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■排気量を拡大した最強FFホットハッチ
2001(平成13)年12月6日、ホンダの最強FFホットハッチ「シビック・タイプR」の2代目がデビュー。前年に発売された7代目「シビック」にスポーツグレードがなかったため、欧州向けに設定されていた3ドアハッチバックをベースにして英国で生産したものを、日本に輸入するという形がとられた。
ホンダのスポーツスピリットを凝縮したタイプR
究極のピュアスポーツを追求するホンダのタイプRは、1992年に「NSX」に初めて設定された。NSX・タイプRは、3.0L V6 DOHC VTECエンジンを搭載し、最高出力280ps/最大トルク30kgmを発揮。運動性能をより高めるために、徹底的な軽量化を行ない、ベースに対して120kgもの軽量化に成功した。
1995年には、第2弾となる「インテグラ・タイプR」が登場。搭載エンジンは、1.8L直4 DOHC VTECをベースに、約60点にもおよぶ新設計パーツを組み込んで200ps/18.5kgmを発揮。トルク感応型ヘリカルLSDやハードサスペンション、レカロ製バケットシートなどでスポーティな走りをアピールした。
NSX、インテグラに続いた第3弾がシビック・タイプR(EK9)
初代シビック・タイプRは、6代目シビックのハッチバック「SiR」をベースに、各部を徹底的にファインチューニングして、1997年8月に市場デビューを果たした。開発では、NSXやインテグラのタイプRに比してより身近な存在のFFホットハッチとして、サーキットで他を圧倒する走りを発揮しながらも、一般路でも楽しめることを目指した。
ボディ剛性を高めた上で低重心化し、サスペンションのハードチューニングやブレーキ強化など施し、さらにスポイラーなどエアロパーツ、軽量アルミホイール、MOMO製ステアリング、レカロ製バケットシートなどが装備された。
心臓部のエンジンは、1.6L直4 DOHC VTECエンジンをチューンナップして、最高出力185ps/8200rpm、最大トルク16.3kgm/7500rpmを発揮し、リッター出力は世界トップレベルの116ps/Lを達成。組み合わせるトランスミッションは5速MTで、レブリミットの8000rpmまで一気に回り、1.6L NAとは思えない別格の走りを実現した。
車両価格は、200万円を切る199.8万円に設定され、走り好きの多くのファンから爆発的な人気を獲得した。
パワーアップした英国生産の2代目シビック・タイプR(EP3)
2001年12月のこの日、2代目シビック・タイプRがデビューした。前年に発売された7代目シビックに3ドアハッチバックがなかったことから、英国生産の欧州向けに設定されていた3ドアハッチバックをベースにして、英国スウィンドン工場で生産したものを日本に輸入するという形がとられた。
排気量を初代の1.6Lから2.0Lに拡大し、専用チューンナップされた2.0L直4 DOHC VTECエンジンは、最高出力215ps/8000rpm、20.6kgm/7000rpmを発生。もちろん、足回りやブレーキは専用チューニングされ、初代同様エアロパーツ、MOMO製ステアリングやレカロ製バケットシート、大型ブレーキローターなど、タイプRの名に相応しい装備が継承された。
車両価格は、220万円に設定。当時の大卒初任給は19.7万円程度(現在は約23万円)だったので、現在の価値で約257万円に相当する。2代目シビック・タイプRは、圧倒的な走りは継承されても、ベースとなったシビックのファミリーカー的なスタイリングの影響で、ボンネットと全高が高く精悍さに欠けるという不満が散見された。
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ピュアエンジンのスポーツモデルが、徐々にフェードアウトしている。次期シビック・タイプRもピュアエンジンのままというわけにはいかないであろう。水素やカーボンフリー燃料の普及を待てば、ピュアエンジンとして生き延びることも可能だが、それは10年以上も先の話になりそうだ。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれない。