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■華麗なフォルムに変貌した2代目プレリュード
1982年(昭和57)年11月25日、ホンダから2代目「プレリュード」がデビュー。やや地味なスペシャリティカーだった初代に対して、2代目はリトラクタブルヘッドライトを装備した洗練されたスタイリングに変貌し、さらに先進技術を搭載して多くの若者を夢中にさせた。
ホンダ初のFFスペシャルティカーとして初代プレリュードがデビュー
ホンダ初のスペシャリティカーとして1978年に登場したのが、初代プレリュードだ。プレリュードは“前奏曲”という意味で、これから始まるホンダの積極戦略の狼煙のような意味合いを込めてのネーミングと思われる。
初代プレリュードは、直線基調のワイド&ローのオーソドックスなクーペながら、やや落ち着いた大人の雰囲気を感じさせるフォルムを採用。パワートレインは、アコード1800と共通のCVCCを組み込んだ最高出力90ps/最大トルク13.5kgmを発揮する1.8L直4 SOHCエンジンと5速MTおよびホンダマチックATの組み合わせ、駆動方式はFFだが、ホンダらしく優れた走行安定性とハンドリング性能は高く評価された。
また、国産車初の電動式サンルーフや速度計と回転計を同心円状に並べた集中ターゲットメーター、ロータリー式のラジオなどを採用するなど先進性をアピールした。ホンダ初のスペシャリティカーとして登場したプレリュードだったが、走りは評価されたもののスタイリングが地味であったため日本での販売は期待ほど伸びず、むしろ米国で評価された。
若者からデートカーと呼ばれ、憧れのクルマとなった2代目
1982年11月のこの日、初めてのモデルチェンジを迎え、“FFスーパーボルテージ”というキャッチコピーで2代目プレリュードが登場した。
2代目は、リトラクタブルヘッドライトの採用によってノーズを下げ、全高が1300mmを下回る超ワイド&ローのスポーティなスタイリングに変貌し、Cd値0.36を実現。パワートレインは、125ps/15.6kgmの1.8L直4 SOHCのCVCCエンジンと5速MTおよび4速ATの組み合わせ。駆動方式はFFを踏襲したが、当時このクラスではFRが主流の時代に、ホンダが得意とするFFは少数派だった。
インテリアは、低いドライビングポジションやバケットタイプのシートなどスポーティさをアピール。サスペンションは、フロントに新開発のダブルウィッシュボーン、リアはストラット式で快速の走りを支えた。さらに、日本初の4輪ABS(アンチロック・ブレーキシステム)を搭載し、安全性もアピールした。
車両価格は、ABS付の標準グレードが152万円。当時の大卒初任給は12.5万円程度(現在は約23万円)だったので、単純計算では現在の価値で約280万円に相当する。
スタイリッシュでエレガントなフォルムに、ホンダ自慢のハイテクを組み込んだ2代目プレリュードは、若者層を中心に大ヒット、数ヶ月の納車待ちがでるほどの人気モデルとなった。特にデートの際に女性にも好まれることからデートカーと呼ばれる俗称の先駆け的な存在になった。
先進技術満載の3代目プレリュードで人気は最高潮に
デートカーの元祖と呼ばれて大ヒットした2代目の後を継いで、バブル景気に突入した1987年に3代目プレリュードがデビュー。人気のワイド&ローのスタイリングとリトラクタブルを継承しながらも、さらに最新技術を纏ってブラッシュアップされた。
なかでも最大のアピールポイントは、世界初を謳った4WS(4輪操舵)だ。また搭載された最高出力145psを発揮する2.0L直4 DOHCエンジンには、電子制御燃料噴射式、可変式デュアルポート・インテークマニホールドなどを採用し、エンジンも最新技術満載だった。
大ヒットした2代目を凌ぐ人気を獲得した3代目は、バブル時代に生まれたデートカーを象徴するクルマとなったのだ。
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1980年代、日産「スカイラインターボRS」やトヨタ「ソアラ・ツインカム24」などは高性能ぶりをアピールした。一方で2代目プレリュードは、ラヴェル作曲の「ボレロ」をBGMにしたCMでスタイリッシュさをアピールし、華麗に登場した。プレリュードは、走りを楽しむ硬派なクルマではなく、女性を助手席に乗せて華麗には走るちょっと軟派なクルマの筆頭だったのだ。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれない。