最後の単独名モデル…日産「ブルーバード」10代目が194.3万円~デビュー【今日は何の日?1月8日】

日産10代目ブルーバード
日産10代目ブルーバード
一年365日。毎日が何かの記念日である。本日は、長く日産自動車の中核モデルとして人気を獲得してきた「ブルーバード」の10代目が誕生した日だ。1959年に誕生して以来、小型乗用車市場をけん引したブルーバードは、10代目を迎えて単独車名・ブルーバードとしての42年間の歴史に幕を下ろした。
TEXT:竹村 純(Jun TAKEMURA)/PHOTO:三栄・新型ブルーバードのすべて

■ブルーバード復権をかけた最後の10代目ブルーバード

1996(平成8)年1月8日、日産自動車から10代目「ブルーバード」がデビューした。10代目となったブルーバードは、直線基調の落ち着いたスタイリングで優れた走りと安全性をアピールしたが、セダン冬の時代では存在感を示せず、ブルーバード最後の世代となってしまった。

日産10代目ブルーバード
日産10代目ブルーバード

名車ブルーバードの歴史を振り返る

初代「トヨペットコロナ」
1957年に誕生した初代「トヨペットコロナ」

・初代(310型:1959年~):トヨタ「コロナ」に対抗して2年遅れで誕生
1957年に誕生したトヨタ「トヨペットコロナ」に対抗して、日産はブルーバードを投入。親しみやすい丸みを帯びたフォルムで、パワートレインは、1.0L&1.2L直4 SOHCエンジンと3速MTの組み合わせ、駆動方式はFRだった。ブルーバードは、1ヶ月で8000台を受注してライバルのコロナを圧倒、連続64ヶ月小型乗用車トップに君臨、これを機に“BC(ブルーバード×コロナ)戦争“と呼ばれる熾烈な大衆車のトップ争いの火ぶたを切った。

初代「ダットサン・ブルーバード」
1959年に誕生した初代「ダットサン・ブルーバード」。丸みを帯びたフォルムが特徴
日産2代目410ブルーバード
日産2代目410ブルーバード

・2代目(410型:1963年~):SSSが誕生してスポーツモデルが人気に
ピニンファリーナ社に依頼した尻下がりデザインが不評で、首位の座をコロナに譲った。それでも、追加されたスポーツモデル「SS」や「SSS(スーパースポーツセダン)」は、人気を獲得した。

・3代目(510型:1967年~):歴代ブルーバードで最も成功
スーパーソニックラインと呼ばれるシャープなフォルムを採用して大ヒット、再びコロナから首位を奪回。1.6L高性能エンジンを搭載した「ブルーバード1600SSS」は、1970年のサファリラリーで総合優勝を飾った。

日産3代目「ブルーバード1600SSS」
1967年にデビューした大ヒットした日産3代目「ブルーバード1600SSS」
日産4代目「ブルーバード」
1971年にデビューした日産4代目「ブルーバード」。サメブルの愛称で親しまれた

・4代目(610型:1971年~):サメブルの愛称で人気はやや下降
ブルーバード Uというサブネームをつけ、大型化・高級化を図るも人気は低迷。特にフロントフェイスがサメに似ていることからサメブルと呼ばれて、再び首位から陥落した。

・5代目(810型:1976年~):オイルショックと排ガス規制が直撃
デザインを見直し、シンプルなスタイルに原点回帰。しかし、オイルショックや排ガス規制の対応に追われて、商品力強化が上手くいかず首位奪還とはならなかった。

日産5代目「ブルーバード(ハードトップ)」
1979年にデビューした日産5代目「ブルーバード(ハードトップ)」、洗練されたシャープなスタイル
日産6代目910ブルーバード
日産6代目910ブルーバード

・6代目(910型:1979年~):27ヶ月連続で小型乗用車トップに君臨
大きな角型ヘッドライトを組み込んだ直線基調のシャープなスタイリングと、俊敏な走りが評価されて人気が爆発。販売台数は、27ヶ月連続で小型乗用車トップに君臨し続け、ライバルのコロナを圧倒した。

・7代目(U11:型1983年~):初のFF車となり、ダットサンの冠が外れた
最大の注目は、FRからブルーバード初のFF車になったこと、また車名からダットサンが外れてブルーバードの単独名となった。先代の陰に隠れて印象は地味だったが、人気を引き継いで好調な販売を記録した。

日産7代目「ブルーバード」
1983年にデビューした日産7代目「ブルーバード」
日産8代目U12ブルーバード
日産8代目U12ブルーバード

・8代目(U12型:1987年~):ブルーバード初の4WD登場
やや丸みを帯びたスタイリングに変わり、ブルーバード初の4WDを搭載。トップグレードには、1.8L DOHCターボを搭載し、日産独自開発のフルタイム4WD(ATTESA)が採用されて注目を集めた。

・9代目(U13型:991年~):ユニークな機能を装備
ハードトップは、ブルーバードとして初めてセンターピラーのあるピラードハードトップを採用。車内騒音を軽減さ
せるアクティブノイズコントロールやフロントウインドウに速度や警告灯を表示するユニークな機能が採用された。

日産9代目U13ブルーバード
日産9代目U13ブルーバード

ブルーバード最後のモデルU14型

日産10代目ブルーバード
日産10代目ブルーバード

1996年1月のこの日、10代目ブルーバードがデビュー。ボディタイプは、オーソドックスな直線基調の落ち着いた4ドアセダンのみ。パワートレインは、2.0L(145ps)&1.8L(125ps)直4 DOHCと2.0L(76ps)直4 SOHCディーゼルの3機種エンジンと、5速MTおよび4速ATの組み合わせ。駆動方式は、基本FFだが一部グレードに4WDが用意された。

日産10代目ブルーバード
日産10代目ブルーバード

ボディは、先進の衝撃吸収構造、さらに前席のデュアルSRSエアバックとABSが標準装備されるなど、安全性も充実していた。車両価格は、ガソリン(2.0L/MT)の標準グレード194.3万円/スポーツグレード197.5万円。当時の大卒初任給は19.5万円程度(現在は約23万円)だったので、単純計算では現在の価値で229万円/233万円に相当する。

日産10代目ブルーバード
日産10代目ブルーバード
日産10代目ブルーバード
日産10代目ブルーバード
日産10代目ブルーバード
日産10代目ブルーバード
日産10代目「ブルーバード」のコクピット
日産10代目「ブルーバード」のコクピット
日産10代目「ブルーバード」のフロントキャビン
日産10代目「ブルーバード」のフロントキャビン

セダンとしての完成度は高い10代目ブルーバードだったが、セダン人気は低迷期に入っており、完成度に関係なく販売は低迷し、単独車名ブルーバードとして最終モデルとなった。

日産「ブルーバード・シルフィ」
2000年にデビューした日産「ブルーバード・シルフィ」。オーソドックスなノッチ型セダン

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その後、ブルーバードの後継として11代目で「ブルーバード・シルフィ」に、2012年には「シルフィ」に引き継がれ、この時点でブルーバードの名は完全に消えた。しかし、シルフィも2021年に国内販売を終えることになったのだが、なんと中国では毎年40万~50万台超の販売台数を記録する大ヒットモデルとなっている。ブルーバードの名は消えても、その後継車は世界で頑張っているのだ。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれない。

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著者プロフィール

竹村 純 近影

竹村 純

某自動車メーカーで30年以上、自動車の研究開発に携わってきた経験を持ち、古い技術から最新の技術までを…