スズキに神降臨!? 新型「フロンクス」は4WDに金メダル!【清水和夫試乗動画】

スズキ新型フロンクス
スズキ新型フロンクス
先日「10年先を見据えた技術戦略」を発表し、注目を集めているスズキから、新型SUV「フロンクス」が登場。発売は2024年秋頃とのことだが、そのプロトタイプに国際モータージャーナリスト・清水和夫氏が試乗。さっそく初乗りインプレッションを聞いてみよう。
IMPRESSION:清水和夫(Kazuo SHIMIZU)/MOVIE:StartYourEnginesX/ASSIST:永光やすの(Yasuno NAGAMITSU)

安いだけじゃない、上質な乗り味

結構、このセグメントには競合がいるが、スズキはただ安く作るだけじゃなくてしっかり上質な乗り味を作り込んだっていうところでは大正解だ。

スズキ新型フロンクス
スズキ新型フロンクス

インドで作られるスズキの「フロンクス」という名のSUV。インドで言えばホンダのWR-Vとガチ。だけど、パッと乗った感じはフロンクスの方がちょっと上級なクルマって感じ。意外にスズキの方がプレミアム感があって、ホンダの方がベーシックってところが面白い。

スズキ新型フロンクス
直列4気筒DOHCの1.5Lを積むフロンクス

エンジンは1.5L自然吸気の4気筒に、CVTではなくてトルクコンバーターの6AT。

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簡易的だけど、このヘッドアップディスプレイはいいな

ここ(※画像参照)にヘッドアップディスプレイが付いている。これはフロントウインドウに直接透写するタイプではなく、もうちょっと簡易型というか。でもこれで十分。車速が見えるので手前のメーターパネルを見なくても自分の車速がすぐ分かる。これはいいな。

シャシーはイイが、シートはイマイチ

スズキじゃないなコレ!
ていうか、スズキのイメージがそういうイメージ(走り的じゃない?)だったが、かなりしっかり走る。スズキは軽自動車メーカーだが、スイフトなんかいいクルマだし、ヨーロッパではずっとスイフトが頑張っている。

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スズキ新型フロンクス
スズキ新型フロンクス

あぁ…シートはダメだ、背中がずれる。加飾とかインテリアの質感とかは頑張るが、肝心なシートの、特に背中の部分のホールド性はダメ。腰はいいんだけど背中がずれる。

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フロンクスのフロントシート。背中がずれる!
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フロンクスのリヤシート

乗り心地はハーシュ(※路面のつなぎ目や段差)を上手くいなしている。
が、アクセルペタルのストローク量が足りない。もうちょっとストロークがあると少し上質な、懐が深い感じになるのだが。アクセルを踏むとすぐ底付きして全開になっちゃう。

スズキ新型フロンクス
ATのシフトプログラムは要改善だな

あ…これATの制御もちょっとダメ。アクセルを戻すとすぐシフトアップして、踏むとすぐシフトダウン。Dレンジでこういう感じだから、そういう時はマニュアルにする…んだけど、パドルでギアが固定しないんだ。こういうところはちょっとダメだなぁ。MモードとかパドルじゃなくてDレンジのシフト変速のソフトウェアをもっと良くしないとね。

ハイスピードで走っても足は悪くない。シャシーはいいな。本当にイイよ!
問題なのはDレンジのATのシフトプログラム。

4WDがオレのおススメ、迷ったらコレね

今度はAWD。これはペラシャフトの4駆だ。
スズキ曰く、4駆ってリヤの振動が伝わってくるから乗り心地が悪いって言われてるというか、スズキはそう思っているのかよく分からないが、私的には2駆よりも4駆でパワートレーンをスクラム組ました方が、パワートレーンの質量が上がるので、NVH(※騒音[Noise]、振動[Vibration]、荒々しさ[Harshness])では有利かなと思っている。ま、それはどっちでもいいが。

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フロンクスのフロントビュー
スズキ新型フロンクス
フロンクスのリヤビュー。ミニレンジローバーみたいだ

これ、リヤビュー見るとかっこいい。マカンまではいかないけど、スズキのマークが無かったらちょっとレンジローバーっぽい感じもなきにしもあらず。レンジローバーの1番小さいクルマ、みたいな。ホント、意外とリヤビューはイケてるよね。

フロンクスのペラシャフト4駆、あぁアクセルちょっと戻すとシフトアップしちゃうからなぁ。でも4駆の方が全体的に落ち着いている感じがする。接地感がいい。まぁ4駆がいらない人はいいけど、迷ったら4駆を買った方がいいかなっていうのが初見。
いや本当、ロードノイズが静かだ。

スズキ新型フロンクス
フロンクスはシャシーがいい。競合他車はヤバいぞ!

