【前編】北米ホンダの旗艦SUV「パイロット」とは? 筆者がアメリカ1300kmを走って解説!これは日本にも欲しい!

日本では発売されず、海外市場のみで販売されている魅力的なモデルを現地試乗取材で徹底レポート! 第3回目はホンダのSUV「パイロット」を前後編に渡って紹介する。前編はパイロットのアウトラインをお届け!

REPORT:小林秀雄(KOBAYASHI Hideo) PHOTO:平野 陽(HIRANO Akio)

北米ホンダの最上級SUV「パイロット」とは?

「パイロット」は北米ホンダで販売されているSUV 5車種のなかで最も大きい。

現在、ホンダがアメリカで販売しているSUVは、新型電動SUVの「プロローグ」を含めて5車種。そのうち日本でも販売されているのが「HR-V(日本ではZR-V)」と「CR-V(日本ではFCEVのみ)」で、海外専売モデルが「パイロット」と「パスポート」と「プロローグ」となっている。

パイロットのボディサイズは、全長が5077mm、全幅が1994mm、全高が1800mm。ホイールベースは2890mmで、全車3列シート仕様の7人乗りもしくは8人乗りの設定だ。ホンダのSUVラインナップの中では最も大きく、そういう意味ではホンダの旗艦SUVと表現してもいいだろう。

ホンダ・パイロット 全長×全幅×全高=5077mm×1994mm×1800mm。ホイールベース=2890mm。
ホンダ・パイロット
ホンダ・パイロット

ただし、より大きなSUVもごろごろ売っているアメリカでは、パイロットもあくまで中型SUVに分類され、フォードの「エクスプローラー」やトヨタの「グランドハイランダー」といったあたりがライバルとなっている。

現行のパイロットは、2022年11月に発売された4世代目。最近日本でデビューした「WR-V」もそうだが、ヘッドライトは薄く、フロントグリルは分厚くするのが、近年のホンダSUVのデザイン的特徴だ。SUVらしい角張ったフォルムの中に、広い居住スペースと実用的なラゲッジスペースを実現している。

現行型のパイロットは2022年11月に発売された4代目となる。DOHC化された3.5L V6自然吸気エンジンに専用チューニングされた10速ATを合わせる。
ボディカラーは、ディフューズド・スカイブルー・パール。

その中でも、今回試乗した「TrailSport(トレイルスポーツ)」はオフロード性能を重視したグレードで、よりタフな印象の専用エクステリアやオールテレインタイヤを装備。撮影車と同じディフューズド・スカイブルー・パールの車両が、CMや各種プロモーションでもメインフィーチャーされている。

エンジンは3471ccのV6自然吸気を搭載。トランスミッションは10速ATが組み合わせられる。最高出力は285hp(289ps)、最大トルクは262lb-ft(355Nm)だ。駆動方式はグレード別にFFと4WDがあり、トレイルスポーツは4WDのみの設定となっている。

エンジンは3471ccのV型6気筒DOHCを搭載。最高出力は289ps/6100rpm、最大トルクは355Nm/5000とパワフルだ。

4WDシステムは、前後駆動配分を電子制御で最適化するi-VTM4を採用。オンロードなどは基本的に前輪駆動で走行し、上り坂や滑りやすい路面ではリヤのディファレンシャルに備わる可変トルククラッチにより後輪にも駆動力を配分する。

アメリカの広大な自然、普段の生活をする都市部のどちらにも馴染むスタイリングだ。

水平基調でシンプルなインテリア

インテリアのデザインも、ここ最近のホンダ車に共通する水平基調のデザインを採用。大きなハイデッキコンソール上に、ようやく見慣れてきた感もあるスイッチ式のギヤセレクターも備わっている。

トレイルスポーツの場合は、ステアリングやシートにオレンジの専用ステッチを採用。ヘッドレストには刺繍も施され、他のグレードでは味わえない特別感も演出されている。

水平基調のスッキリとしたインテリア。余計なものが目に入らず、視界が開けているので運転に集中できる。
オフロード性能を重視したグレード「「TrailSport(トレイルスポーツ)」は、ヘッドレストの刺繍の他にも、専用エクステリアやオールテレインタイヤを装備している。
トレイルスポーツではシートやステアリングにオレンジ色のステッチが入る。

9インチのセンタータッチスクリーンも日本で販売されているホンダ車と同じインターフェースで、タブレット感覚の操作性を実現。Apple CarPlayはワイヤレス接続に対応している。マルチビューカメラにはTrailWatchと呼ばれる機能も備わり、ドライブシステムでトレイルモードを選択すると自動でマルチビューカメラ映像を表示。オフロードを走る際に直接目視するのが難しい車両周囲の状況を確認することができる。

9インチのセンタータッチスクリーンはApple CarPlayに対応し、タブレット感覚で操作できる。
便利なマルチビューカメラ機能も搭載している。

ドライブモードの種類はグレードや駆動方式によって異なり、トレイルスポーツの場合はノーマル、ECON、スノー、トウ(牽引モード)、スポーツ、トレイル、サンドの7つのモードを装備。急坂を下る際に自動ブレーキ制御で一定速度を保つヒルディセントコントロールも備わっている。

ドライブモードのセレクトスイッチなどはセンターコンソールに集約されている。

トレイルスポーツには専用デザインの18インチアルミホイールが標準装備され、コンチネンタルのTerrainCantact A/Tというオールテレインタイヤを装着。サイズは265/60R18で、他のグレードよりトレッドも大きくなっている。これはオフロードを走行する際には安心感に繋がるのだが、街中で舗装路やハイウェイを走っている時にはコツコツという入力を常に感じる原因にもなっている。

無骨なデザインの18インチホイールとオールテレインタイヤの組み合わせでアウトドア感を強調する。

今回の試乗はロサンゼルスを起点としつつ、北はネバダ州のラスベガス、南はカリフォルニア州のサンディエゴにも移動。走行距離は850マイル(約1368km)以上を走破する結果となった。おかげでオンロードとオフロードにおける体感差も味わえたし、平均燃費もより正確な値を検証できたのではないかと思う。

実際の試乗インプレッションや細部の使い勝手など、詳細は後編でお届けする。

【後編】北米ホンダの旗艦SUV「パイロット」とは? 筆者がアメリカ1300kmを走って解説!これは日本にも欲しい!

日本では発売されず、海外市場のみで販売されている魅力的なモデルを現地試乗取材で徹底レポート! 第3回目はホンダのSUV「パイロット」を前後編に渡って紹介する。後編はパイロットの試乗インプレッションや燃費などをレポート! REPORT:小林秀雄(KOBAYASHI Hideo) PHOTO:平野 陽(HIRANO Akio)

ホンダ・パイロット
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小林秀雄

大正から昭和初期の文豪の如き不健康な風貌ながら、趣味は草野球とサーフィンというわかりにくい男。編集…