トヨタ・スープラが「GRスープラ」となり17年ぶりに復活! 731.3万円でBMWの直6心臓を持つ【今日は何の日?5月17日】

トヨタ・GRスープラ
トヨタ・GRスープラ
一年365日。毎日が何かの記念日である。本日5月17日は、トヨタのフラッグシップスポーツ「スープラ」が17年ぶりに待望の復活を果たした日だ。5代目となる「GRスープラ」は、協業関係を締結しているBMWと共同開発し、BMWの直列6気筒エンジンを搭載していることで大きな注目を集めた。
TEXT:竹村 純(Jun TAKEMURA)

■17年ぶりに復活した5代目はBMWとの共同開発モデル

2019年(令和元)年5月17日、トヨタのフラッグシップスポーツ「スープラ」が多くのファンの要望に応え17年ぶりに「GRスープラ」として復活。協業関係にあるBMWと初めて共同開発し、BMW製の最高出力387psを発生する直列6気筒ターボエンジンを搭載し、ピュアスポーツらしい圧巻の走りをアピールした。

トヨタ・GRスープラ
トヨタ・GRスープラ

●セリカXXの3代目から国内も海外名スープラを名乗る

トヨタ2000GT
1966年に登場した「トヨタ2000GT」。ロングノーズ・ショットデッキの流線形のダイナミックなスタイリング

国内で初めて登場したスープラ(A70型)は、「セリカ」をベースに1978年に誕生した上級スペシャリティカー「セリカXX」の3代目である。セリカXXは、誕生当初から海外ではスープラと名乗っていたが、1986年にモデルチェンジし3代目となった時点で、日本でもスープラを名乗ることになったのだ。

スープラ(A70型)
1978年に登場した3代目「スープラ(A70型)」から日本でもスープラを名乗る

3代目スープラは、名車「トヨタ2000GT」の血統を継承したピュアスポーツで、“TOYOTA 3000GTスープラ”というキャッチコピーを掲げた。ロングノーズ/ショートデッキで構成される3ドアハッチバックで、リトラクタブルヘッドライトや大型エアカットフラップなどを採用し、スポーツカーらしいシャープなシルエットが注目された。
トップグレード「3000GTターボ」には、当時最強の230psを発生する3.0L直6 DOHCインタークーラー付ターボを搭載し、0-100km/h加速は6.4秒、最高速度は232km/hと圧巻の走りをアピール。その他にも、日本初のツインターボを搭載した2.0L 直6 DOHCとNA(自然吸気)エンジンも用意され、多くのファンを魅了した。

●17振りに復活したGRスープラのエンジンはBMW製

4代目「スープラ(A80型)」
1993年に登場した4代目「スープラ(A80型)」。マッシブなスタイリングが特徴

1993年にモデルチェンジした4代目(A80型)スープラは、マッシブなスタイリングが特徴の今でも多くのファンを持つ人気モデルでレースでも活躍したが、2002年に生産終了。そして17年後、GRスープラ(DB型)が復活を果たしたのだ。

GRスープラは、協業関係にあるBMWとの初の共同開発モデルということでも注目を集めた。伸びやかなロングノーズ/ショートデッキの低重心フォルムを継承し、ダブルバブルルーフやヘッドライトの位置を車両の内側に寄せたシルエットは、名車「トヨタ2000GT」を彷彿させるものがあった。
パワートレインは、BMW製の最高出力387ps/最大トルク51kgmを発揮する3.0L直6ツインターボおよび258ps&197psの2.0L直4ターボの3種のエンジンと、8速マニュアルモード付ATの組み合わせ。FR駆動ながらフロントミッドシップの前後重量配分50:50により、力強い動力性能とシャープな操縦安定性が実現された。

多くのファンの期待に応えて復活したGRスープラのトップグレードの価格は731.3万円だが、発売当初は海外生産のためか供給が追いつかず、発売前に予約であっという間に売り切れてしまった。

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●かつて人気を誇った直列6気筒が復活か

GRスープラは、BMW製の直6エンジンを搭載しているが、かつて直6エンジンは高級車やスポーツカーの象徴的な存在であった。しかし、2000年頃を境に衝突安全強化と横置きエンジンのFF化の流れの中で、縦方向に長い直6エンジンは、BMWを除けば絶滅の危機を迎えていた。
ところが、最近になってスープラ以外にもメルセデス・ベンツ「CLE、S、Gクラス」やマツダ「CX-60」、ランドローバー「レンジローバースポーツ」などで直6が復活し、注目を集めている。

トヨタ・GRスープラ
トヨタ・GRスープラ

復活の第一の理由は、技術進化によって縦に長い直6エンジンでも衝突安全基準をクリアできるようになったためである。そうなれば、直6エンジン特有の静かで滑らかな回転のメリットが生かせる。さらに、ターボなど高出力デバイスや電動デバイスを両バンクに対で装着しなければいけないV6エンジンに対してシンプルな構成ができる、V6より部品点数が少なくすむ、といったメリットがある。
今後、直6と相性の良いFR車やスポーツモデルが増えることは期待できないが、直6エンジンはフラグシップモデルに搭載され続ける可能性がある。

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今や希少となったFRレイアウト、直6エンジン、そしてピュアスポーツ、それらをすべて持ち合わせたGRスープラ。電動化が必須とされるご時世、2025年頃と噂されている次期スープラもやはり直6ベースの電動化だろうか、それとも一気にBEVか、注目だ。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれない。

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著者プロフィール

竹村 純 近影

竹村 純

某自動車メーカーで30年以上、自動車の研究開発に携わってきた経験を持ち、古い技術から最新の技術までを…