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国境を越え、世界中で愛されている日本車。その魅力に迫る。
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アメリカのカーショーを取材していると、日本人である自分にとってもあまり馴染みのない日本車や、海外市場には正規輸入されていなかったはずの日本車などに、たまに出くわすことがある。
今回はカリフォルニアのロングビーチで開催されたジャパニーズ・クラシック・カー・ショー(JCCS)で見つけた、トヨタのセラについて紹介していこう。
1990年に発売されたセラは、1987年の東京モーターショー(現ジャパンモビリティショー)に出展されたコンセプトカー「AXV-II」を市販化したモデルだ。最大の特徴は、なんといっても「AXV-II」から継承したガルウイングである。
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しかもドアのウインドウは、ルーフに回り込むようなL字型の連続断面を持ったウインドウ・シールドとなっており、まるでオープンカーのような開放感を演出する「グラッシー・キャビン」を実現した。
日本がバブル景気に沸いた時代だったからこそ市販化できたモデルとも言えるが、「モーターファン別冊ニューモデル速報第82弾 SERA(セラ)のすべて」を読むと、その開発プロセスや誌面の作り方から時代背景を垣間見ることができて興味深い。
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バブル期のイケイケだった若者文化が詰まったクルマ
当時の開発チームはトヨタ社内の各部署から集められた若手メンバーにより結成されたヤングプロジェクト、通称Yプロジェクトが発端。開発拠点も豊田市ではなく、若者文化が発信される東京(千代田区九段にあった東京支社)に置かれたそうだ。
インテリアデザインを担当した永津直樹さんのインタビューを引用すると、今若者の間で何が流行っているのかリサーチするため、「ディスコに行ったり、パーソンズバーでビールを飲んで、うん、これは若い感じだな、とか……。」したそうだ。
そんな企業努力の賜物とも言えるインテリアは、ガルウイングを開けた時にもよく見えて、デザインが凝っている。インパネはメータークラスターとダッシュパネルを一体成形した左右非対称デザインで、センターコンソールでドライバーの囲まれ感を演出。割と最近のクルマのインテリアデザインでもトレンドとして見られる手法だ。
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JCCSの会場で出会ったこちらの車両は、メーカーオプションだった「セラ・スーパーライブサウンドシステム」、純正アクセサリーのインパネトレー(助手席前のカップホルダー)なども装着されていた。
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ヘッドレスト一体型のフロントシートはファブリックに包まれ、その特徴的な形状から「ビオラフォルムシート」と名付けられた。狭いながらも2名分のリヤシートが備わり、シートバックを左右独立で倒すことができる。
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ホイールは樹脂製のフルキャップが備わる14インチのスチールホイールを標準装備。オプションとして14インチのアルミホイールも設定されていた。
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おそらく熱心なコレクターの手によって並行輸入され、ナンバープレートを見る限りミズーリ州で登録されている模様の、こちらのセラ。総生産台数が1万5852台とそもそも少なく、もはや日本でも見かける機会が少なくなってきた。自動車大国アメリカで大きく羽根を伸ばし、日本の輝かしい自動車史の生き証人として、いつまでも乗り継がれていって欲しいものだ。