販売台数上位の人気車がフルモデルチェンジ「スズキ・スペーシア カスタム/スペーシア」【最新軽自動車 車種別解説 SUZUKI SPACIA CUSTOM/SPACIA】

23年末にフルモデルチェンジが図られた「スズキ スペーシア カスタム/スペーシア」。先代よりさらに居住空間の大きさを感じさせるボクシーなスタイリングとデザインは印象的だ。ワンタッチでできる後列の格納や室内の細部に渡る使い勝手の配慮は秀逸。操縦性も大幅に向上し、カラーリングも多く揃い、ユーザーにうれしいポイントが満載だ。
REPORT:岡本幸一郎(本文)/塚田勝弘(写真解説) PHOTO:神村 聖 MODEL:花乃衣美優

コンテナテーマの内外装意匠 最新の安全&便利装備8充実

販売台数ランキングで2〜3位が常連となっている売れ筋モデルがモデルチェンジとなれば、気になっている人も少なくないことだろう。三世代目となる新型は、持ち前の広い室内空間を想起させるフォルムはそのままに、「もっと自由に」「もっと使いやすく」という想いから、頑丈で大容量のコンテナをモチーフとしたデザインを内外装の随所に取り入れているのが特徴だ。

エクステリア

先代のスーツケースから大容量コンテナにモチーフを変更。「カスタム」は前後にメッキバンパーガーニッシュを配し、クリスタル感のあるリヤコンビランプを備える。最小回転半径は4.4m〜4.6m。

外観ではコンテナのプレス面を連想させるボディサイドのビード形状や工業製品に用いられる角を面取りしたような造形を取り入れた。インテリアも同様に、各部にビード形状を施してコンテナを表現。インパネやドアのアッパー部分を立体的な造形として広さを演出している。標準車とカスタム系ではカラーコーディネートやシートのつくりが異なり、雰囲気はだいぶ違っている。中でもカスタムは見る角度によって色が変わるスエード調起毛のシート表皮やサイド部にパイピングを施したレザー調の仕様が特徴的だ。

乗降性

メーターは左の速度計がデジタル化され、右のマルチインフォメーションディスプレイは大型化およびカラー化されてより見やすくなった。インパネは助手席前のリッドを廃したビッグオープントレーをはじめ便利な収納スペースが随所に設けられている。電動パーキングブレーキとステアリングヒーターはスズキの軽自動車で初めて採用された。さらに、単眼カメラ+ミリ波レーダー方式の「デュアルセンサーブレーキサポートⅡ」がスズキ車で初めて搭載されたことも特筆できる。

インストルメントパネル

黒とボルドーの配色が従来のカスタムらしさとは一線を画す雰囲気を漂わせる。視認性に優れたデジタルメーターのほか、「XS」系にはヘッドアップディスプレイも標準装備。

後席向けでは、画期的なアイデアを具現化した、簡単な操作で3通りの使い方ができるマルチユースフラップに感心。背もたれ上部背面にはスマホ用ポケットを新設。パーソナルテーブルはタブレット類を立てかけられるよう波状の溝が入れられたほか、ドリンクホルダーやフックもより使いやすく改良されている。さらに頭上にあるスリムサーキュレーターは静粛性が高められるなど、細やかな配慮により各部が進化し、持ち前の快適で居心地の良い室内空間の魅力度がより高められている。

居住性

走りの進化も小さくない。パワートレインは、自然吸気モデルが燃焼効率を高めた新エンジンに高効率な新CVTとISGの組み合わせで、クラストップの25.1㎞/ℓという低燃費を実現したことに注目だ。軽量なのは強みのひとつだが、マイルドハイブリッドが効いて発進時などには後押しされる感覚があり、自然吸気モデルでもストレスのない軽やかな走りを実現している。

うれしい装備

着座時の「マルチユースフラップ」は、オットマンと座面延長のモードが選択できる。左右独立式センターアームレストも使えばより快適だ。
月間販売台数     10366台(23年7月~12月平均値)
現行型発表      23年11月
WLTCモード燃費    25.1 ㎞/ℓ※「ハイブリッド G」のFF車

ラゲッジルーム

もちろんターボ車は圧倒的に力強く、パドルシフトも付く。高速走行も余裕をもってこなしてくれる。「HEARTECT」の改良版となるプラットフォームは、環状骨格構造や構造用接着材の採用により剛性が高められたほか、アンダーボディ接合面への減衰接着剤の採用や遮音バッフルの採用が効いて、乗り心地がより快適になり、車内の静粛性が従来より格段に向上している。従来型でも好印象だった足まわりはよりしっかり感が増して、操舵応答性や操縦安定性が高まっている。

※本稿は、モーターファン別冊 ニューモデル速報 統括シリーズ Vol.157「2024 軽自動車のすべて」の再構成です。

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