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エンジンブローから蘇ったS15と長い眠りから覚めた練習機のFD3S
「D1ライツ」での活躍をふまえて、2023年からはトップカテゴリーの「D1GP」へとステップアップ。2024年シーズンもGPへ果敢にチャレンジする下田紗弥加選手。自身のYouTubeチャンネル「Drifting Sayaka 下田紗弥加のくるくるTUBE」も大好評で、いつも笑顔&ポジティブシンキングな下田選手のファンも急増中だ。
JAFモータースポーツジャパン2024では、自身のD1マシン「シルビアS15」のほか、彼女のルーツとも言える練習機だった「RX-7 FD3S」を展示。ブースには、紗弥加さんの等身大パネルも飾られて、記念撮影する姿も多く見られた。自らも展示車両の前に現れて、訪れるファンとの交流を楽しんでいた。
そして特設コースでのデモランプログラム「ドリフトパフォーマンス〜くるくるサヤカ in JAFモータースポーツジャパン〜」も実施。たくさんのギャラリーがコースサイドで見守る中、レイアウトを目いっぱい使った豪快なドリフトを披露。
下田選手がS15をドライブ、さらに師匠である、マーキュリーエンタープライズの佐藤 謙さんがRX-7のハンドルを握り、師弟のツインドリフトも実現するというサプライズ。これにはギャラリーも大盛り上がりで、彼女も自分のRX-7がドリフトしている姿を見られたことに感動していた。
かつて、このお台場でD1GPを生観戦したのが、ドリフトドライバーを目指すきっかけになったという思い出深い場所。2023年に、自分がD1GPでお台場を走ることができ、「ついにここまできた!」と感慨深かったそうだ。
そんな下田選手にマシンのことや今後のビジョンを聞いてみた
「今回デモランをした車両は、2022年のD1ライツ最終戦でエンジンブローしてしまったS15シルビアで、VEヘッドのSRエンジン搭載という仕様です。走らせるのは本日が初めてになります。以前もVEヘッドでしたが、今回のほうがパワーアップしていて約600psくらいは出ているかなと思います。タービンはGCGターボのG30を使い、まだまだパワーは出せるのですがシェイクダウンの状態なので、ブーストも控えめにしています。問題なければもう少し煮詰めて、SRエンジンのままで700ps程度は出せるのかなという感じです。車両ハーネスも純正を撤去して、レースハーネスに引き直しましたね。エンジンが壊れてしまってから、かれこれ1年半ぶりに乗ってみたんですが、やっぱり一緒に戦ってきたこのマシンが、私のポテンシャルを一番引き出せるのかなって思います。いいクルマです! 私を育ててくれた車両なので、久しぶりに乗れて嬉しいんですよ」
「2024年のテーマは“限界突破”です。やっぱり限界の向こう側に行かないと、成長も成功もないのかなって。ガンガン行きますよ! 見てくれる方に、心が熱くなってもらえるような走りをしたいですね。何かが人に伝わればいいなと。ドリフトって、魅せる競技じゃないですか。だから、綺麗な走りもいいんですけど、こじんまりしたくないんです。常に見る方へ、もっとワクワクやドキドキを届けたいと思ってます。だからガードレールのギリギリまで攻めるような走りで限界を突破したい」
「あ、私にも恐怖心はあるので、これ以上はやめようかなと思うところもあるんですよ。でも、それを跳ね除けていかないと! あとはインドネシアのD1シリーズにも参戦する予定なんです。海外にも目を向けていきたいですね」
「もう1台のFD3S(RX-7)は、元々私がドリフトの練習用に持っていた車両で、本格的に競技へ参戦するようになってからはずっとシルビアなので、眠らせていたんですね。それを2024年の東京オートサロンで展示することになって、蘇らせました。ボロボロだったのを、アニメ風ペイントしてピカピカに生まれ変わった。元々はツヤなしのブルーだったのを、こんなカラーリングに。エンジンはトヨタの1JZに載せ替えてありまして、ブーストアップ程度でパワーはないんですが、意外と乗りやすいですよ。実はこれも、走らせるのは今日が初めてなんですよ。シルビアとこのFD3Sが一緒にドリフトしているのを見られる日が来るとは。幸せです!」
いつも前向きな下田選手といれば、自然と周りも笑顔になってしまうし、もっと自分も頑張ろうと励まされる。進化を続ける“くるくるサヤカ”の限界突破ストーリーに、期待はますますブーストアップだ!