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BMWの伝統デザインを踏襲した新デザイン言語
『ノイエ・クラッセ(Neue Klasse)』とは英語で『ニュー・クラス(新しいクラス)』のこと。BMWは1960年代に小型車の生産を開始したが、当時のBMWには中型車のラインアップがなく、その隙間を埋めたのが1961年にデビューしたBMW 1500を筆頭とする『ノイエ・クラッセ』と呼ぶ車両群で、これは現在の5シリーズの前身にあたる。BMWグループ・クラシックのプレス・スポークスマン、マルク・ティスビュルガー氏によれば、1963年のBMW 1800発売後、1964年から、BMWはこの言葉を特定の車種グループを指すのでなく、宣伝コピーとして意図的に使うようになったのだという。
従ってジャパンモビリティショーにも出展された『ビジョン・ノイエ・クラッセ』を筆頭とするコンセプト・モデルは、BMWグループのデザインの総帥であるエイドリアン・ファン・ホーイドンク氏によれば、どうやら次世代の5シリーズではなく、「次世代3シリーズの予告編」なのだという。つまり今回発表された『ビジョン・ノイエ・クラッセX』は、「次世代X3の予告編」と見て良いだろう。
さて、『ビジョン・ノイエ・クラッセ』のために開発された新たなデザイン言語は、『ビジョン・ノイエ・クラッセX』も特別なスタイリングへと仕上げている。純電気自動車用アーキテクチャ(プラットフォーム)はロング・ホイールベース、ショート・オーバーハング、そしてBMWの伝統的なプロポーションを実現しつつ、地上高を高めると同時に、より広い室内空間の確保を実現している。大きなウィンドウ・エリアとパノラミック・ガラス・ルーフにより、室内には自然光が降り注ぎ、風通しが良く広々としたクリーンで気持ちのいい空間に仕上げられている。
『ビジョン・ノイエ・クラッセX』には、BMW Xシリーズの新たなブランド・ルックも提案されている。縦に並べられた特徴的で斬新なLEDヘッドライトユニットの間、センター部にはBMW車の象徴である“キドニー・グリル”が配され、バックライトによって輪郭が浮かび上がる。ヘッドライトと“キドニー・グリル”が一体化されたこのユニットは、ドライバーが車両に近づくと点灯し、車内へといざなうライティング演出が試みられている。
代わってリヤセクションは力強くダイナミックだ。中央に向かって大きく伸びたテールライトは、なじみ深いBMW のL字型フォルムを水平的に解釈したもの。3Dプリンターで製作された構成部品は個別に光量が調整されており、特に表現力豊かな奥行き感が強調されている。フラットなガラス面と明るい“コーラル・シルバー”のボディ塗装は、SAVのスタイリングに軽快さを与えている。
充電速度・航続距離を改良した第6世代eDriveテクノロジー
定評のあるドライビングプレジャーは、『ノイエ・クラッセ』のために特別に開発されたドライブおよびシャシー・コントロール・システムと、第6世代のBMW eDriveテクノロジーによって新たなレベルへと引き上げられている。
改良されたeドライブ・ユニットに加え、体積エネルギー密度が従来の角型セルに比べて20%以上向上した丸型リチウムイオン・バッテリー・セルが新たに採用され、進化した800ボルト・システムと組み合わせることで、充電速度が最大30%向上、わずか10分で300kmの走行距離分が充電できるようになった。第6世代のBMW eDriveでは、航続距離も最大30%向上されている
直観的操作を可能にする室内インターフェース
マルチ・ファンクション・ボタンを備えた新設計のステアリング・ホイール、直感的なタッチ・コントロール機能を備えたセントラル・ディスプレイ、BMWパノラミック・ビジョンは、BMWインテリジェント・パーソナル・アシスタントの高度なボイス・コントロールと相まって、より手軽でより直感的な操作を可能にするインターフェースとして機能する。また、センターディスプレイがインストルメントパネルに統合されたことにより、前席乗員がすべてのインフォテインメント機能に最適な形でアクセスできるようになっている。