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トヨタと提携したスバルが初めて共同開発したスバルBRZ
2012(平成24)年3月28日、スバル(当時は富士重工業)「BRZ」が発売開始された(※発表は2012年2月3日)。BRZは、トヨタと共同開発した本格ライトウェイトスポーツで、兄弟車の「トヨタ86」は翌月に発売が始まった。
スバルが持つメカニズムと、トヨタの企画力やデザイン力を結集した、両社の提携関係の象徴として生まれたモデルだ。
トヨタとの提携の目玉として開発が進められたBRZ
スバルは1968年以来、日産自動車と提携関係にあったが、1999年にGMと業務提携を締結。その後、GMの経営悪化を受けて、2005年にトヨタと資本提携を結んだ。
提携では、FRのライトウェイトスポーツをトヨタとスバルが共同開発し、両社で市場展開することが取り決められていた。目指したスポーツモデルは、スバルのコア技術である水平対向エンジンを搭載した新しいプラットフォームをベースに、2011年末の市場投入を目指すという具体的な目標が掲げられた。
コンセプトは、“新しい次元の運転する愉しさ”で、企画をトヨタ、開発と生産をスバルが担当する共同開発によって進められた。
スバル伝統のボクサーエンジンを搭載したFRスポーツ誕生
BRZは2012年のこの日、兄弟車のトヨタ86は翌月4月6日から発売が始まった。BRZのネーミングは、ボクサー(水平対向)エンジンの“B”、リアホイールドライブの“R”、ゼニス(究極)の“Z”の組み合わせ。
スポーツカーらしい典型的なロングノーズの流線型フォルムに、搭載エンジンはスバル伝統の2.0L DOHC水平対向エンジン。これに、トヨタのガソリン直噴“D-4S”システムを組み合わせ、NAながら200PSを発生。トランスミッションは6速のMTとATが用意された。
低重心で軽量コンパクトな水平対向エンジンの特徴を生かし、さらにFR駆動によって高性能で俊敏な走りを実現したBRZは、当時の日本車には珍しい本格的なライトウェイトスポーツカーとして、多くの走り好きから歓迎された。
その完成度の高さの割には、標準グレードRが247.8万円(6MT)/254.625万円(6AT)とリーズナブルの価格だったこともあり、当初の受注台数は3500台を超え、トヨタ86とともに冷え込んでいるスポーツカー市場で大健闘した。
兄弟車トヨタ86との違いはフロントマスクとチューニング
1ヵ月遅れでデビューした兄弟車のトヨタ86は、BRZと大きな違いは見られないが、内外装とチューニングに若干の差異がある。
見た目の大きな違いは、フロントグリルの形状。BRZは、スバルの特徴である逆台形のグリルとヘッドランプを囲むように配置された、コの字型車幅灯で全体的にソフトなイメージ。対するトヨタ86のグリルは、台形で一直線に配置した車幅灯はスポーティなイメージが特徴で、その他にもバンパーやリアコンビランプなど細部に違いが見られた。
走行性能については、BRZは後輪のサスペンションが柔らかめに設計され、安全性を高めて安定した走行を重視し、誰でも安心して運転が楽しめるように設定。一方のトヨタ86は、機敏なハンドリングによってFRらしい走りを楽しむ設定となっている。
車両価格については、トヨタ86の標準グレードが241万円(6MT)/248万円(6AT)で、BRZよりわずかに低い設定となっており、もちろんトヨタ86も納車待ちがでるほどの人気を獲得したことは言うまでもない。
BRZと86はデビュー当初の勢いはなくなったものの、正常進化を続けながらコンスタントに人気をキープし、2021年の2代目の誕生に漕ぎつけた。スポーツカー冬の時代、単発で終わりやすい新規のスポーツカーが10年以上存続できたのは、ある意味凄いこと。マツダのロードスターのように長く愛され続ける存在になって欲しいものだ。
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