旧車にも最適? アップデートできない純正ナビの代わりにパイオニア『NP1』を付けてみた! ドラレコと一石二鳥!【BMW Z4オーナーレポート vol.9】

大音安弘氏のBMW Z4はすでに20年モノ。程度が良かったことから純正オーディオも純正ナビも機能的には未だ健在ながら、流石にナビは更新も止まっており最新の道路事情に対応しないばかりか地図自体も粗い。そこで、パイオニアの『NP1』を導入してナビとドラレコを一挙にクリアしてしまおうというのが今回のテーマ。さて、20年落ちのBMW Z4にNP1をどのように装着するのか?

純正ナビ&オーディオ、未だ健在なり

私のBMW Z4は、約20年前のクルマ。だから基本的な装備も当時のままで、その内容は今や“化石”だ。しかし、未だにマルチAVシステムも元気に稼働中で、MDとCDチェンジャーを含めたオーディオ機能だけでなく、ナビも快調。
しかし、20年前のカーナビは、正直、使い物にならない。今や絶滅種であるDVDナビなのだが、地図データの更新が不可能なだけでなく、地図の表示も荒い。当たり前だが、現代のスマホナビの方が高性能なのでそちらを活用していた。

オンダッシュのBMW純正「マルチAVシステム」。エアコン吹き出し口にスマホホルダーを設置している。

ただ古いクルマに乗っている人は「車載ナビがあれば……」と考える人もいるはずだ。ピンポイントの案内を求めるならば日本製のカーナビに限るからだ。
それでも私のZ4のようにナビとオーディオが連動しているタイプだと、オーディオを交換すると動かないモニターが残って美しくなく、別にオンダッシュタイプのナビも取り付ける必要がある。

Pioneer『NP1(ベーシックプラン価格:6万5780円/通信+サービス利用料1年分)』

そこで目を付けたのが、個性派ドラレコのパイオニア製の「NP1」だ。今回は、初の大物アフターパーツとなる「NP1」導入をレポートしたい。

BMW純正マルチAVシステムのユニットは交換可能なのか?

まずはBMW Z4についてマルチAVシステムと標準オーディオについて触れておくと、新車当時はナビを含むAVシステムはオプションであり、標準でダッシュボートと一体デザインのCDラジオが装備されていた。フェイスこそ専用化されているが、内部には1DINのオーディオユニットが内蔵されているため、市販の取付キットを購入すれば最新のオーディオユニットに乗せ換えることはできる。

コンソール中央に操作パネルとMDのスロット。CDチェンジャー(本体はリヤバルクヘッド中央に設置)も備わる。

しかし私の場合、オーディオユニットの表示は格納式センターモニター上となるため、オーディオユニットを乗せ換えると、使えないモニターだけが残る。実用車なら、それでも良いと思うが、趣味で乗る古いクルマだからこそ、見た目は美しくなって欲しいのが本音。

ダッシュボード上の格納式センターモニター。格納時は手前に倒れる。

そこで気になったのが、ネットショップやオークションサイトで販売される中国製のナビ&オーディオの載せ替えキットだ。なんと固定式モニターを含めたアンドロイドナビ付オーディオが存在し、フィット感を含めて極めて魅力的。ただBMW専門業者などに尋ねると、基本的には止めた方が良いとのこと。特に車両側のシステムに接続するものは、トラブルが出やすいと教えてくれた。このため、選択肢から除外することに……。

ナビとドラレコを1台で導入できる「NP1」という選択

さらに昔は人気のあった1DINユニットのAVシステムは、ナビ内蔵とディスプレイオーディオが国産メーカー品でも復活しているが、モニターの収納が不可となる。
Z4の場合、センターのエアコン吹き出し口をふさぐことになるので、いずれにもしても積極的には選びにくい。やはり無難な選択としては、ポータブルナビをオンダッシュで装着することだが、ダッシュボード自体がコンパクトなZ4だとセンターモニター前か、オーディオユニット前くらいしか装着スペースもなく、それでは美しくない。

Z4のコックピット。オンダッシュのポータブルナビを美しく装着できるスペースは……。

さらに後日レポートする予定だが、ドライブレコーダーがあった方が良かったと思う経験もした。そこで注目したのが、いずれの機能も備えるパイオニア製「NP1」だったのだ。
同製品は、ドラレコとナビ機能を一体化させた変わり種。しかもナビ機能は、音声操作と案内だけでも利用可能というユニークなもの。このため、車内の風景をほとんど変えることなく、ナビまで使えるのが魅力だ。

ドラレコ? カーナビ? 音声操作だけで様々なサポートを受けられる革新のドライブサポーター・パイオニア『NP1』を使ってみた【カー電の現在地 2023・夏 CarGoodsMagazine】

