高性能4WDシステムに価値はある?新登場の日産 セレナe-4ORCEはトヨタ ノア E-Fourと比べてお買い得なのか【4WDミニバン比較】

4輪モータードライブの可能性を最大限に引き上げる「e-4ORCE」を搭載したセレナはどのようなミニバンになるのだろうか。同じく後輪がモーター駆動となるE-Fourを搭載したトヨタ ノアの4WDモデルとのスペックを比較してみよう。

NISSAN SERENA
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TOYOTA NOAH

居住性はセレナが勝ち、使いやすさではノアが優れる

どちらもボディサイズはMクラスのミニバンとして標準的なサイズだ。細かな寸法の違いはあるものの、ミニバンとしての室内空間や使い勝手はほぼ同等といえるだろう。強いて言えば、居住性はセレナのほうがわずかに広い。

ノアは便利なギミックによって使いやすさに配慮されている点が特徴となる。ノアの7人乗りモデルは、2列目のキャプテンシートに大スライド機構が備わり、オプションでオットマン機能も追加可能だ。荷室周りに関しても、ノアの電動バックドアは任意の位置で停止させられるうえ、オープンスイッチが車体側面に備わるなど随所に細かな工夫が見られる。

日産 セレナ e-4ORCE XV
ボディサイズ:全長4690mm×全幅1695mm×全高1885mm
ホイールベース:2870mm
車両重量:1920kg
タイヤサイズ:205/65R16(前後)

トヨタ ノア ハイブリッド S-Z E-Four
ボディサイズ:全長4695mm×全幅1730mm×全高1925mm
ホイールベース:2850mm
車両重量:1710kg
タイヤサイズ:205/60R16(前後)

4WD性能はe-4ORCEのセレナが圧倒!ただし意外な欠点も

e-4ORCEは前後モーターの駆動力とブレーキ制御を駆使して、滑りやすい路面での発進性能向上はもちろん、走行中の姿勢や車内の揺れまでを自在にコントロールできる4WDシステムだ。

リヤに独立したモーターを搭載するE-Fourも基本的な後輪の使い方は同じだが、より大出力の前後モーターの駆動力を緻密に制御できるe-4ORCEのほうがコントロールの幅は広い。e-4ORCEは滑りやすい凍結路も凸凹に荒れた雪道も、それと意識せずに走れてしまうほどの性能を誇る。

ただし燃費性能はセレナの16.2km/L(e-4ORCE XV)に対し、ノアは22.0km/L(S-Z E-Four)と歴然とした差が付く。e-4ORCEは後輪を積極的に使うことで消費電力が増えるためか、燃費低下も大きいようだ。

日産 セレナ e-4ORCE XV
エンジン形式:直列3気筒ガソリンエンジン+モーター
排気量:1433cc
最高出力:98ps/5600rpm
最大トルク:123Nm/5600rpm
トランスミッション:単速
駆動方式:4WD

トヨタ ノア ハイブリッド S-Z E-Four
エンジン形式:直列4気筒ガソリンエンジン+モーター
排気量:1797cc
最高出力:98ps/5200rpm
最大トルク:142Nm/3600rpm
トランスミッション:電気式CVT
駆動方式:4WD

e-4ORCEの高性能にいくらまで支払えるか

セレナのe-4ORCEモデルの価格は、ノアのE-Fourモデルとほぼ同額に設定されている。同等の値段でより高い性能が得られるのであれば、セレナe-4ORCEのほうがお買い得と言えそうだ。

e-4ORCEは家族を乗せて走ることが多いミニバンにこそ相応しい機能といえるだろう。しかし、燃費性能の悪化や7人乗りのみといったデメリットを押してまで、4WDにそこまでの性能が必要かと言えば疑問が残る。

ノアの最上級グレードS-Zは7人乗りのみとなっているが、他のグレードであれば8人乗りでもE-Fourが選択可能だ。コストパフォーマンスは燃費性能にも優れるノアのほうが高いと見て間違いない。

しかしe-4ORCEは、雪道だけでなく平時のクルマの動きを一変させるほどの性能を備えている。高性能4WDにどれだけ出費を割けるかがe-4ORCEを選ぶポイントになりそうだ。

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