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東京オートサロンで発表の1976台の限定モデルも
ルノーは直系のスポーツブランド、ルノー・スポールをアルピーヌに集約させることを決めた。これによってこのブランド最後のロードカーになったのが、メガーヌRSとなる。現行型は3代目で、ボディは5ドアのみとなり、直列4気筒ターボエンジンは従来2.0ℓから新世代の1.8ℓに積み替え、トランスミッションは6速MTのほか、同じ6速のデュアルクラッチも選べるようになった。
エクステリア
シャシーのトピックは4コントロールと呼ばれる四輪操舵システムと、ダンパー内にセカンダリーダンパーを組み込んだHCC(ハイドローリック・コンプレッション・コントロール)。初代から装備する、ストラットからハブキャリアを独立させたダブルアクシスストラットサスペンションも引き続き採用している。この現行メガーヌRSの最後を飾るのが、ルノー・スポールが誕生した年に合わせ、世界で1976台のみが生産されるウルティムで、ワールドプレミアの場はなんと今年1月に行なわれた東京オートサロン2023だった。
インテリア
ベースはメガーヌRSの中でも、サーキット走行に対応してフロントアクスルにトルセンLSDなどを組み込んだRSトロフィーで、1.8ℓ直列4気筒ターボエンジン、4コントロール、HCC、トルセンLSDなどを受け継ぎつつ、ホイールは1本あたり2㎏軽い「フジライト」に履き替えたことが特徴だ。
優れたコントロール性をもたらす4コントロール
外観はフジライトのホイールや、昔のルノーエンブレムを思わせる菱形のデカールが目につく。ロゴやドアハンドルなどのブラックアウト化も、ほかのメガーヌRSとの違いで、さらに精悍な雰囲気になった。インテリアは、セレクターレバー奥に、日本でもその名を知られる開発ドライバー、ロラン・ウルゴンのサインとシリアルナンバーが入ったプレートが鈍く輝く。走り出すとまず、RSトロフィーとしては足まわりがしっとりしていることに気づく。ホイールが軽くなったためだろう。太いタイヤは硬さを伝えるものの、それを丸めて送り届けてくれるのがフランス車らしい。一方、まわりのスポーツモデルの快適性が増した結果、メガーヌRSのストイックなキャラクターがさらに強調されている気もした。
うれしい装備
300㎰/420Nmを発生するエンジンは、始動した瞬間に野太い排気音を鼓動とともに伝える。スポーツモードにすると、サウンドはさらに開放的になる。ステアリングは切れ味という表現を使いたくなるほどクイック。それでいて底なしと言いたくなるようなロードホールディングを見せつける。しかも4コントロールやHCCなどの技術は、基本はメカニカル。だから操る楽しさがリアルに手応えとなって伝わってくる。果たして今後このようなスポーツモデルに出会えるだろうか。ルノー・スポール最後の1台という以上の価値があると思った。
Country France Debut 2018年8月(一部仕様変更:22年7月) 車両本体価格 559万円~659万円
※本稿は、モーターファン別冊 ニューモデル速報 統括シリーズ Vol.151「2023-2024 スポーツカーのすべて」の再構成です。