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ジープスタイルからRV風スタイルに変貌した2代目
1981(昭和56)年5月1日、スズキの「ジムニー」が初のモデルチェンジにより2代目に移行。軽自動車初の本格オフロード4WDとして人気を獲得した初代に続いた2代目は、初代のジープスタイルからRV風のスタイリングに変わり、ジムニーの人気を揺るぎないものとした。
軽初の本格オフロード4WDとして誕生したジムニー(LJ10型)
ジムニーのベースは、ホープ自動車が1967年に発売した4WDの軽自動車「ホープスターON型」である。ホープ自動車は、戦後1950年代から主として林業の作業車や山岳地域、積雪地の足となる4WD車を製造していたが経営難に陥り、ホープスターON型の製造権をスズキに譲渡した。
スズキは、スポーティなスタイリングに変更するなどホープスターON型を改良し、1970年にジムニーとしてデビューさせた。ジムニーは、ラダーフレームや頑丈な前後リジットアクスル、2WD/4WDを切り替えるパートタイム4WD、大径タイヤを装備。この構成は、その後のジムニーの進化の過程でも引き継がれている。
パワートレインは、最高出力26psの359cc直2の空冷2ストロークエンジンと4速MTの組み合わせ。ハイパワーではなかったが、車重が600kgという軽量ボディなので悪路や砂地でも十分な走破性を発揮し、扱いやすい小型オフローダーとして人気を獲得した。
小型ジープ風からRV風に変貌して人気を加速した2代目(SJ30型)
2代目ジムニーは、ジムニー初のモデルチェンジにより1981年のこの日デビューした。内外装を一新し、当時のRV感覚を取り入れたダイナミックなボクシースタイルと、直線基調のボディいっぱいに広げた車室が特徴。
ボディのタイプとして、キャンバスドア/ハーフメタルドア/フルメタルドア/バンデラックス/バンと豊富なバリエーションを用意。
パワートレインは、最高出力を26psから28psにパワーアップした539cc直3の 2ストロークエンジンと4速MTの組合せ、駆動方式は信頼性を高めたパートタイム4WDが継承された。
車両価格は、キャンバスドア77万円、ハーフメタルドア78万円、フルメタルドア82万円。ちなみに、当時の大卒初任給は12万円程度(現在は約23万円)なので、単純計算ではキャンバスドアが現在の価値で148万円に相当する。
初代の小型ジープというイメージから、RV風のスタイリングに変貌した2代目ジムニーは、アウトドア好きの若者や若いファミリー層から人気を獲得。デビューした年には、それまでの2倍以上の2万6649台の販売台数を記録し、ジムニー人気を加速することに成功した。
【2代目ジムニー SPEC】 エンジン型式:LJ50型水冷2サイクル直列3気筒 総排気量:539cc 最高出力:28ps/4500rpm 最大トルク:5.4kg・m/2,500rpm ボア×ストローク:61.0mm×61.5mm サスペンション:リジッドアクスル式+半楕円リーフスプリング 全長×全幅×全高:3195mm×1395mm×1690mm ホイールスペース:2030mm トレッド(前/後):1190mm/1200mm 車両重量:705kg
最後の2ストロークエンジン搭載車となったジムニー
1973年に始まった本格的な国内排ガス規制に対応するため、当時多くのメーカーはエンジンを2ストロークから排ガスと燃費に有利な4ストロークへ切り替えていた。そのような中、スズキはバイクで実績のあった2ストロークエンジンによる対応を最後まで推進した。
2ストロークエンジン搭載の軽乗用車「フロンテ7-S」は、独自の排ガス低減技術で厳しい1978年(昭和53)規制の適合に成功したが、燃費悪化や出力低下を招き、実用性に支障をきたすことは避けられなかった。結局、スズキも1987年まで販売された2代目ジムニーを最後に4ストロークエンジンに変更し、これにより国産車から2ストロークエンジンは消え去ったのだ。
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初代ジムニー(LJ10型)は、マニアックなオフローダーのイメージが強かったが、2代目(SJ30型)はRVの雰囲気を持つオンロードも考慮した現在のジムニーのコンセプトを作り上げるという重要な役目を果たしたのだ。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれない。