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■6代目R30型に走りを追極めたスカイラインRSが登場
1981(昭和56)年10月22日、同年8月に登場した6代目R30型「スカイライン:ニューマン・スカイライン」の2ヶ月遅れでトップグレード「スカイラインRS」が追加された。史上最強のスカイラインと謳われたスカイラインRSだったが、4気筒であったため高性能スカイラインの象徴であるGT-Rを名乗らなかった。
走りのスカイラインの象徴「GT-R」の歴史
歴代スカイラインには、走りを極めたトップグレードとして「GT-R」が設定されてきた。まずR30以前のその歴史を振り返ってみる。
・初代スカイラインGT-R(PGC10型)
GT-Rは、1968年にデビューした3代目C10型スカイライン“ハコスカ”の、翌1969年に設定されたPGC10型スカイランGT-Rから始まった。2.0L直6 SOHCを搭載したスカイラインGTをベースに、レースで勝てるトップグレードとして開発された2.0L直6 DOHCを搭載したのが、スカイライン2000GT-Rだった。当時レースで無敵の49連勝を飾ったことは、今もGT-Rの伝説として語り継がれている。
・2代目スカイラインGT-R(KPGC110型)
1972年にデビューした4代目C110型スカイライン“ケンメリ”のハードトップGTをベースにして、1973年にスカイライン2000GT-Rが登場した。ただし、当時排ガス規制が強化され排ガス対応にコストがかかることから、わずか197台の販売で生産を終え、希少なスカラインGT-Rになった。
速いスカイラインを復活させた6代目R30型スカイライン
その後スカイラインは、1977年に5代目C210型スカイライン“ジャパン”が登場。当時は、強化された排ガス規制が優先されたため、性能的には停滞した。そのこともあり、GT-Rは設定されなかった。
1981年には6代目R30型 “ニューマン” スカイラインが登場。R30型は、1970年代のオイルショックや排ガス規制強化を乗り越え、本来の速いスカイラインの復活をアピールした。
2ドアハードトップと4ドアセダンに、新たにスカイラインとしては最初で最後の5ドアファストバックが加わった。エンジンは、145psを発揮する2.0L直6 SOHCターボを筆頭に、NA(無過給)の2.0L直6 SOHC、2.0L直4 SOHC、1.8L直4 SOHCの4種ガソリンエンジンと2.8L直6 SOHCディーゼルが設定された。
R30に走りを極めたスカイラインRSが追加
6代目R30型スカイラインの登場から2ヶ月後の1981年10月のこの日、レースで勝つことを前提にしたGT-Rと同じ役割を担ったRS(レーシングスポーツ)のイニシャルを持った「スカイラインRS」が追加された。
最大の注目は、新たに開発されたレーシング仕様のFJ20型エンジンである。2.0L直4 DOHC 16バルブエンジンは、最高出力150ps/最大トルク18.5kgmを発揮し、組み合わされたトランスミッションは5速MTのみ。
2ドアハードトップと4ドアセダンが用意され、インテリアはレース参戦を意識してシンプルだった。サスペンションは、前:マクファーソンストラット/コイルスプリング、後:セミトレーリングアーム/コイルスプリングで、ブレーキは前:ベンチレーテッド式、後:ソリッド式の4輪ディスクでパワフルな走りを足元から支えた。
車両価格は、2ドアハードトップ217.6万円/4ドアセダン212.1万円に設定。当時の大卒初任給は12万円程度(現在は約23万円)だったので、単純計算では現在の価値で約417万円/407万円に相当する。
高性能化はさらに続き、1983年2月には最高出力190psの「ターボRS」を追加。結局GT-Rを名乗らなかったが、走りを追求するスカイラインシリーズのトップグレードとして、6気筒のGT-Rとは一味違う存在として走り好きのファンから人気を獲得した。
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史上最強のスカイラインと謳われたRSだが、4気筒エンジンだったためにGT-Rを名乗らず、GT-Rとは一味違う運命を辿った。6気筒エンジンで名を馳せたスカイラインGT-Rだからこそのプライドだろうか、結局GT-Rの復活は16年のブランクを経た1989年に登場した8代目R32型スカイラインのBNR32型GT-Rだった。
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