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平成14年式のディーゼル貨物車に「三河」ナンバーを付けるスゴイ技術力
2023年の東京オートサロンにおいて、お披露目された「ランドクルーザー40×70」のインパクトは強烈だった。
昭和のクロカン名車「ランドクルーザー40」のボディに、ハードコアなオフロード性能で知られるランドクルーザー70(平成14年式)のシャシーやパワートレインを組み合わせるというリノベーション的カスタマイズのアイデアはもちろん、その仕上がりは違和感のない見事なものだったからだ。
しかも、ランドクルーザー40×70というリノベーションを実施したのはプレオープンしたばかりの「ランクルBASE」という新興ショップだったのだから尚更だった。
もっとも、同ショップは、ランドクルーザー・シリーズの生産を行っているトヨタ車体が企画したランドクルーザー・ファンのためのアンテナショップなのだから、ある意味でワークス仕様のリノベーションであり、違和感がないのは当然だったといえる。
そんなランクル40×70は、2024年の東京オートサロンにおいても前年同様にイエローの印象的なボディで登場した。一見すると、昨年からさほど変わっていないと感じてしまうが、さにあらず。なんと、今年のランクル40×70には「三河100」と上段に書かれたナンバープレートがついている。
2024年は車検を取って、公道を走れる仕様として再登場したというわけだ。
「メーカー直系のショップが作ったデモカーならナンバーを付けることなんて造作もないことでしょう」と思うのは早計だ。
ポイントは、付いているナンバーが「三河」で、エンジンは平成14年式のランクル70(HZJ71V)に搭載される「1HZ」を使っていることにある。細かい話は置いておくとして、愛知県のディーゼル規制では、この時代のディーゼルエンジンは商用車であっても、そのままでは登録できないはずだからだ。
そのあたりの対策について聞くと、「具体的な方法は秘密なのですが、ちゃんと対策をしてナンバーを付けることができています」とスタッフの方は教えてくれた。排ガス規制というハードルの高い領域においても現代的にアップデートできてしまうランクルBASE、恐るべしだ。
アイシン製ウインチなど海外向け純正アクセサリーが日本でも手に入る?
ランクルBASEのブースに飾られた、もう一台のデモカーは再販されたばかりの最新ランドクルーザー70をベースにした「ブラッククルーザー」。
こちらは、クロカン四駆のカスタマイズで知られる「JAOS」などサードパーティーのアイテムを使いながら、フロントグリルやオーバーフェンダーをオリジナル塗装するなどしてブラックに統一した新しい世界観を表現しているのが特徴。
注目は、海外向けの純正部品(オプションやアクセサリー)を適材適所的に装着しているところだ。たとえば、明るいメッキのサイドミラーは中近東仕様から流用したもので、渡河などでエンジンが水を吸い込まないようにするためのシュノーケルも海外向けの部品を加工した試作品。
フロントバンパーの交換によって全長が伸びてしまっているため、このままでは公道走行不可というが、そのバンパーは海外純正仕様のウインチ内蔵タイプというのは気になるところ。しかも、展示されているウインチ単体をみると「AISIN SEIKI」と書かれたプレートが確認できる。
なんと、トヨタ系の大手サプライヤーであるアイシン精機が作っているウインチなのだ。マニア的には刺さるポイントではないだろうか。
「ランクルマニアの方からは『売って欲しい』というリクエストが届いています。是非ともランクルオーナーの方へ届けられるようにしたいと思います」とランクルBASEのスタッフ。
グローバルに人気のランドクルーザーだけに、海外向けアイテムを使ったカスタマイズの幅は広いはず。こうしたパーツを日本でも購入・装着できるようになることを大いに期待したい。