目次
MAZDA SPRIT RACINGはスーパー耐久のワークスチーム
自動車メーカーが東京オートサロンにブースを出すようになって久しい。過去には様々な発表が話題を集めたが、2024年にもっともサプライズがあったのはマツダで間違いないだろう。
初日のプレスカンファレンスに登壇した毛籠 勝弘 代表取締役社長兼CEOは「ロータリーエンジンの開発グループを2月1日に立ち上げる」と宣言。ジャパンモビリティショーで好評だったロータリースポーツのコンセプトカー『アイコニックSP』の実現に向けて開発リソースを注ぐという経営判断を示した。
しかしながら、マツダのスポーツカーはロータリーエンジン搭載車に限るというわけではない。毛籠 社長兼CEOは「マツダスピード以来、25年ぶりのファクトリーモータースポーツとして、MAZDA SPRIT RACING(マツダスピリットレーシング、以下MSR)をブランド体験推進本部に新設した」ことも発表した。
手短に言い換えると、MSRはモータースポーツ由来のサブブランドになる、というわけだ。
現在、マツダのファクトリーモータースポーツ活動におけるトップカテゴリーとなっているのは日本のスーパー耐久だが、MSRの活動はサーキット限定ではない。
モータースポーツ活動をフィードバックした特別な市販モデルの開発も進んでいる。それが、今回の東京オートサロンにて発表された2台のコンセプトカー「MSR RS(ロードスター)」と「MSR3」である。
MSRロードスターは日本仕様初ソフトトップの2.0Lエンジン
MSRの知見を活かし、サーキット走行が楽しめることを目指して開発中というMSRロードスターが、最初のラインナップとなるのは必然的といえる。前述したスーパー耐久でMSRはロードスターのCNF(カーボンニュートラル燃料)バージョンを走らせているからだ。
そして、ロードスターCNFのエンジンは2.0Lとなっている。
日本仕様のロードスター(ソフトトップ車)は1.5Lエンジン仕様しかラインナップされていないが、モータースポーツ直系ブランドであるMSRを冠するロードスターは2.0Lエンジンを積むべきであり、プレスカンファレンスでは2.0Lエンジンを積むという判断をしたことが発表された。
とはいえ、ロードスターRF(リトラクタブルハードトップ車)は2.0Lエンジンを積んでいる。そのため、「ロードスターRFのエンジンをそのまま積むなら、すぐにできるんじゃないの?」と思う向きもあるだろう。
しかしながら、マツダブースで聞いてみた話をまとめると、ロードスターRFのエンジンをそのまま積むというわけではなさそうだ。スタッフからは「RFのエンジンは184ps(135kW)ですが、サーキットを楽しむ仕様としてはリッター100馬力にはしたいですね」といった声も聞こえてきた。
200馬力でソフトトップのロードスターをファクトリーチューンによって作り上げる、ロードスターファンにとってはドリームプロジェクトといえるだろう。
MAZDA3はレーシング仕様同様に300馬力を目指す?
同じくMAZDA3については、スーパー耐久にバイオディーゼル燃料仕様として参戦している。バイオ燃料といってもパフォーマンスがおとなしいわけではなく、最高出力は300馬力に達しているという。
その知見を活かすのであれば、そしてMSRロードスターが200馬力のエンジンを積むというのであれば、MSR3として市販されるときには300馬力級のエンジンを積んでいることが期待される。
現時点では、MSR3が想定しているエンジンについてオフィシャルな情報は出ていないが、マツダの持ち駒で300馬力を目指すのであれば2.5Lガソリンターボをチューンアップするというのが、もっとも現実的な解になりそうだ。
ちなみに、展示されていたMSR3コンセプトはFWDのAT仕様だったが、これは最終決定ではなく、4WDになる可能性もあるというから楽しみだ。