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のぞみが東京~大阪間を2時間49分から2時間30分に短縮
1992(平成4)年3月14日、東海道新幹線で「のぞみ」が運行を開始。従来の0系/100系「ひかり」とは大きく異なるスタイリッシュなフォルムの300系「のぞみ」は、最高速度270km/hで運行し、東京~大阪間を2時間49分から2時間30分に短縮した。
東京オリンピック開催直前に開通した東海道新幹線
日本初の東海道新幹線(東京~大阪)が開業したのは1964年10月1日、東京オリンピックの開会式10月10日の直前だった。オリンピックで多くの外国人が日本を訪れたときに、世界初の高速電車としてアピールする狙いがあり、最初の0系新幹線「ひかり」の最高速度は210km/h、東京~大阪を4時間で結んだ。
それから28年後の1992年、当時運賃の値下げなどで利用客を伸ばしていた航空便に対抗するため、「ひかり」よりさらに速い新たな新幹線として誕生したのが、「のぞみ」だ。0系/100系「ひかり」とは一線を画すスタイリッシュなフォルムの新型300系「のぞみ」は、多くの人の注目を集めた。
「のぞみ」の最高時速は270km/h、東京~新大阪間の所要時間は2時間30分となり、それまでの「ひかり」の2時間49分に対して、約20分の時間短縮に成功したのだ。
のぞみが新幹線の主役に
当初は、朝晩の2往復だけだった「のぞみ」は、その後本数を増やして1993年には山陽新幹線にも乗り入れ、1996年には東海道新幹線は毎時2本に増便。1997年には、最高速度300kmで走行できるJR西日本の500系、1999年には“カモノハシ”の顔でおなじみとなった700系が登場した。
そして、品川駅が開業した2003年秋のダイヤ改正では毎時最大7本となり、ついに「のぞみ」が東海道新幹線の主要ダイヤとなり、現在は地下鉄並みの毎時最大12本の運転が可能になっている。
「のぞみ」の運行開始から32年経ち、時代とともに車両も新たな進化を遂げ、2024年現在最高速度は285km/hまで上昇し、東京~大阪間の所要時間は2時間21分まで短縮されたのだ。
新幹線の速さの秘訣
新幹線では、速く走るために車両だけでなく線路などにも様々な技術や工夫がされている。
・空気抵抗の少ない流線形フォルム
先頭車両は、空気抵抗を減らす流線形にして走行抵抗を減少
・各車両のほとんどにハイパワーのモーターを搭載
特定車輛がけん引するのではなく、構成する車両のほとんどにモーターを搭載し、全体で1.5万PS程度の高出力を発生。さらにクルマでおなじみの減速エネルギー回生も実施して効率を向上
・軽量ながら頑強な車体
車体は、段ボールのような形状のアルミ合金で形成され、軽量かつ頑強
・レールの幅が広い
在来線(1067mm)よりもレールの幅が368mm広い1435mmによって走行安定性が向上
・極力トンネルを通過するようにして急なカーブを回避
トンネルを作ってスピードを落とさず最短距離で走行
現在注目されている2027年目標のリニア中央新幹線は、(完成は遅れそうだが)最高速度500km/hで東京~大阪を67分で結ぶ計画。羽田~伊丹空港のフライト時間とほぼ同じだが、空港までの時間や待ち時間を考慮すると圧倒的に新幹線の方が早くなり、航空便にとって痛手になるかもしれない。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれない。