「個人的に欲しいモデルベスト5」にランクするバカンチェス ふたりのくるま旅プライベート
よく「旅は非日常」などというが、実際に旅に出てみると、やはり日常生活のサイクルの延長にあることがあるわかる。その生活サイクルは、夫婦と言えど違うし、同じペースで寝起きするのはなかなか難しい。
昨今は、カップルができるだけ別々の時間を持ち、車内でパーソナルスペースを持てるように工夫されたキャンピングが出てきた。リンエイの「バカンチェス ふたりのくるま旅プライベート」は、その市場では先駆け的なモデルだ。
まだ登場してからそれほど時間が経っていないモデルだが、実は当初から個人的に欲しいモデルベスト5に入っていた。というのも、バンコンという空間の区切りが付けづらいカテゴリーにあって、実に巧みにパーテイション化されているのである。
まずサイドドアから入ると、開口部にクローゼットが設けられている。バリアフリーという点から見ればマイナスポイントだが、キャンピングカーというスペシャルなクルマにエントリーするという点から考えれば、ちょっと狭いくらいの方がワクワク感がある。
このクローゼットは車外・車内の両方からアプローチすることができるので、荷物の収納のしやすさは抜群だ。下部にはシューズクローゼットも設けられており、置き場に困る靴もすっきりと収納できる。
中に入ると、このクローゼットがいい「仕切り」になっている。通常のバンコンモデルは、車内の開放感を確保するために、車内の前から後ろまでズドーンと抜けていることが多い。それは確かに開放感を生んでいるのだが、同時に視界が抜け過ぎていて、落ち着き感を損なってしまう。しかし、このモデルはクローゼットが視界に入ることで、適度な「部屋感」を保っているのである。
車内にエントリーすると、すぐに対面式のダイネットが設置されている。大人が座るには少々狭いと思えるが、食事をしたり、ちょっと作業をしたりするなら十分なスペースだ。もちろんこのスペースは、シートを倒して1人分の就寝スペ−スにすることも可能だ。
もっと手脚を伸ばしてくつろぎたい場合は、車両後部にあるソファーを使いたい。ゴロンと横になり、読者をしたりTVを観たりするには最適な空間だ。こちらもベッドマットを展開すること、2人分の就寝スペースになる。
最後部右側には家具が設置されており、シンクや冷蔵庫などが収納されている。頭上の収納も可能な限り設けられており、長旅にも対応。ひとりであれば、相当贅沢な空間として使うことができるはずだ。
面白いのは車内を区切るカーテンで、前部のダイネットと後部のベッドを切り離すことができるので、カップルが別々な空間、時間を過ごすことも容易になる。
このモデルは、トヨタ・ハイエースのロング・ハイルーフがベースとなっているが、空間だけ見ていると、まるでキャブコン。これが530万円強で買えるなら、断然選択肢に入ってくる。電装系などの標準装備も充実しており、かなりお買い得なのでは…と思える1台だ。