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ホンダCR-Zとはどんなクルマ?
ホンダCR-Z(シーアールズィー)は、2007年の東京モーターショーに「CR-Zコンセプト」として初公開されたあと、2010年に発売。2017年まで販売されていたホンダのハイブリッド・クーペである。
全長×全幅×全高:4080mm×1740mm×1395mm
ホイールベース:2435mm
というコンパクトで魅力的(個性的)なボディに、1.5L・SOHC+IMAハイブリッドシステムを搭載したハイブリッド・クーペで、トランスミッションはCVTとハイブリッドで6速MTが選べた。これはハイブリッドカー世界初の6速MTだった(初代インサイトは5速MT)。
エコカーの代名詞だったハイブリッドに「スポーツ」を持ち込んだ画期的なモデルだった。2007年の日本カー・オブ・ザ・イヤーも受賞している。
ハイブリッド・パワーユニットのモーターアシストはインサイトと同じ。エンジンのフライホイール部に直流ブラシレルモーター(兼発電機兼スターター)を内蔵したIMA(Integrated Motor Assist)システムだ。
ホンダのハイブリッドシステムはIMAからi-DCDとi-MMDへ進化し、現在はe:HEV(システム的にはi-MMD)に収斂している。
全国から集まったCR-Zファンたち
発売から14年、販売終了から7年経って、街中でCR-Zを見かける機会はめっきり減った。が、この日のもてぎには約140台のCR-Zが全国各地から集合した。
北は北海道、南は九州と本当に全国から多くのCR-Zが自走で集合したのだ。
驚くことは、オーナーの年齢層だ。多くは20代~30代。女性も多い。親から譲ってもらったという方もいれば、CR-Zに惚れ込んで中古で購入した方もいた。
発売当時の価格はBグレード(226.8万円~aグレード249.8万円。最終モデルは2016年6月発売のaファイナルレーベル(280万円)だ。乗車定員は一応4名だが、後席は事実上荷物置き場。つまりファミリーカーとしては使うのがなかなか難しいモデルだった。相当尖ったモデルだったのである。
集まったCR-Zは、どれもいろいろ手が入っていてオーナーの愛情が注がれていることがよくわかるコンディションだ。全塗装やシザースドア化、過給機追加などカスタマイズ、チューニングのベースとして人気が高いことがわかる。
バラードスポーツCR-Xから連なる系譜
バラードスポーツCR-X
会場にはCR-Zだけでなく、その系譜に連なるクルマも集っていた。
系譜を辿ると(どこまで辿るかはさておき)、1983年発売の初代バラードスポーツCR-Xに行き着く。ホンダのFFライトウェイトの元祖とも言える存在だ。
全長×全幅×全高:3675mm×1625mm×1290mm
ホイールベース:2200mm
びっくりするくらいコンパクトで、今見ても魅力的である。
エンジンは1.3L・SOHC/1.5L・SOHC/1.6L・DOHCの3種類だった.1.6Lエンジンは名機の誉れ高いZC型だ。
ホンダCR-X
2代目はバラードの名前が外れてホンダCR-Xとして、1987年にデビュー。キャッチフレーズは「サイバー・スポーツ」だった。
全長×全幅×全高:3755mm×1675mm×1270mm
ホイールベース:2300mm
エンジンは1.5L・SOHC/1.6L・DOHCで後期型の1.6LはB16A型VTECエンジンに切り替わっている。
CR-Xデルソル
3代目は1992年発売のCR-Xデルソルだ。電動トランストップを採用した2シーターである。
全長×全幅×全高:3995mm×1695mm×1255mm
ホイールベース:2370mm
エンジンは1.5L・SOHC/1.6L・DOHC。
これが1999年に販売終了となっていた。
CR-ZはCR-Xデルソル以来のホンダ・コンパクトスポーツクーペだったのだ。
オーナーに聞くと走りの魅力とともに、デザインに惚れ込んだという人が多かった。コンパクトな2ドアスポーツクーペというのは、現在絶滅の危機に瀕していて、ホンダもCR-Z販売終了後、コンパクトな2ドアクーペモデルをラインアップできていない(軽のミッドシップスポーツであるS660は2022年3月で生産終了)。
ホンダはプレリュードの復活を宣言しているが、もてぎに集まったCR-Zファンの笑顔を見ているとバラードスポーツCR-X→CR-X→CR-Xデルソル→CR-Z……という系譜を受け継ぐニューモデルも期待したくなる。10年に1台くらい、こういうモデルがラインアップにあった方がいいのではないですか、ホンダさん!