ホンダ・ヴェゼルは、このサイズと佇まいがいい。ZグレードにもHuNTがあったらいいのに

ホンダ・ヴェゼル e:HEV X HuNT AWD
人気のコンパクトSUV、ホンダ・ヴェゼル。4月の商品改良でさらに魅力を増している。そのタイミングで登場したのが、アーバンアウトドアスタイルの「HuNT(ハント)」パッケージだ。ヴェゼルe:HEV X HuNTパッケージ(AWD)と数日間を過ごした。乗り味は、燃費は、どうだったか?
TEXT & PHOTO:鈴木慎一(SUZUKI Shin-ichi)

日本で一番売れているホンダ(軽を除く)

全長×全幅×全高:4340mm×1790mm×1590mm ホイールベース:2610mm 最小回転半径:5.3m 最低地上高:170mm 車両重量:1430kg 前軸軸重850kg 後軸軸重580kg

ヴェゼルが商品改良を受けたのは今年4月。コンパクトSUVというカテゴリーで確固たるポジションを築き上げたと言っていいだろう。2024年1~7月のヴェゼルの販売台数は5万2606台で、フリード(4万5853台)よりも売れている。軽自動車を除けばいま日本でもっとも売れているホンダ車なのだ。ちなみに、ZR-Vは2万7997台、3月から販売が始まったWR-Vが1万4081台。WR-V→ウェゼル→ZR-VというホンダSUVラインアップの繋ぎは、うまく機能していると言えそうだ。

4月のマイナーチェンジは、パワートレーンに大きな手が入っている。制御面が中心で、狙いは静粛性の向上だ。バッテリーマネージメントの改良によりエンジン始動回数を下げつつ、いったん始動させたエンジンは従来より長く発電に用いることでエンジンの停止頻度も抑えている。防音対策も入念に施され、改良前と比較して体感できるほど静かになっている。

ということで、そのヴェゼルを数日間借り出した。試乗したのは、ヴェゼルX HuNTパッケージである。

ボディカラーはシーベットブルーパール(3万8500円の有料色)

このHuNTパッケージは、ハイブリッド系のベースグレードであるXに「都会とアウトドアをおしゃれに、気軽に行き来できるアーバンアウトドアスタイル」をパッケージオプションとして設定したものだ。

シーベットブルーパール(3万8500円の有料色)のボディカラーとルーフレール、フロントバンパー下部にカッパーメタリック塗装のガーニッシュも効いていて、「都会のアウトドア派」な雰囲気が魅力的だ。

e:HEV X HuNTパッケージ
HuNTパッケージ専用エクステリア(カッパー・メタリック塗装フォグライトガーニッシュ、 バンパーロワーガーニッシュ(〈フロント〉カッパー・メタリック塗装〈/ リヤ〉シャークグレー・メタリック塗装)、 ルーフレール 内装はFABTECT(撥水・撥油)

このアウトドアテイストに合わせるタイヤは、16インチ(215/60R16)というハイトのあるもの。このタイヤ、雰囲気もいいが、走り味もいい。
乗り込むと目に入るカーキ×ネイビーの内装色もいい。HuNTパッケージで新採用されシートもなかなか洒落ている。

タイヤサイズは215/60R16。ハンコックKINERGY ECO²を履く。ブレーキ:Fベンチレーテッドディスク/Rディスク
内装色はカーキ×ネイビー 室内長×幅×高:2020mm×1445mm×1225mm
後席は広々というわけにはいかないが大人ふたりはしっかり座れる。
フロントシートは電動ではない。運転席&助手席シートヒーター付き。

ZにHuNTパッケージがあったらいいのに

HuNTパッケージを設定しているのは、e:HEVのベースグレードであるXだ。だから、装備面ではトップグレードのZに劣る。

具体的には、
Zに標準でXには装備(オプションでも)されない機能
・アダプティブドライビングビーム
・ブラインドスポットインフォメーション
・LEDアクティブコーナリングライト
・アイドルストップ
・スピーカーが4つ(Zは6つ)
・ハンズフリーアクセスパワーテールゲート(予約クローズ機能付)
・後席用USBチャージャー(Type-C/2個付)
・LEDシーケンシャルターンシグナルランプ(フロント)
・VGR(可変ステアリングギアレシオ)

