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基本的にクルマは暑さに強いが基礎メンテナンスは忘れずに
クルマは、開発時に特殊な環境下にできる試験室や、1年をとおして高温・低湿度のデスバレーのような場所でテストを繰り返し、外気温50℃近い状況下でも正常に走れるよう作られている。少なくとも21世紀以降に作られた現代のクルマなら、猛暑でもまったく問題なくクルマは動く。ただし、暑さにより各部にストレスがかかっていることは確かだ。
たとえば冷却系。エンジンがオーバーヒートしないように冷却水で冷やしているが、外気温が高過ぎると冷えづらくフル稼働。冷却水が少なかったり性能が低下していると、いきなりオーバーヒートの可能性がある。最近のクルマは、水温系が付いておらず、警告灯のみの場合もあるから、水温系の針の動きを見ての予知は難しい。そして警告灯が点灯したときにはすでにオーバーヒートしているから手遅れになる場合もある。そうならないためにも、冷却水の量の確認や、場合によっては性能復活剤の添加をしたいもの。
ちょっとしたことでエアコンが冷えるようになる
外が暑くても車内はエアコン効いているから乗員は問題ない、と思うかもしれない。でも、もし猛暑でエアコンが効かなくなったら車内は地獄だ。エアコンの風量を上げても冷風が強く出ない場合、エアコンフィルターを疑ってみよう。家庭のエアコンと同じでフィルターが汚れで詰まっていると、風量を上げても冷えない可能性があるから、定期的に交換したい。また、エアコンコンデンサーが汚れや虫で詰まっている場合も、冷却能力に影響するので、汚れていたらホースで水をかけて洗い流すだけでも冷えに差が出ることがある。
エアコン添加剤も、コンプレッサー内の効率を良くして冷えをアップさせる効果が見込める。ただし、冷えないからと素人考えでエアコンガスを適当に多く入れるのはNG。却ってコンプレッサーを壊しかねない。もし、簡単なメンテをしてもエアコンの冷えが悪いなら、さらに悪化する前に早めに整備工場のプロに診てもらおう。
車内での乗員の暑さ対策はしっかりと行おう
クルマの乗員も暑さ対策は重要だ。走行中に車内のエアコンが効いていても、熱中症になる可能性は十分にある。喉が渇いていなくても水分補給は大切だ。また、窓からの強い日差しに当たると、暑いだけでなく体力を消耗する。運転席や助手席の場合は、羽織れる長袖の上着があるといい。あまりに強烈な日差しの日は、車内でも日焼け止めを使うようにしたい。
エアコン使用時、外気導入だと冷えが悪いからと常に内気循環にしておくのも良くない。車内は密閉度が高いので、酸欠状態になり頭痛がしたり、眠くなったり、意識がもうろうとする可能性がある。とくに大人数で乗車していると、あっという間に車内の空気はキケン状態になる。少なくとも30分に1回は換気したり、あるいは外気導入に切換えてしばらく走ると空気が入れ替わって、眠気が覚めるから忘れずに行ってほしい。
後席は、色の濃いプライバシーガラスであってもUVもIRもカット能力が低いただの色付きガラスの場合もある。暑いようであれば、日よけを使って日差しを遮りたい。
最近は、日焼けの原因である紫外線(UV)カットや、暑さの原因である赤外線(IR)をカットするガラス採用のクルマも増えてきたが、まだ普及率は低く、その性能も高くはない。理想をいえば、UV&IRカットフィルムをガラスに貼りたいところ。フロントガラスに貼っても可視光線透過率を落とさない、車検対応の透明タイプもある。この効果を体感してしまうと、貼っていないクルマには暑くて乗れなくなってしまうくらいだ。
キケンなほどの日差しでも、ちょっとした備えさえあればクルマでの移動はより快適にできる。クルマも人も日差し対策をお忘れなく。