初代ボクスターは1996年に登場、水平対向エンジンの「ボクサー」と、オープンカーを表す「ロードスター」を起源として名付けられた。そして発売から28年、初めて電動化される。
まだまだ豪雪が残るフィンランド山中で捉えたプロトタイプは、ダミーのマフラーなど多くのカモフラージュを脱ぎ捨て、EV「タイカン」はSUV「マカン」新型のデザインを反映した最新のヘッドライトを装備、おそらく同社の新しいマトリックスLEDランプユニットが装備されている可能性が高い。
ボディサイドの注目点は、サイドインテークが装備されるかどうかだろう。これまでの内燃機関搭載ボクスターはミッドシップレイアウトだったため、エンジンの冷却用サイドインテークが設けられていたが、EVには必ずしも必要ではない。しかし、プロトタイプにはスリムな隙間が見えることや、ボクスターのデザインアイコンのため、なんらかの形で残される可能性もありそうだ。
後部では、スリムなサードブレーキライトもはじめて点灯している模様が捉えられた。また、各リヤクォーターパネルを包み込むスリムなLEDストリップの形状の量産テールライトが装備されている様子が窺える。ポルシェが全幅ラップアラウンドLEDライトバーを備えた「GT3 Rレンシュポルト」を発表したばかりで、すでに「718ケイマンGT4 E パフォーマンス」EVレーサーにも採用されていることを考慮すれば、ボクスターにも同様のものが搭載されるのではないかと思われる。
キャビン内でも、大きな進化が見られ、最新の新しいポルシェの傾向と同様に、これまでよりも大幅にデジタル化が進んでいる。プロトタイプはまだ開発中の段階ではあるが、タイカンやマカンのEVと同様に、718ボクスターとその兄弟であるケイマンクーペにも、インストルメントパネルとセンターコンソールのインフォテインメントシステムの両方に、洗練されたデュアルスクリーンセットアップを備えることは濃厚と言えるだろう。
詳細を見ると、ダッシュボードはタッチセンサー式ディスプレイとクラシックなノブやスイッチをシームレスに融合させている。中央のディスプレイの下には、航空機スタイルのトグルスイッチ、エアコン吹き出し口、デュアル USB ポートを配置。シートのヒーター/換気のコントロールは角度のついたセンターコンソールに移行され、タッチセンサー式のボタンと物理的なノブが組み合わせて提供されている。特に、小さなドライブセレクターが補助コントロールの近くにあり、最終生産モデルでは収納コンパートメントに配置される可能性がある。
市販型では、ポルシェの最先端の SSP スポーツ電気自動車アーキテクチャーを採用、軽量構造を優先して設計されたこのプラットフォームは、後輪駆動と全輪駆動の両方のセットアップを提供する。おそらく、サイズと出力を選択できるバッテリーを用意すると予想されており、ベース車は後輪にシングルモーターを搭載し、後輪を駆動するが、より高価な上位グレードでは、強力なデュアルモーター仕様により、ボクスターとケイマンは初めて全輪駆動に進化、少なくとも400ps以上を誇る。
ボクスターEVのワールドプレミアは、2024年内と思われ、生産はポルシェの主力工場ツフェンハウゼンで、ICEの現行モデルと並行して生産、販売がおこなわれる予定となっている。