日産「ジューク」は奇抜でコンパクトなSUVスタイリングと169万円~の安さに注目!【今日は何の日?6月9日】

日産・ジューク
日産・ジューク
一年365日。毎日が何かの記念日である。本日6月9日は、斬新なスタイリングで大きなインパクトを与えた日産自動車「ジューク」が誕生した日だ。コンパクトカーの俊敏さとSUVのダイナミックさを融合させたコンパクト・クロスオーバーSUVのパイオニアとして存在感を示した。
TEXT:竹村 純(Jun TAKEMURA)/PHOTO:三栄・日産ジュークのすべて

■人気のコンパクトなクロスオーバーSUVを開拓したジューク

2010(平成22)年の6月9日、日産自動車からコンパクトなクロスオーバーSUV「ジューク」が発売。コンパクトながらボリューム感のあるスポーティなスタイリングで、コンパクトスポーツとSUVを融合させたコンパクト・クロスオーバーSUVという新しいジャンルを開拓したのだ。

日産・ジューク
日産・ジューク

●斬新なコンセプトとスタイリングで注目を集めたジューク

ジュークのコンセプトは、コンパクトスポーツとSUVの融合、それを象徴したのが斬新なスタイリングだ。大きなフェンダーと丸みを帯びたボンネットに異径4灯ヘッドライト、ブーメラン型のリアランプなど、コンパクトながらボリューム感のあるフォルムが圧倒的な存在感を放った。

日産・ジューク
日産・ジューク

インテリアについても、運転者がワクワクするようにメカニカルかつスポーティに仕上げられた。パワートレインは、世界初のデュアルインジェクター(1気筒あたり2本のインジェクター)を組み込んだ114ps/15.3kgmを発生する1.5L直4 DOHCエンジンと副変速機付CVTの組み合わせ。
斬新なスタイリングや車両価格169万円(15RS)&179万円(RX)というリーズナブルな価格設定により人気を集め、発売1ヵ月で約1万台の受注を記録し、順調に滑り出した。

●ターボや4WD化、NISMOバージョンで商品力を強化

日産・ジューク
コンパクトながらスペース効率に優れた日産「ジューク」のインテリア

順調に滑り出したジュークは、さらなるモデル展開や商品力強化を図った。同年秋には、190ps/24.5kgmを発揮する1.6L直4 DOHCターボの高性能モデルを追加。また16GT FOURには、電子制御式4WD(ALL MODE 4×4-i)が採用された。
ALL MODE 4×4は、状況に応じて前後輪にトルクを配分する、いわゆるスタンバイ方式の4WD。通常は前輪で走行し、前輪が滑り出すと瞬時に後輪に適切なトルク配分を行う。これにより、雪道などの滑りやすい路面でも空転せずに安定した走行ができるのだ。ALL MODE 4×4-iは、より高精度に制御する進化版である。

日産・ジューク
奇抜なデザインとは裏腹に、安心感に溢れる走りを披露する

その他にも、さまざまなバージョンアップが行なわれたが、注目は2013年に登場した日産のモータースポーツ部門NISMOが手掛けた高性能モデル「ジュークNISMO」だ。4WDターボの16GTをベースに、最高出力は200ps(翌年には214psへとアップ)にチューニングされ、専用サスペンションを採用し走りを極めたモデルである。

日産・ジューク
日産・ジューク

●ライバルの登場で、e-POWER専用車キックスにバトンを渡す

ホンダ「ヴェゼル」
2013年にデビューしたホンダ「ヴェゼル」
トヨタ「CH-R」
2016年にデビューしたトヨタ「CH-R」

順調に販売を伸ばしたジュークだが、2013年に同様のコンセプトで追走してきたホンダ「ヴェゼル」や2016年のトヨタ「C-HR」の登場で、徐々に人気は減速。2019年、欧州には2代目が投入されたが、国内では販売を終了した。
ヴェゼルやCH-Rには、ハイブリッドが設定されているのに、ジュークには設定されなかった。また、デザインが斬新すぎて個性的な印象のジュークは、昨今のファミリー志向の市場に合致しなかったのかもしれない。

日産「キックス」
2020年に「ジューク」の後継としてデビューした日産「キックス」

ジュークの後を引き継いだのは、2000年に登場したe-POWER専用車の同じくコンパクト・クロスオーバーSUVの「キックス」。高い燃費性能と力強い走りを両立させ、e-POWERドライブやプロパイロットなど装備し、好調に滑り出した。しかし、コンパクト・クロスオーバーSUVは激戦区、最近は苦戦を強いられており、2025年あたりに登場しそうな新型車が待たれる状況だ。

日産・ジューク
ュークはデザイン力という付加価値で勝負

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国内販売を終了したジュークだが、2019年にモデルチェンジした2代目は欧米では人気を誇っている。もともとジュークの個性的なデザインは、欧米共同で開発した経緯があるので、欧州市場好みなのかもしれない。次期車はどうなるか楽しみだ。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれない。

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著者プロフィール

竹村 純 近影

竹村 純

某自動車メーカーで30年以上、自動車の研究開発に携わってきた経験を持ち、古い技術から最新の技術までを…