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MAZDA EZ-6 「マーリューの再来」を狙う
コロナ禍以来久しぶりの開催となった北京モーターショー。プレスデー初日、10時40分からE1ホールで開催された長安マツダのプレスカンファレンスには、毛籠勝弘社長(兼CEO)が登壇した。
毛籠社長が、プレゼンテーションのなかで述べたのは、中国におけるマツダブランドの構築に大きく貢献した初代マツダ6のことだ。
「中国におけるマツダブランドの構築については、やはり初代の通称”マーリュー”(马自达6=マツダ·リューの通称)の果たした役割は大変大きかったと思います。そのスポーティなデザインと走行性能、マツダのラッキーカラーである赤の外板色などで大人気となりました」
そうなのだ。マーリュー(初代マツダ6=アテンザ)は、中国で大ヒットしたモデルなのだ。
毛籠社長は「この新型モデル、EZ-6は、初代マーリューが与えたインパクトを持つクルマを電動化時代に再び提案したい」EZ-6は、マツダらしいスタイリングや人馬一体の走りを備えながら、長安汽車とマツダの最新技術を搭載した電動専用モデルです。100%バッテリー駆動のBEVとエンジンと組み合わせたPHEVの2種類の電動車を用意し、お客様の嗜好やライフスタイルに合わせてお選びいただけます」
と述べた。
公表されたスペックは
全長×全幅×全高:4921mm×1890mm×1485mm
タイヤサイズ:245/45R19
駆動方式:RWD
乗車定員:5名
サスペンション:Fストラット/Rマルチリンク
航続距離:BEV 約600km PHEV 1回の給油で1000km以上を想定
現行マツダ5(全長×全幅×全高:4865mm×1840mm×1450mm)よりも一回り大きなボディサイズだが、実物はより低く引き締まって見えた。
ディテールの処理を含めてデザインのクオリティはとても高く、誰が見てもカッコいいセダンに仕上がっている。BEVの前後重量配分は50:50。中国市場向けらしくインテリジェントドライブ機能、インフォメインメントなども充実している。
PHEVモデルは、MX-30 RE-EVのロータリーエンジンではなく、レシプロエンジンを使う。プレゼンのバックでは「RE-EV」を記されていたが、これは「レンジエクステンダー·EV」という意味だ。
毛籠社長は
「このたび、マツダと長安汽車の力を集結させた新型電動車をお披露目できたことを、大変嬉しく思います。『MAZDA EZ-6』は、マツダの強みと長安汽車の電動技術を融合させた最新の電動車です。今後もマツダは、先進的なクルマを嗜好する中国のお客様のご要望に応えるマツダらしい商品の導入により、中国ビジネスを反転攻勢するべく、長安汽車とともに取り組んで参ります」
と述べた。
このEZ-6、展示されていたモデルはドアの開閉は許されず、インテリアを詳細にチェックできなかったが、全体として限りなく市販モデルに近いものだった。
中国市場では、BEV、PHEVの人気が高い。長安マツダとしても新興中国ブランドに対抗するためにも、新型BEV/PHEVは是非ともラインアップに加えたいモデルだ。また、日本市場と違って中国市場ではセダン人気も根強い。
プレスカンファレンス後に毛籠社長に「EZ-6、いいですね、日本にも入れてほしいです」と声を掛けると「そういう声がたくさんあがってきたら検討しますよ」と答えた。現在はまったく計画にはないだろうが、日本市場にこそ、EZ-6のようなマツダ車がほしい、と思っているのは筆者だけではあるまい。
MAZDA 創(ARATA)
今回の北京ショーでマツダは、もう一台、コンセプトカーを発表した。「MAZDA 創(ARATA)」である。
MAZDA 創 ARATAは、「前向きに今日を生きる人の輪を広げる」というマツダの企業理念にもとづき、新たな価値創造に挑戦したコンセプトモデルだと説明された。動きを感じさせる造形の中に、モダンかつプレステージアスな印象を与えるクロスオーバーSUVだ。
EZ-6、MAZDA 創(ARATA)のデザインについては、Car Styling webで詳しく解説する。また、EZ-6のチーフデザイナーのインタビューを掲載する予定だ。