つける?つけない?正月飾り【前編】

アナタはクルマに正月飾りを”つける派”?それとも”つけない派”? 実はただの飾りじゃないんです!お飾りの種類と意味を今一度考えてみた

かつては年末年始ともなるとよく見かけたのに最近はすっかり見なくなってしまった「クルマの正月飾り」ですが、あなたは"つける派"ですか? それとも"つけない派"? 今やマイノリティの"つける派"である筆者が、クルマの正月飾りのもつ意味についてちょっと解説。
REPORT/PHOTO:MotoFan.jp

正月飾りにも意味と種類があるんです

■年神様ってそもそも何者?
日本の正月といえば、玄関に門松と正月飾りを飾るのが風物詩で、これらは正月に年神様を迎えるための目印だという。
クルマにも正月飾りをつけるのは、人が中で過ごす時間も多いクルマにも神様が立ち寄ってくれるように……という思いの表れといったところだろうか?

そもそも「年神様」とは地域によって呼び方や司るものなど諸説あるようだが、新年に家々を訪れ幸せをもたらしてくれるという点は概ね共通。祖先の霊や田んぼの神様、山の神様など、諸々の神様を合わせた存在で、「正月様」「歳徳神」という呼称もある。

■クルマ用なら「しめ縄飾り」
そんな年神様をお招きする場所を示すのが「門松」であり、そこから不浄を取り除き神聖に保つのが「しめ縄」。「鏡餅」がやってきた神様の依代になる。新年の門出を祝うとともに無病息災、家内安全、五穀豊穣を願い、合わせて祖先の霊を祀る意味もある。

さすがにクルマに門松を付けたり鏡餅を飾ったりする人はいないだろうから、クルマの正月飾りといえばしめ縄系のお飾りがメインになるだろう。しめ縄飾り、あるいはしめ飾りはしめ縄に縁起物を付けたものだ。

しめ縄飾り。セット内容は扇、稲穂、水引、紙垂、海老、裏白。扇や裏白、国旗がイラストだったり、海老の造形などにツッコミを入れたい。その割に稲藁、稲穂を使っていたり、意外に手がかかっている。ちなみに、筆者は2010年から2016年までこのしめ縄飾りを愛用し続けた。(写真は2015年のもの)

おせち料理もそうであるように、しめ縄に付いている飾りにもそれぞれに意味が込められているのは他の正月飾りと同様だし、クルマ用でも基本的に変わらない。
では、その意味について見てみよう。

●しめ縄飾りの意味
扇:「末広がり」の形状から、家の末永い繁栄を意味する。
水引:吉事を願い結ぶ。
御幣・四手(紙垂):清浄な場所であることの印
しめ縄:周囲の汚れを清め、災いを防ぐ結界
橙:木から落ちずに実が育つことから、家が"代々"繁栄する
松:めでたさの象徴。常緑樹の松は繁栄の象徴で、長い樹齢は長寿にもつながる。
裏白:シダ植物で常緑なことからやはり長寿の象徴。

これらが一般的な正月飾りの装備品で、鏡餅に載せるものもそうだが橙はみかんで代用されたりする。クルマ飾りに橙まで付けると、これが外れて転がっているというのがかつての正月クルマあるあるとも言われていたようだが、筆者はあまり見たことがない。
他にもお飾りやそのセット内容には種類がある。

