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■日産のフラッグシップとして高級感にさらに磨きをかけた2代目
2009年(平成21)年11月19日、日産自動車のフラッグシップセダン「フーガ」が初めてのモデルチェンジを行ない、2代目フーガ(Y51型)がデビューした。2代目は、初代フーガのコンセプトを継承しながら、多くの先進技術を採用し、高級セダンとしてさらなる磨きをかけた。
クラウンと高級車市場を2分したフーガの先代セドリック
フーガの先代にあたるセドリックの歴史は古く、1955年に誕生した日本初の純国産高級セダンのトヨタ「トヨペットクラウン」の対抗馬として、1960年にデビューした。
その後、セドリックは代を重ねながら日産を代表するフラッグシップ高級セダン、また日本を代表する高級セダンとしてクラウンと人気を2分しながら進化したが、6代目(Y30型)以降は販売面ではクラウンに敵わないようになった。
そして最後のセドリックとなったのは、1999年に登場した10代目(Y34型)だった。10代目は、日産のフラッグシップにふさわしく、静粛かつ快適性に優れ、しかもパワフルに仕上がっていたが、2004年に生産を終えた。
1990年代後半の日産は、経営的に非常に厳しい局面に立たされ、1999年にはルノーと資本提携を結んでルノー傘下に。このような状況下で復活を図った日産は、リバイバルプランを遂行。この商品戦略では、セドリック/グロリアは消え、代わりに新世代の高級セダン「フーガ」へバトンタッチすることが決定されたのだ。
日産のV字回復の象徴となった初代フーガ
セドリック/グロリアの後継となった初代フーガ(Y50型)は、世界のプレミアムセダンと肩を並べる走行性能を持つスポーツセダンとして、優美かつ躍動感のあるスタイルで2004年にデビューした。
低く構えたフロントマスクからロングノーズ、リアエンドと連続する伸びやかでボリューム感のある流麗かつ堂々としたスタイリングが、フラッグシップらしい高級感をアピール。さらに、国産車初となる19インチタイヤとホイールの採用で全体のシルエットが引き締まり、シャープでスポーティな印象を与えた。
また、長いホイールベースと車高を設計したことで、広い室内スペースを実現、特に後席は足元から頭上まで余裕のある空間が生まれ、ショーファーカーとしての役目も十分果たせたのだ。
エンジンは、最高出力210psを発揮する2.5L(VQ25HR)と280psの3.5L V6 DOHC(VQ37VHR)エンジンの2種が用意されたが、2005年には最高出力333ps/最大トルク46kgmの4.5L V8 DOHCエンジンを搭載した日本車最高レベルの動力性能を持つ「450GT/450GTスポーツパッケージ」が追加され、注目を集めた。
初代フーガがデビューした2004年は、日産がV字回復に成功した時期であり、フーガもその勢いを加速する人気を獲得した。
先進技術を採用して初代をブラッシュアップした2代目
2代目フーガ(Y51型)は、基本的には初代のプレミアム感を継承しながら、多くの先進技術を採用して日産のフラッグシップ高級セダンとしての地位固めのために登場した。
初代より僅かながら全長と全幅を拡大、全高を低くロングノーズ化することによって安定感のあるFRらしいフォルムに変貌。インテリアは、柔らかいセミアニリン本革や銀粉コーティング、華やかさを際立たせた本木目材などを採用し、質感の高い新鮮な華やかさが演出された。
足回りは、フロントはダブルウィッシュボーン、リアはマルチリンク式を踏襲しながらも改良が加えられ、初代にも増して高級感のある乗り心地が実現。パワートレインは、最高出力225psを発揮する2.5L V6 DOHCおよび333psの3.7L V6 DOHCの2種のエンジンと7速ATの組み合わせ。初代と同じエンジンながら性能を向上させ、また5速ATから7速ATへ変更することによって、燃費は先代から10%向上した。
その他にも、“コーナリングスタビリティーアシスト機能”など、安全かつ爽快な走りを実現する走行安定化技術や先進的な運転支援機能をはじめとした多彩な安全技術を積極的に採用。車両価格は、標準仕様の2.5Lエンジン搭載車が399万円、3.7Lエンジン搭載車が457.8万円に設定された。さらに、2010年にはFR用パラレルハイブリッドモデルの追加などで進化を続けたが、販売は苦しみ2022年に生産を終了した。
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フーガは、2022年9月に施行された車外騒音規制に適合できないことから販売を終えたということだが、何よりも2021年の販売台数は580台と落ち込んでいた。これでは、さすがにフラッグシップといえども販売を続けるのは難しい。
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