スズキの「アルトターボRS」デビュー。アルトのターボモデルが129.4万~140.5万円で15年ぶりに復活【今日は何の日?3月11日】

一年365日。毎日が何かの記念日である。スズキ「アルト」のホットハッチと言えば人気の「アルトワークス」だが、本日3月11日は、アルトのターボモデルとして4代目アルトワークス以来15年ぶりのホットハッチ「アルトターボRS」が登場した日だ。

アルトのホットハッチとして「ターボRS」が登場

2015(平成27)年3月11日、スズキからアルトのホットハッチ「ターボRS」がデビュー。スズキのホットハッチとして多くのファンを持つ「アルトワークス」が2000年に生産を終了、ホットハッチとしてアルトワークスでないアルトターボRSが15年ぶりに復活を果たしたのだ。

2015年にデビューした「アルトターボRS」

2代目アルトの高性能グレードとして誕生したアルトワークス

スズキを代表するホットハッチのアルトワークスは、2代目アルトをベースに高性能グレードとして1987年に誕生した。エンジンは、543cc 直3エンジンに軽初のDOHCインタークーラー付ターボを搭載して、最高出力64PS/最大トルク7.3kgmを発生。あまりの高出力ぶりに最高出力規制のきっかけとなり、現在でも軽自動車の自主規制値となっている。

1987年に誕生した初代「アルトワークス」

その後、2代目(1988年~)、3代目(1994年~)、4代目(1998年~)と進化を続け、アルトワークスはスズキを代表するホットハッチとして絶大な人気を獲得。しかし、1990年代の市場は、実用性を求めるハイトワゴンが主流になり、またスズキが国内モータースポーツから撤退することを決めたため、アルトワークスは2000年にいったん市場から撤退してしまった。

1998年にデビューした4代目「アルトワークス」。2000年に生産を終了

15年ぶりに復活したアルトのターボモデルはターボRS

その後15年の時を経て、高性能ターボのホットハッチとして復活したのが、アルトワークスでなくアルトターボRSだった。ボディには、ベースのボディカラーに特徴的なレッドのアクセントカラーが使われ、インテリアについても同様のレッドのアクセントが添えられ、スポーティさが演出された。
注目のパワートレインは、吸気VVTを装備した最高出力64PS/最大トルク10.0kgmを発生する660cc直3 DOHCインタークーラー付ターボエンジンと、バドルシフト付きAGS(オートギアシフト)の組み合わせ。駆動方式はFFと4WDが用意され、従来より60kg軽量化したボディと相まって力強いスポーティな走りを披露した。
一方、アイドルストップを採用した優れた燃費性能や、自動ブレーキなどの安全装備も充実させ、車両価格129.4万円~140.5万円(税込)で登場したアルトターボRSは話題を集めた。しかし、何とその年の12月には5代目アルトワークスが復活したため、その煽りで存在感は薄れてしまったのだ。

2015年12月にデビューした5代目「アルトワークス」

アルトターボよりややソフトな味付けのアルトターボRS

ほぼ同時期(9カ月差)に誕生した「アルトターボRS」と「5代目アルトワークス」、いずれもアルトベースのホットハッチだが、いったい何が違うのか。

アルトターボRS
アルトワークス

見かけ上は、ターボRSはボディのスポーティなレッドラインが特徴、アルトワークスは比較的落ち着いた雰囲気。エンジンは、直3インタークーラーターボで最高出力はいずれも64PS/6000rpm、ただし最大トルクはターボRSの10kgm/3000rpmに対してアルトワークスは10.2kgm/3000rpmと若干高めにチューニングされている。
最大の違いは、アルトワークスにはターボRSに用意されていない5速MTの設定があること、さらにアルトワークスはKYB製の専用チューニングサスペンションが採用され、前席にスポーツカーさながらのレカロシートが標準装備されていることだ。
同じホットハッチでも、ターボRSはソフトなチューニングが施されたライトスポーツ。ベースのアルトでは物足りず、乗り心地を重視しながらも力強い走りを期待する人はアルトターボRS、一方専用チューニングのエンジンと硬めのサスペンション、レカロシートなど走りの楽しさを重視する人には、アルトワークスがお薦めと言える。

ターボRSは、アルトワークスよりソフトなホットハッチという狙いがあったのだろうが、わずか9カ月後にアルトワークスが登場したため、中途半端な位置づけになった気がする。ちょっと釈然としないターボRSの登場だったのではないだろうか。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれない。

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著者プロフィール

竹村 純 近影

竹村 純

某自動車メーカーで30年以上、自動車の研究開発に携わってきた経験を持ち、古い技術から最新の技術までを…