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TOYOTA YARIS CROSS
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SUZUKI XBEE
後席の広さはヤリスクロスよりもクロスビー


同じコンパクトSUVだが、内外装から受ける両車の印象は対称的だ。ヤリスクロスは都会的なエクステリアデザイン採用しており、インテリアはSUVテイストを取り入れつつ機能的にまとめられている。
一方のクロスビーは、個性的な内外装デザインが特徴だ。丸みを帯びたボディに加え、ホイールやバンパー形状もレトロなSUVを思わせる作りになっており、アウトドア志向のユーザーに好まれるデザインと言えるだろう。
内装はオフロードカースタイルを基調としてカジュアルに仕上げられ、ヤリスクロスと比べるとポップな雰囲気だ。ダッシュボードにはカラーパネルが配置されるなど、インテリアにもエクステリアと同様に遊び心が感じられる。
ボディ全長と全幅はヤリスクロスのほうが一回り大きい。しかし、高い全高も相まって後席空間はクロスビーのほうが広い。その分、荷室空間は相応に切り詰められてはいるが、クロスビーには後席座面の前後スライド機構が備わるため、乗車人数や荷物の量に応じて荷室空間を調整できるようになっている。
トヨタ ヤリスクロス G
ボディサイズ=全長4180mm×全幅1765mm×全高1590mm
ホイールベース=2560mm
車両重量=1120kg
タイヤサイズ=205/65R16(前後)
スズキ クロスビー ハイブリッド MV
ボディサイズ=全長3760mm×全幅1670mm×全高1705mm
ホイールベース=2435mm
車両重量=960kg
タイヤサイズ=175/60R16(前後)
燃費性能はヤリスクロスが勝るが、総合的な経済性では…


ヤリスクロスのエンジン排気量は、このクラスで標準的な1.5Lだ。対するクロスビーは1.0Lとなる。しかしクロスビーはターボチャージャーとマイルドハイブリッドシステムで小さな排気量を補い、ヤリスクロスと同程度のトルクをより低い回転数から発生する。
加速性能は車重の軽さも相まってクロスビーのほうが優れる。両車のWLTCモード平均燃費は、ヤリスクロスが19.4km/L(ガソリンGグレード)、クロスビーが18.2km/L(MVグレード)とヤリスクロスに軍配が上がるが、市街地燃費ではマイルドハイブリッドシステムのモーターアシストが活きるクロスビーが優れる。
また排気量1.0Lのクロスビーは自動車税区分がヤリスクロスのひとつ下となる。経済性で優れるのは僅差でクロスビーだと言えそうだ。
トヨタ ヤリスクロス G
エンジン形式=直列3気筒ガソリン
排気量=1490cc
最高出力=120ps/6600rpm
最大トルク=145Nm/4800〜5200rpm
トランスミッション=CVT
駆動方式=FWD
スズキ クロスビー ハイブリッド MV
エンジン形式=直列3気筒ガソリン+モーター
排気量=996cc
最高出力=99ps/5500rpm
最大トルク=150Nm/1700〜4000rpm
トランスミッション=6速AT
駆動方式=FWD
生真面目な性格のヤリスクロス vs. 遊び心と緩さが魅力のクロスビー




車両価格はヤリスクロスのほうが7万円ほど高い程度で大きな差はない。各スペックだけを見ればクロスビーが優勢と言えそうだが、走行安定性はヤリスクロスの方が圧倒的に上だ。その差は高速道路や峠道などの高負荷走行時ほど顕著に現れる。
クロスビーは軽自動車のスズキ ハスラーを単に大型化したクルマではなくコンパクトカー用プラットフォームをベースにしており、走行性能に関しても全体がそつなく仕上げられている。しかしシャシーの洗練度に注目すると、日本より速度域が高い欧州仕様そのままの形で販売されるヤリスクロスには敵わない。
その代わりクロスビーは、シートやラゲッジスペースの下に取り外し可能なボックスが備わるなど、車内各部のユーティリティーはアウトドアユースに照準を絞っている。もちろん、これらの装備や機能はアウトドアレジャーだけでなく日常用途においても高い利便性を発揮する。
クルマとしての総合力で優れるのはヤリスクロスとなるが、遊び心あるデザインや多用途性が光るクロスビーはアウトドア志向が強いユーザーにとって魅力的な選択肢となるだろう。