他のどんなジャンルの電子機器とは違うパイオニアの『NP1』が市場に出てからだいぶ経つ。アップデートによりさらに利点を増す実機の旨みを、自腹購入のうえで実使用テストにトライ。まずは、その初見の感想を報告しよう。

パイオニアの担当者に問い合わせると、取付自体も簡単なので、旧車への装着例も多いことを教えてくれた。また現代機らしく通信機能を備えており、ドラレコ映像をクラウド上に保存できるだけでなく、駐車監視機能を追加すると遠隔でのカメラ映像の確認もできる。さらにナビ機能を含め、ソフトアップデートで使える機能が進化していくという。

前後のデュアルカメラを備えた本体のみというシンプルな構成。

価格は、定価で6万5780円から。公式サイトでは、2024年1月9日10時まで値下げキャンペーンを実施しており、3万9800円からとなっている。ちょっとドラレコとしては高価格帯となるが、機能を考慮すれば今の割引価格ならお得感はある。

パイオニア公式オンラインショップで開催中のキャンペーン。詳しくは同サイトをチェック。

ここで忘れてはならないのが、NP1の要となる通信機能だ。通信機能とサービス利用は標準付帯だと1年間のみ有効となる。購入時に通信費がお得となる3年プラン(9万3500円がキャンペーン価格で6万7520円)も選べるが、いずれにしても期間が過ぎると年間1万5840円の負担が必要になるのだ。この通信機能がないと通常のドラレコ機能しか使えなくなるので、そのコストをどう捉えるかだろう。その価値があるかも含め試してみたいと思ったのだ。

装着は簡単だが、専門店なら配線をすっきり格納してくれる

取付の際は、スマホのNP1アプリを利用した位置決め機能で取付位置を決定し、本体をフロントガラスにアタッチメントに付属する両面テープで接着して固定。電源はシガーソケットから取ることが出来る。まず動作テストとして、自身で別のクルマに装着してみたが問題なくできた。
しかし輸入車の場合、シガーソケットが常時電源となっているため、電源を抜き忘れるとバッテリー上がりの原因となるし、車内に這わせるコードも邪魔くさい。

本体の装着位置はルームミラーの左側に。

そこでZ4への取付は、裏取り配線で車内をすっきり仕上げてくれるというパイオニアオンラインショップで提供する出張取付サービスに依頼することにした。国産車だけでなく輸入車にも対応しており、私のBMW Z4でも取付OKとの確認が取れた。工賃は、主張費などを含めて国産車が1万3750円、レクサス車と輸入車が1万9800円という一律料金となっている。但し、作業日が平日限定であることやしっかりとドアを開口できる作業場所の確保など一定の条件があるので、環境によっては依頼が難しいケースもあるようだ。

出張取付サービスの作業中の様子。作業時にはドア開口スペースが必須になるのがよくわかる。

いよいよ取付日がやってきた。樹脂部品の経年劣化もある古いクルマであるため、着脱時の破損が心配されたが、メカニックは、その点も考慮して丁寧な作業を行ってくれた。話を伺うと、仕事としてクルマに携わるだけでなく、趣味でカーオーディオにも凝っていると分かり、より安心して作業を見守ることが出来た。

サンシェードや内装のカバーを外して配線を内装の内側に仕込む。20年モノの樹脂パーツは破損の可能性もあり、作業は要注意。

電源はヒューズボックスから確保しているので、後付け配線の心配もない。今回は通信による駐車監視機能も試してみたいため、駐車監視用電源ケーブルを用いた取付を行って貰ったが、そのユニットの取付位置もこちらの要望を踏まえて作業を行ってくれた。

Z4の室内ヒューズボックスはグローブボックスの奥。
駐車監視用電源ケーブルNP-BD001(4400円)。

当初の作業時間は約2時間と聞いていたが、実際は50分ほどで終了。国産車ならば、より短時間で仕上がることもあるという。配線のまとめ方の処理なども丁寧で、まさにプロの仕事だった。

配線を完全に内側に格納し、外には全く見せない素晴らしい仕上がり。

ルームミラー横に配置したNP1だが、前方と車内側カメラ、通信機器、スピーカーやマイクを備えるため、本体は大きめだ。本来なら音声認識などの関係から、説明書では運転席側の取付が推奨されているのだが、フロントウィンドがコンパクトなZ4では視界確保のために助手席側の取付とした。

大きめの本体サイズが存在感を放つ。
運転席の視界を妨げないように助手席側に設置。
外から見ても、ウインドウ内におけるNP1のサイズ感は一般的なドラレコに比べてかなり大きい方だ。

いよいよ次回はZ4での走行テストを行う予定。専用アプリの役割やルーフオープン時の使い勝手などもレポートしたい。

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著者プロフィール

大音安弘 近影

大音安弘

1980年生まれ、埼玉県出身。幼き頃からのクルマ好きが高じて、エンジニアから自動車雑誌編集者へ。その後…