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■日本専用プラットフォームになった10代目
2006(平成18)年10月10日、トヨタの「カローラ」がモデルチェンジして、10代目となるセダンとワゴン「カローラフィールダー」がデビューした。セダンには、カローラ誕生40年の節目となる10代目で初めてカローラにサブネームのアクシオ(ギリシャ語で価値のあるもの)が付けられた。
時代のニーズに応えながら大型化・上級化したカローラ
1966年11月に誕生したカローラは、1.1L直4 SOHCエンジンを搭載した大衆車の先駆けとして大ヒットし、日本のモータリゼーションをけん引した。その後、時代のニーズに応えながら進化を続け、ハッチバックやクーペ、ワゴンなどバリエーションを増やし、徐々にボディは大型化・上級化した。
トピックスとしては、2代目(1970年~)で「カローラレビン/スプリンタートレノ」が登場、3代目(1974年~)の期間中に車名別生産台数の世界一を達成、4代目(1979年~)で現在も人気が高いレビン/トレノの名車AE86が誕生、5代目(1983年~)でFFに変更、6代目(1987年~)の1990年に年間新車販売台数30万台の新記録を達成した。
バブルの波に乗って高級化路線に舵を切った7代目(1991年~)、そして8代目(1995年~)はバブル崩壊後の設計でコストダウンしながらも質感の向上が図られ、9代目(2000年~)はNCV(ニュー・センチュリー・バリュー)のコンセプトで若年層の取り込みを狙ってスタイリングとエンジンを刷新した。
日本専用車として基本性能を向上したカローラアクシオ
そして、2006年のこの日にデビューした10代目のカローラアクシオのキャッチコピーは、“新しい尺度”だった。それまで世界共通であったプラットフォームを、日本特有の道路事情を考慮して日本専用に変更し、コンパクトながらゆとりある室内空間を実現した。
スタイリングは、基本的にはボリューム感のある流麗な欧州車イメージを踏襲し、2007年のグッドデザイン賞を受賞。パワートレインは、最高出力110psの1.5L直4 DOHC VVT-iおよび136psの1.8L直4 DOHC VVT-iの2種エンジンと5MTおよびカローラ初のCVTの組み合わせ、駆動方式はFFと4WDが用意された。
さらに、ハイグレードには安全技術としてトヨタの最新安全技術“プリクラッシュセーフティ”を採用。衝突被害軽減ブレーキ、先行車との車間距離をキープするレーダークルーズ、駐車時など後退時にステアリング操作を支援するインテリジェントパーキングなどが装備された。
カローラアクシオの車両価格は、140.7万~187.95万円(1.5L)/199.5万~233.1万円(1.8L)で、飛びぬけた派手さはなかったが、着実にレベルアップして上質化したカローラを印象付けたのだ。ちなみに、当時の大卒の初任給は19.8万円(現在は約23万円)程度なので、単純計算では現在の価値で163万~218万円/232万~271万円に相当する。
人気のカローラフィールダーも正常進化
10代目カローラでは、先代から設定されたワゴンのカローラフィールダーもモデルチェンジ。カローラワゴンは、9代目でカローラフィールダーを名乗り、10代目ではさらにスポーティなスタイリングに変貌した。
ワゴンスタイルのカローラは初代から設定されていたが、当時は商用車バンだった。4代目の中頃にカローラワゴンと名称を変え、社用だけでなく一般ユーザーからもマルチユースのクルマとして、カローラシリーズの中でも人気を獲得していた。
カローラフィールダーの車両価格は、152.12万~204.75万円(1.5L)/195.3万~222.6万円(1.8L)で、装備やパワートレインは基本的にはアクシオと同じだった。
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カローラシリーズの世界累計販売台数は、1997年に単一モデルの販売台数でフォルクスワーゲン・ビートルを抜いて世界No.1となり、現在も記録更新中だ。10代目カローラは、際立った特徴はなかったが、カローラらしく着実に正常進化した。しかし、最新のカローラはユーザーの若返りを狙って、先進的でスポーティなクルマへと舵を切っている。
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