ホンダもそうだけど、スズキも、インドでクルマ作って日本に入れるなんていうのは当たり前のように行なわれる時代。またタイで作ったアコードとかトライトン、ホンダのオデッセイは中国だし、NSXはアメリカだし。メイドインジャパンじゃなくて“メイドbyホンダ”、“メイドbyスズキ”! 生産国は関係なくなってきている。

スズキ新型フロンクス
いや~このミニレンジっぽいリヤビューが気に入った

4駆はFFよりも重厚感がある走りだ。頑固オヤジ的にはこっちのAWDをおススメする。これはもうトヨタやホンダ、負けちゃいられないよ! このクルマ出たってことはヤリスクロス、カローラクロスがちょっとヤバいな。

でも、このクルマはまだプロトタイプなので、量産でどう変るか?っていうのは気になるところ。多分、設計基準値ビタビタに合わせてきていると思うので、量産でバラついた時にどうなるか?っていうのは、こういうプロトタイプ試乗の時にはあるあるの話。量産になってあれ???っていうのもあるからね。

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フロンクスのコクピット

ステアリングは手応えがあっていいんだけど、ちょっと重め。

デカいシフトレバーのノブ、なんかタケノコが生えているみたいだけど、こういったところもスイッチとかにしたいなと思うけど。

スズキ新型フロンクス
シフトノブはタケノコみたいにニョキっと生えてる
スズキ新型フロンクス
ステアリングは重め

最小回転半径も4.8mで、日本の小型車、Aセグ、Bセグ並みの小回り性能。だから車庫入れとか便利だと思うし、実用車としてはいいんじゃないかなと思う。

スズキ新型フロンクス
タイヤサイズは195/60R16

スズキに神が舞い降りた!?的なフロンクス

スズキの新しいSUV、フロンクス。コンパクトクラスだけど狙いはスズキの説明通り、結構上質なクルマになっていた。

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清水和夫がスズキの新型フロンクスを斬る

いくつか課題もあるんだけど、今日はこの路面もいいサイクルスポーツセンターで乗った限りは、期待以上だ。『スズキに神が降りた』のか?と思うくらい、イイ感じ。

いくつか課題っていうのは、走りながらコメントしているが、この世界、今、競争が厳しいので、ただ安く作ればいい…じゃない。後ろから見るとちょっとレンジローバーっぽくて、タイヤのところがボリュームがあって、キャビンがちょっとしぼまれている。こういう感じはどう見てもヨーロッパで売れそうなクルマだ。

スズキ新型フロンクス
2WDと4WDが用意されるフロンクス。頑固オヤジ・清水和夫のおススメは4WD!

2駆、4駆の両方乗ったが、清水的には4駆の方が4つのタイヤがペラシャフトでスクラム組んでいるから、トルクはビスカスカップリングなので一定で走っているときはトルクは伝えていないが、機械結合しているので安心感がすごくあった。

ということで、私的には4WDがおススメ。ただ、ちょっとステアリングが重いか?とか、その辺はまだプロトタイプなので、量産に向けて何点か改善していくのかなと思っている。

スズキ新型フロンクス
清水和夫の新型フロンクス試乗のすべては動画で!

プロトタイプをこういう限られたところで乗ると、いつもいいねっていう感じで、その後一般道の試乗へ行くと、アレ?ということもあるので、今日はこの条件で期待以上の出来だった、という風にレポートしておきたいと思う。

【SPECIFICATIONS】(参考値)
■スズキ・フロンクス 2WD・6速AT
全長×全幅×全高:3995×1765×1550mm
ホイールベース:2520mm
車両重量:1070kg
最小回転半径:4.8m
乗車定員:5名
エンジン型式/種類:K15C/直列4気筒DOHC
内径×行程:74.0×84.9mm
総排気量:1460cc
エンジン最高出力:74kW/6000rpm
エンジン最大トルク:135Nm/4400rpm
燃料タンク容量:37L(無鉛レギュラー)
モーター形式/種類:WA06A/交流同期電動機
モーター最高出力:2.3kW/800-1500rpm
モーター最大トルク:60Nm/100rpm
サスペンション形式(前/後):マクファーソンストラット/トーションビーム
タイヤサイズ:195/60R16

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著者プロフィール

清水和夫 近影

清水和夫

1954年生まれ東京出身/武蔵工業大学電子通信工学科卒業。1972年のラリーデビュー以来、N1耐久や全日本ツ…