●お飾りの種類と意味
稲穂:豊かさの象徴で、五穀豊穣の願いを表す。
南天:「難を転じて福となす」厄災除けの意味。
海老:腰や髭の曲がった老人に喩えた長寿の象徴。
梅:他の花に先駆けて咲くことから「出世い」や「開運」の象徴。
鶴:鶴は一生同じつがいで添い遂げることから「夫婦愛」の象徴で、また「鶴は千年」と言われる長寿の象徴でもある。
扇、水引、しめ縄、鶴。紅白+金銀でめでたさ全開! 水引で作った鶴も良いアクセント。
松、南天、しめ縄、水引、御幣。色形ともバランスの良いオーソドックスな構成が良い.
水引、桜、しめ縄。シンプルなデザインは良いのだが、桜や赤い玉はめでたいイメージ以外意味がないような?
水引、しめ縄、松、梅。品数も少なくシンプルながら梅のカラーが良いアクセント
水引、しめ縄、松、御幣。構成はスタンダードながら、水引や御幣が金と紫というカラーで割と派手め。
水引、扇、御幣、しめ縄。構成要素も少なく、シンプル極まる。正直、チープ。

神様をクルマにお招きするわけだから、正月飾りを付けるのであればクルマも綺麗にしておきたい。季節柄、クルマの大掃除をするにもちょうど良いだろう。

たくさんあり過ぎて、正直どれを選んで良いやら……

■どれを選ぶ?
年末ともなると、スーパーやホームセンター、フラワーショップなどで正月飾りを見かける機会が多くなる。その多くは家用だ。では、クルマに付けるならどのようなものが良いのだろうか?
もちろん、中には「自動車飾り」と銘打ったものもあったりするので、それを選ぶのが無難ではある。

棚にズラリと並ぶ正月飾り。基本的には家用だが、クルマに付けても良さそうなものもある。最近は100円ショップでも売られており(100円とは限らないが)、選択肢は意外と多い。

筆者が2016年まで使っていた稲穂付きの飾り(前述の画像参照)は、走行風でボンネット側に捲り上がることがままあり、それが多少気になる点ではあったので、2017年以降は小ぶりなものに切り替えた。
さすがに橙(だいだい)付きの立派なモノを付けて、橙を落とす人は今は稀だろうし、昨今はクルマからの落下物の責任問題も取り沙汰されるので、その辺りも考慮した方が良い。

上の棚の左寄りが自動車飾り。300円から400円くらい比較的小ぶりなものが並ぶ。

また装着方法も、以前は結束バンドなどでフロントグリルに固定していたが、面倒になってきたので2020年からは吸盤タイプのものを室内に付けるようになった。
“自動車用”として売られているのはだいたい吸盤タイプだし、装着方法としては非常に手軽だ。ただ、吸盤タイプだと”正月飾りらしく”フロントグリルに付けるのは難しくなる。

「交通安全」なのでクルマ用だと思われるが、クルマに付けやすいギミックはない。汎用的ではあるが、装着には工夫がいる。この時は結束バンドを使って固定した。
吸盤タイプは室内使用が前提。外装に付けたら簡単に落ちてしまう。主にウインドウガラスの内側に付けることになるが、これにも実は問題が……。

付けやすさやデザイン、縁起物の構成、お値段など、最終的にはそれぞれの好みで良いだろう。だいたい「迎春」や「賀正」「開運」「謹賀新年」など、縁起物の文言が記されているが、”クルマ用”であれば「交通安全」を選ぶのも、セレクトの理由になるかもしれない。

吸盤タイプの汎用ミニ飾り。干支をあしらったデザインも多い。某有名人のプロデュースで、色ごとにご利益が設定されているようだ。
そう!近年の自転車ブームもあってか、”自転車用”もラインナップ。しかも、結構売れている模様。筆者も免許取得前は自転車に正月飾りを付けていた。
こちらは「交通安全祈願済」の「厄除け”車”飾り」だけにクルマ=乗り物向けなのは間違いないだろう。陳列具合から見て、やはり結構売れているように見える。

■いつ付ける? いつまで付ける?
まず、クルマ用に限らず正月飾りは縁起が悪いとされる”一夜飾り”と、”二重苦”に通じる29日を避けて12月28日まで付けるのが良いとされる。前記の理由なら30日でも良さそうだが、それについての解説は見たことがない。
付け始めも13日からOK説と26日以降説があったりするが、忙しい師走の中頃から付ける人はいないだろう。

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