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■原付2種スクーター「PCX」にハイブリッドモデルが追加
2018(平成30)年7月6日、ホンダは原付2種スクーター「PCX」に、量産2輪車として世界初となるハイブリッドモデル「PCXハイブリッド」を発表(発売は9月14日)。48Vリチウムイオン電池とACG(交流発電機)を利用して、優れたレスポンスと高い動力性能を実現した。
●アイドルストップを採用したお洒落なスクーターPCX
ホンダは、2010年に人気の原付市場に“クラスを超えた高い質感と動力性能、優れた環境性能”を目指した原付2種のスクーター「PCX」を投入。流麗なフォルムと特徴的なウインカー一体型のデュアルハロゲンヘッドライト、大径ホイールなどで、先進性と上質感をアピールした。
エンジンは、低フリクション技術を採用した125cc単気筒OHC水冷4ストロークエンジンに、制御性に優れたPGM-FI(電子制御インジェクション)を装着。さらにアイドリングストップシステムを採用して、燃費53km/L(60km/h定地走行)の低燃費を達成した。ちなみにアイドルストップシステムは、125ccクラスとしては国内初である。
車両価格は、比較的安価な29万9250円で販売され、発売後3週間で販売台数は7400台を超え、人気スクーターとなった。
●量産2輪車として世界初となるハイブリッド・スクーター誕生
PCXハイブリッドは、PCXのアイドリングストップで採用していたACGスターターの電源電圧を48Vに昇圧して、48Vのリチウムイオン電池を追加。PDU(パワードライブユニット)がスロットル開度やエンジン回転数、バッテリの状態などの情報から、ACGスターターを制御して出力アシストや減速回生などを最適化した。
ACGスターターは、もともとアイドルストップ用としてスターターとACGを一体化させ、アイドルストップ後のエンジン再始動を静かに素早く行なえるようにした交流発電機/モーターである。それを、ハイブリッド用にモーターの駆動力を増強したのだ。
また減速回生ブレーキは、ブレーキをかけたときにAGCを発電機として作動させる。発電機の回転抵抗を制動力とし、同時に発電機によって発生する電気エネルギーとして回収し、リチウムイオン電池を充電する。リチウムイオン電池には、残容量などを制御するBMU(バッテリマネージメントユニット)が内蔵されている。
車両価格は43.2万円、ベースのPCXより約13万円高額である。また燃費は、53km/Lから55km/Lに約4%向上した。
●バイクのハイブリッド化は燃費よりも出力アシスト
ハイブリッドバイクでは、エンジン出力をモーターでアシストして、レスポンスの向上と加速性能の向上を実現するのが主な狙いである。
PCXハイブリッドでは、エンジン出力にモーター出力1.9ps/トルク0.44kgmがアシストされるので、ベースのPCXに対して最高出力は16%、最大トルクは37%向上。その効果は、発進加速や追い抜き加速で発揮され、その結果0-100m加速は、PCXに対して10%程度所要時間が短縮された。
モーターアシストの作動時間は、スロットル開度、エンジン回転数、リチウムイオン電池の充電状態などで異なる。当然ながら、リチウムイオン電池に十分な充電量がなければアシストはできない。そのため、できるだけアシストの頻度を上げるため、アシスト時間は開始から最大トルクを約3秒間継続し、その後1秒間で徐々に減らすように制御しているのだ。
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クルマでは標準技術となっているハイブリッド、さらにBEVも増えつつある。バイクも遅れながらも、HEVバイクやBEVバイクが登場している。バイクにも、確実に電動化の波が押し寄せているのだ。
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