人工知能(Artificial Intelligence)は、医学や金融などの領域で発展し、モノづくりの分野でも一時の休息から目覚め、近年ようやく高次・高質の研究開発に戻りつつあります。2024年春、次世代の超伝導量子コンピューターが再び脚光を浴び、期待の研究開発が動き始めました。
量子コンピューターを耳にしたのは、20数年前のこと。1980年には、量子力学の理論を応用した次世代コンピューターとして注目されていました。1999年には、NECが世界初の超電導の基本素子となる量子ビットを実現し、内外から注目されました。
当時「ビックリ仰天」、田町のNECを学生諸氏と訪ねたことが思い出されます。時をおいて、2023年、理化学研究所が富士通などと国産初の量子コンピューター2号機を開発・稼働。かくして再度、国を挙げての本格的な取組みへ。自然科学研究機構・分子化学研究所(岡崎市)が主体となる体制創りと本格胎動に期待は大です。
新たな動力源によるシン自動車開発では、膨大な情報処理が不可欠。ヒトの脳神経回路のアルゴリズム(9世紀前半・アラビアの数学者、フワーリズミーによる理論)を用いた「ディープラーニング・ニューモデル」が検討されています。このシステムは、「ニーズステージ<A1>」、「ニーズステージ<A2>」そして「シミュレーションステージ<B>」の3ステージから成ります。
まず、ニーズステージ<A1>は、様々な学術分野すなわち「機械、電子・情報、政治・経済、デザイン、環境学、医学・心理学、哲学などの関係者」によるモビリティ検討会を開催し、ハード・ソフト・マインド・アドミンウエア等の要求性能を議論。その内容を人工知能が自動解析してクルマ創りの仕様を自動的に作成。更にそれらを基にした設計図、生産コストなどを提示。ニーズステージ<A2>では、販売を想定したユーズウエア、アドミンウエア、地域特性、経済効果そして幸福度などを議論し、それらを人工知能が解析して具体的な経理等を提示します。
次の、シミュレーションステージ<B>では、地政学や文化、幸福度指数、人口動態などを考慮し、主要国関係者とそのユーザーなどによる座談会を開催。人工知能がその内容を自動解析し、販売計画モデルや想定利潤を提示。劃してこれら<A1,A2,B>を開発責任者が受けとめてニューモデルが決定されます。このシステムは、研究試行段階とはいえ、期待は誠に大です。