左のサイドミラーはサイドビューサポートミラー付き。

それから、Zにはオプションで設定できるマルチビューカメラシステムもXには設定がない。マルチビューカメラシステムを装着すれば左のサイドミラーに「サイドビューサポートミラー」(ミラー本体の下にくっついている小さなミラー)がなくなる。できたら、これはないほうがスマートだな(そもそも、サポートミラーに慣れていないので)と思った。

VGRやシーケンシャルターンシグナルはなくてもいいけれど、ほかの装備はほしいと思う人も多いのではないか。
価格はどうか、と調べてみると
e:HEV X・HuNTパッケージ
 FF:299万8600円
 AWD:321万8600円

e:HEV X
 FF:288万8600円
 AWD:310万8600円

e:HEV Z
 FF:319万8800円
 AWD:341万8800円となるから、

FFとAWDの価格差は22万円
HuNTパッケージは11万円
XとZの価格差は31万0200円だ。

もし、ZにHuNTパッケージがあれば

FFで330万8800円/AWDで352万8800円となるはず。
X HuNTパッケージ(AWD):321万8600と(仮)Z HuNTパッケージ(FF)330万8800円なら、後者に魅力を感じる人もいるだろう。ホンダにはホンダの商品戦略があるのだろうから仕方ないが、ちょっと惜しい気がした。

エンジン
形式:直列4気筒DOHC
型式:LEC
排気量:1496cc
ボア×ストローク:73.0mm×89.4mm
圧縮比:13.5
最高出力:106ps(78kW)/6000-6400rpm
最大トルク:127Nm/4500-5000rpm
燃料供給:PFI
燃料:レギュラー
燃料タンク:40L

モーター
H5型交流同期モーター
最高出力:131ps(96kW)/4000-8000rpm
最大トルク:253Nm/0-3500rpm

ハイブリッドパワートレーンの進化のおかげで、走りの洗練度は格段にアップしている。静かで滑らかだし、ハイブリッド車につきものの「エンジンがかかっちゃったときのがっかり感」も薄くなっている。都内で使うには、ベストサイズと言ってい全長×全幅×全高:4340mm×1790mm×1590mmは本当に使いやすい。売れてる理由も納得だ。

今回は366.1km走って、トータルの燃費は20.6km/Lだった。その時点での航続可能距離は422kmだったから、1タンクで約790km走れる計算だ。WLTCモード燃費:21.5km/Lだから、達成率は95.8%とまずまずと言える。ちなみに、FFモデルのWLTCモード燃費は26.0km/L。もし、(仮)Z HuNTパッケージ(FF)330万8800円があったら、ヴェゼル、もっと販売台数を伸ばせると思うんだけどなぁ(しつこい)。

ホンダ・ヴェゼル e:HEV X HuNT AWD
全長×全幅×全高:4340mm×1790mm×1590mm
ホイールベース:2610mm
車重:1430kg
サスペンション:Fマクファーソンストラット式/R ド・ディオン式
駆動方式:AWD
エンジン
形式:直列4気筒DOHC
型式:LEC
排気量:1496cc
ボア×ストローク:73.0mm×89.4mm
圧縮比:13.5
最高出力:106ps(78kW)/6000-6400rpm
最大トルク:127Nm/4500-5000rpm
燃料供給:PFI
燃料:レギュラー
燃料タンク:40L

モーター
H5型交流同期モーター
最高出力:131ps(96kW)/4000-8000rpm
最大トルク:253Nm/0-3500rpm


WLTCモード燃費:21.5km/L
 市街地モード 20.8km/L
 郊外モード 23.0km/L
 高速道路モード 20.9km/L

車両価格:321万8600円
試乗車はオプション込みで362万0100円
ディーラーop ETC車載器/ドライブレコーダー/フロアカーペット/9インチインターナビなど
9インチプレミアムインターナビ(Honda CONNECT対応)は20万9000円

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著者プロフィール

鈴木慎一 近影

鈴木慎一

Motor-Fan.jp 統括編集長神奈川県横須賀市出身 早稲田大学法学部卒業後、出版社に入社。…