GT-Rを名乗れなかった日産R30「スカイラインRS」が212.1万円~登場【今日は何の日?10月22日】

日産・スカイラインRS
日産・スカイラインRS
一年365日。毎日が何かの記念日である。本日10月22日は、6代目(R30型)スカイラインに、走りを追求したトップグレード「スカイラインRS」が追加された日だ。RSは、レーシングスピリットを注入した新開発の4気筒DOHCエンジン(FJ20型)を搭載し、GT-Rとは一味違う走りで多くのファンを魅了した。
TEXT:竹村 純(Jun TAKEMURA)/PHOTO:三栄・歴代スカイラインGT-Rのすべて、新型スカイラインRSのすべて

■6代目R30型に走りを追極めたスカイラインRSが登場

1981(昭和56)年10月22日、同年8月に登場した6代目R30型「スカイライン:ニューマン・スカイライン」の2ヶ月遅れでトップグレード「スカイラインRS」が追加された。史上最強のスカイラインと謳われたスカイラインRSだったが、4気筒であったため高性能スカイラインの象徴であるGT-Rを名乗らなかった。

日産・スカイラインRS
日産・スカイラインRS

走りのスカイラインの象徴「GT-R」の歴史

歴代スカイラインGT-R
歴代スカイラインGT-R

歴代スカイラインには、走りを極めたトップグレードとして「GT-R」が設定されてきた。まずR30以前のその歴史を振り返ってみる。

1969年にデビューした日産「スカイライン2000GT-R」。3代目ハコスカで初めてGT-Rを名乗る
1969年にデビューした日産「スカイライン2000GT-R」はレースでも伝説を作った
日産「スカイライン2000GT-R」
1969年にデビューした日産「スカイライン2000GT-R」。3代目ハコスカで初めてGT-Rを名乗る

・初代スカイラインGT-R(PGC10型)
GT-Rは、1968年にデビューした3代目C10型スカイライン“ハコスカ”の、翌1969年に設定されたPGC10型スカイランGT-Rから始まった。2.0L直6 SOHCを搭載したスカイラインGTをベースに、レースで勝てるトップグレードとして開発された2.0L直6 DOHCを搭載したのが、スカイライン2000GT-Rだった。当時レースで無敵の49連勝を飾ったことは、今もGT-Rの伝説として語り継がれている。

日産4代目「スカイライン2000GT-R」
日産4代目「スカイライン2000GT-R」のスタイル
日産4代目「スカイライン2000GT-R」
1973年にデビューした日産4代目「スカイライン2000GT-R」。僅か197台で生産を終了した希少なGT-R
日産4代目「スカイライン2000GT-R」
1973年にデビューした日産4代目「スカイライン2000GT-R」。僅か197台で生産を終了した希少なGT-R

・2代目スカイラインGT-R(KPGC110型)
1972年にデビューした4代目C110型スカイライン“ケンメリ”のハードトップGTをベースにして、1973年にスカイライン2000GT-Rが登場した。ただし、当時排ガス規制が強化され排ガス対応にコストがかかることから、わずか197台の販売で生産を終え、希少なスカラインGT-Rになった。

速いスカイラインを復活させた6代目R30型スカイライン

日産・スカイラインRS
日産・スカイラインRS

その後スカイラインは、1977年に5代目C210型スカイライン“ジャパン”が登場。当時は、強化された排ガス規制が優先されたため、性能的には停滞した。そのこともあり、GT-Rは設定されなかった。

2.0L直4 DOHC(FJ20型)エンジン
日産「スカイラインRS」搭載の2.0L直4 DOHC(FJ20型)エンジン

1981年には6代目R30型 “ニューマン” スカイラインが登場。R30型は、1970年代のオイルショックや排ガス規制強化を乗り越え、本来の速いスカイラインの復活をアピールした。

日産“ニューマン”スカイライン 5ドアファストバック
日産“ニューマン”スカイライン 5ドアファストバック
日産“ニューマン”スカイライン 5ドアファストバック
日産“ニューマン”スカイライン 5ドアファストバック

2ドアハードトップと4ドアセダンに、新たにスカイラインとしては最初で最後の5ドアファストバックが加わった。エンジンは、145psを発揮する2.0L直6 SOHCターボを筆頭に、NA(無過給)の2.0L直6 SOHC、2.0L直4 SOHC、1.8L直4 SOHCの4種ガソリンエンジンと2.8L直6 SOHCディーゼルが設定された。

日産・スカイライン
日産6代目スカイラインに搭載された各エンジン

R30に走りを極めたスカイラインRSが追加

日産・スカイラインRS
日産・スカイラインRS

6代目R30型スカイラインの登場から2ヶ月後の1981年10月のこの日、レースで勝つことを前提にしたGT-Rと同じ役割を担ったRS(レーシングスポーツ)のイニシャルを持った「スカイラインRS」が追加された。

日産・スカイラインRS
日産・スカイラインRSのコクピット

最大の注目は、新たに開発されたレーシング仕様のFJ20型エンジンである。2.0L直4 DOHC 16バルブエンジンは、最高出力150ps/最大トルク18.5kgmを発揮し、組み合わされたトランスミッションは5速MTのみ。

2ドアハードトップと4ドアセダンが用意され、インテリアはレース参戦を意識してシンプルだった。サスペンションは、前:マクファーソンストラット/コイルスプリング、後:セミトレーリングアーム/コイルスプリングで、ブレーキは前:ベンチレーテッド式、後:ソリッド式の4輪ディスクでパワフルな走りを足元から支えた。

日産・スカイラインRS
日産「スカイラインRS」のリアビュー

車両価格は、2ドアハードトップ217.6万円/4ドアセダン212.1万円に設定。当時の大卒初任給は12万円程度(現在は約23万円)だったので、単純計算では現在の価値で約417万円/407万円に相当する。

日産「スカイライン2000RS-TURBO」
日産「スカイライン2000RS-TURBO」

高性能化はさらに続き、1983年2月には最高出力190psの「ターボRS」を追加。結局GT-Rを名乗らなかったが、走りを追求するスカイラインシリーズのトップグレードとして、6気筒のGT-Rとは一味違う存在として走り好きのファンから人気を獲得した。

日産・スカイラインRS
日産・スカイラインRS

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史上最強のスカイラインと謳われたRSだが、4気筒エンジンだったためにGT-Rを名乗らず、GT-Rとは一味違う運命を辿った。6気筒エンジンで名を馳せたスカイラインGT-Rだからこそのプライドだろうか、結局GT-Rの復活は16年のブランクを経た1989年に登場した8代目R32型スカイラインのBNR32型GT-Rだった。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれない。

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著者プロフィール

竹村 純 近影

竹村 純

某自動車メーカーで30年以上、自動車の研究開発に携わってきた経験を持ち、古い技術から最新の技術までを…