール。一本目は97.1点を獲得した。二本目は少し得点を落としてしまったが、一本目のポイントはグループ内でもトップクラスだった。ベスト16進出は確実視されていたが、グループBからDまで走行が進むなかで路面状況が好転するという、石川にとっては不利な状況となり、最後の最後で17番手にポジションを落とすことになってしまった。

しかし、上位につけていたひとりの選手が単走アタック中にビード落ち(ホイールからタイヤが離脱)していたことが発覚して失格となり、石川は16番手へと浮上。ベスト16戦へと進出することになったのである。

最初の対戦相手は、チャンピオン経験のある中村直樹。大注目の“GR86対決”となったが、搭載するエンジンは中村=直6・2JZ、石川=V6・2GRという違いがある。一本目、石川は“後追い”で挑むものの、中村のマシンに迫る直前に不覚にもフロントタイヤがゼブラゾーン(縁石)に乗って態勢を崩して離されてしまった。この結果、石川の得点はインカットによる−2点判定で95点。対する中村は98点をマークした。

2本目、石川先行で中村に挑む。スタート直後に中村が石川の背後にピタリと迫るものの、その直後に中村はバランスを崩す。そして、ゴール地点では石川を抜いてしまうD1ではあまり見ない場面もあった。それでも、石川98点に対して中村は8点の後追いポイントが加算されて103点を獲得。残念ながら、石川のオートポリス戦は、ここで終わった。

チーム・ドルーピーの松岡歩監督に話を聞いた。

「最強の中村選手と対戦は、チームにとってとても良い経験でした。オートポリスはストレートスピードがとても速いので、ドリフトする前に勝負が決まってしまうこともあります。事前にシミュレーションしていましたが、やはりタイヤにとっても選手にとっても過酷なサーキットでしたね。この週末はタイヤチョイスを含めて国際コースをどう克服するか、という点がチーム内でも大きなテーマでした。そういう意味でもベスト16に残り、中村選手と対戦できたことは有意義なことでしたし、良い流れだったと思います」

一方、もうひとりのダンロップユーザーである松川和也(AE85)も第8戦で13番手をマークし、ベスト16進出を果たした。ヴィトー博貴(180SX)との真剣勝負に挑んだものの、無念にも僅差で敗れてしまった。

改めて松岡歩監督に最終戦のお台場へ向けての抱負を聞いた。 

「やはり今年最後の戦いになるので、我々だけでなく、ライバルチームもいつも以上に気合いが入っているでしょう。でも、決して諦めていません。なんとか最後に花を咲かせたいと思います。石川のGR86は、これまで以上に万全の準備を進めます。また、今回ベスト16で戦った松川のAE85については、ワンランク太いタイヤを履かせるために“重量化”を進めています。70〜80kgの増量が必要で、鉄製ドアの採用などで着々と準備しています。とにかく最終戦はベストを尽くし、結果を残したいと思っています。そう、下剋上を果たしますよ!」

このようにオートポリスの第8戦で、チーム・ドルーピーは2台揃ってベスト16へ進出し、チームの存在感を強くアピールした。果たして、D1シリーズ最終戦・お台場ラウンド(11月11〜12日)では、どのような戦いを見せてくれるのだろうか。ライバルからも大きな注目が集まっている。

チーム・ドルーピーの石川隼也(GR86・写真右)と松川和也(AE85)。

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