「モリゾウ」こと豊田章男氏が新トップに!参加型レース最高峰スーパー耐久シリーズの運営体制が新法人『STMO』に移行

日本の参加型レース最高峰に位置するスーパー耐久シリーズ。近年では富士24時間を復活させたほか、メーカーの技術開発の場としてST-Qクラスを新設するなど存在感を強めてきており、今年も年間エントリー数は60台を超えるなど人気を博している。そんななか、同シリーズは今後の成長を目指し、運営体制を一新。新たなトップとして「モリゾウ」こと豊田章男氏が就任することになった。

スーパー耐久シリーズ(S耐)は4月20日、2024年シーズン開幕戦の舞台であるスポーツランドSUGOにて記者会見を実施。これまでのシリーズの運営を担ってきた『スーパー耐久機構(STO)』が、新法人である一般社団法人『スーパー耐久未来機構(STMO)』に事業を承継することを明らかにするとともに、STMOの理事長にモリゾウこと豊田章男氏が就くことを発表した。

S耐の公式YouTubeチャンネル『Super Taikyu TV/Stai TV』より。左から、STMOの理事長モリゾウこと豊田章男氏、副理事長の桑山晴美氏、専務理事の加藤俊行氏。

S耐は1991年に「N1耐久シリーズ」として発足した市販車ベースの耐久レースシリーズ。アマチュアドライバーとプロのレーシングドライバーがともに戦うこのS耐は現在、日本レース界における参加型カテゴリーの最高峰に位置している。2024年は『ENEOSスーパー耐久シリーズ2024 Empowered by BRIDGESTONE』として実施されており、シーズンエントリー数は9クラス合計67台を集めるなど高い人気を誇っている。

トヨタはRookie Racingを通じて水素エンジンを搭載したGRカローラをST-Qクラスに投入し、技術開発を推進。トヨタ以外にもスバルやマツダが代替燃料を使用するマシンをこのクラスで走らせ、技術を磨いてきた。

ホンダ・フィットやマツダ・ロードスターなどのローパワーな車両から、GT3車両といった自動車メーカー謹製のレーシングマシンまで、幅広いクルマを受け入れるS耐だが近年、自動車メーカーの開発車両が参加できるST-Qクラスを新設。各社が水素やカーボンニュートラル燃料を使用するマシンを投入するなどしており、業界におけるS耐の存在感が高まってきていた。

参加台数はもちろん、参画するメーカーの数が増加傾向にある状況で、STOの事務局長を務める桑山晴美氏はS耐の未来と運営体制について数年にわたり悩んできたが、唯一相談できる人物として思い浮かんだのが、シリーズにドライバーとして携わるモリゾウ氏だったという。

そしてさまざまな検討を重ねた結果、STOの事業を新法人であるSTMOに移管。理事長にモリゾウ氏、副理事長に桑山氏が、専務理事に加藤俊行氏が就任する運びとなった。この新体制をモリゾウ氏は旅館に例え、総支配人がモリゾウ氏、女将が桑山氏、支配人が加藤氏のようなイメージであると説明した。

S耐の公式YouTubeチャンネル『Super Taikyu TV/Stai TV』より。現在のS耐は、桑山晴美氏の夫、故・桑山充氏が立ち上げたもの。桑山充氏が逝去したことを受け、2013年からは桑山晴美氏がシリーズを引き継いだ。今後はSTMOがS耐を運営するが、S耐の特徴であるオープンな姿勢は変わらない。

ただ、新体制に移行するとはいえ、S耐のあり方が大きく変容することはない。モリゾウ氏は、現在のS耐がそうであるように、多様なドライバーやチューナー、メカ、エンジニアが参加できる枠組みを残していくことを何よりも重要視していることを明らかにするとともに、将来のシリーズの発展に向けて関係者とともに力を注ぐこと意向を示した。

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