ずっと一緒! 幸せのキャンバストップ、夫婦と走るロングロード | 80-90年代車再発見 1992年式・日本フォード・フェスティバ 3ドア SXリミテッド(1992/FORD JAPAN FESTIVA 3DOOR SX LIMITED)

バブル景気の象徴として、今も語られることの多いマツダの5チャンネル販売網による経営多角化の失敗。
しかし“あの時代”の、国境を超えて開発された名車の名を忘れてはいないか?

一世を風靡したキャンバストップ

現在では意外に思えるが、80年代のマツダは存続の危機に瀕していた。70年代から経営悪化が進んだことで78年、銀行主導でフォードとの資本提携を実施。同年発売のサバンナRX-7が大ヒットするものの為替レートの変動で85年に再び危機を迎える。


資本参加していたフォードとしてもマツダの経営健全化は必須であり、マツダが開発してグループ内の起亜自動車が生産、フォードブランドで日本とアメリカで販売する新型車として小型ハッチバックのフェスティバが開発された。86年の発売当初は1.1と1.3リッターのファミリア用B型エンジンを用意して、ルーフが開閉するキャンバストップも設定したことで大ヒットする。


また発売10カ月後にはファミリア1.6用をスケールダウンした1.3DOHCを追加。このエンジンを搭載するGTとGT-Xにも後にキャンバストップが設定され、販売の主力となる。小さく軽いボディと俊敏なレスポンスのエンジンによる走りはまさに軽快。さらにキャンバストップが加われば楽しさ倍増。今回は新車で買われた1オーナー車の登場だ。

外観

多チャンネル化する前のオートラマ専売車として1986年2月に新発売。ダッシュ上のクーラーボックスやリヤリクライニングシートによるフルフラット化、リヤシートの折り畳み機構など多くの特徴が好評だった。そのため減衰力調整ダンパー装備のSや高級グレードのGHIA、DOHCエンジン搭載のGT及びGT-Xなどを追加。さらに独スカラ社デザインの丸目2灯GT-Aを300台限定で発売した
キャンパストップ

全開にするとリヤシートからも青空が眺められ開放感バツグン。

ブリスターフェンダー

フェンダーをブリスター状にしてボディラインに変化をもたらしている。

エンジンルーム

B3型は64ps

SXは1.3SOHCで軽自動車の自主規制値と同じ64psしかない。ただ、車重が780kgと軽いので文句なしの動力性能。

キャブ

マイナー後は電子制御キャブに進化。2016年に新品へ交換している。

親切!

ボンネット裏に点火時期とアイドル回転/CO濃度の調整法ステッカー。

想像もしなかった長い年月を過ごす

フェスティバは93年に2代目へフルモデルチェンジするが、前年のモデル末期には在庫整理のため特別仕様が販売される。92年に夏の特別仕様として登場したのがオートラマ10周年記念車。1.3SXリミテッドと1.3/1.1スーパージュニア。豪華装備をプラスしてもお買い得な価格設定。これを気に入り新車で購入したのがオーナーご夫婦。1.3のキャンバストップで100万円少々という格安さが魅力だったが、キャンバストップの開放感と可愛くもたくましさのあるスタイルが最高。


ただ購入時から長く乗るつもりはなく、普通に維持していたら年月が経ってしまったというパターンだ。乗って楽しくキャンバストップの開放感はなかなか手放せない。モデルチェンジした2代目を見に行ったが、スタイルがダメ。そこで乗り続けることにした。


困ったことは車上荒らしにキャンバストップが切られたこと。部品がある時だったので新品に交換できた。また2012年にはエアコンが壊れ、13年にはミッションからの唸り音が大きくなり、どちらもオーバーホール。これで落ち着いたかと思いきや、16年には警告灯が点灯したため点検すると、キャブレターが寿命だったため新品交換している。


直すごとに愛着も募ることだろう。すでに走行距離は17万キロを突破。もやは手放すことなど考えもせず、晴れた休日にキャンバストップを開けるのが楽しみ。

室内

何も変更していないインテリア。カーナビを追加することもなく、助手席ポケットに紙の地図を忍ばせる.

新車から31年目で17万キロを走ったことがわかるオドメーター。今も快調だ.。
高い全高を生かした高めのシートポジション。横前レバーはシートリフターで小柄なドライバーでも最適なポジション。

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このフェスティバの記事は、令和に残るクルマ改造雑誌『G-ワークス』(毎月21日発売)2023年11月号に掲載されたものを再構成したものです。

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