マクラーレンなのに“元メルセデス”で“ニッサン車”? 英国の名門のちょっと複雑な略歴【フォーミュラEチーム&ドライバー紹介】

フォーミュラEの東京E-Prix開催まで2週間弱。今季のFIAフォーミュラE世界選手権には11チームがエントリーしている。今回はイギリスの名門マクラーレンと名のついたチームのちょっと複雑(?)なこれまでの歩みをご紹介。

NEOM McLaren Formula E Team

FIAフォーミュラ1世界選手権(F1)で栄冠を掴んできたマクラーレン・レーシング。近年はF1だけでなくインディカーなどにも活動の場を広げているイギリスの名門チームは、シーズン9にフォーミュラEにも参戦を開始した。

NEOMマクラーレン・フォーミュラEチームの前身は、シーズン5に参入したHWAレースラボ。HWAはメルセデスのドイツ・ツーリングカー選手権(DTM)のチーム運営やF3用エンジンの開発などを担っていた、メルセデスの競技部門とも形容できる存在で、いわばメルセデスの先兵として参戦するかたちだった。
そしてシーズン6にチーム名はメルセデス・ベンツEQフォーミュラEチームとなり、メルセデスが本腰を入れて電動フォーミュラシリーズに挑むこととなった。そして、メルセデスEQフォーミュラEチームへと再び改名したシーズン7からは2年連続でドライバー選手権とチーム選手権のダブルタイトルを獲得するなど強さを見せた。

ところが、メルセデスはシーズン8を最後にフォーミュラEからの撤退を決定。マクラーレンがチームを買収してシリーズ参入を果たす結果となった。

第3世代マシン「Gen3」が導入されるシーズン9からエントリーしたマクラーレンは、ニッサンが手掛ける電動パワートレインを採用しており、車名もニッサンと同じ。昨季は未勝利に終わったものの、ニッサンを上回る2度のポールポジション獲得を果たした。

2年目となる今季は、所属2年目となるジェイク・ヒューズと、新加入のベテラン、サム・バードのイギリス人コンビでエントリー。第4戦サンパウロE-Prixでマクラーレンとして初めての勝利を手にし、存在感を示した。

■NEOMマクラーレン・フォーミュラEチーム
チーム代表:テイラー・バーナード
本拠地:イギリス ビスター
マシン:Nissan e-4ORCE 04
パワートレイン:ニッサン

●シーズン10成績(第4戦サンパウロE-Prix終了時点)
最高位:1位(1回)
獲得ポイント:55ポイント
ランキング:4位

●通算成績(シーズン10第4戦サンパウロE-Prix終了時点)
レース数:75
優勝回数:8
表彰台獲得回数:25
ポールポジション獲得回数:11
チャンピオン獲得回数:2

No.5 ジェイク・ヒューズ

イギリス出身、29歳のジェイク・ヒューズは、2013年にBRDC F4選手権でチャンピオンを獲得した後、フォーミュラ・ルノーなどでシングルシーターキャリアを構築。2020年にF1直下シリーズのFIA F2選手権に出場するとともにメルセデスF1のシミュレーター・ドライバーを務めた。フォーミュラEにはシーズン9にマクラーレンからフル参戦。これまでに19レースを戦った。

●シーズン10成績(第4戦サンパウロE-Prix終了時点)
最高位:4位
獲得ポイント:18ポイント
ドライバーランキング:11位

●通算成績(シーズン10第4戦サンパウロE-Prix終了時点)
レース数:19
優勝回数:0
表彰台獲得回数:0
ポールポジション獲得回数:2

No.8 サム・バード

2014年のシリーズ発足からフォーミュラEで戦い続けている大ベテランのサム・バード。イギリス出身の37歳は今シーズン第4戦サンパウロE-Prixにおいて、最終ラップに劇的な逆転を演じてマクラーレンに初勝利をもたらした。これまでに116レースを戦い、6度のポールポジション、12勝を含む26度のモディウム登壇を記録。無冠ながらもトラック上での存在感は強い。

●シーズン10成績(第4戦サンパウロE-Prix終了時点)
最高位:優勝(1回)
獲得ポイント:37ポイント
ドライバーランキング:6位

●通算成績(シーズン10第4戦サンパウロE-Prix終了時点)
レース数:116
優勝回数:12
表彰台獲得回数:27
ポールポジション獲得回数:6

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