6速MTのホンダ シビック RS vs. 圧倒的な速さのスバル WRX S4 GT-H!スペック以外の違いにも注目せよ

ホンダ シビックには「タイプR」、スバル WRX S4には「STI Sport R」というトップエンドモデルが存在するが、それ以外のモデルも十分にスポーツモデルと呼べる性能を備えている。2024年9月に登場したシビックの「 RS」と、WRX S4の最廉価グレード「GT-H EX」のスペックを比較して装備や使い勝手の違いをみてみよう。

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実用性はシビックが高い!WRXも使い勝手は悪くない

ボディサイズはWRX S4のほうが一回り大きいが、後席空間はシビックのほうが膝周り、頭上空間ともにわずかに余裕がある。

シビックは海外を主戦場としているだけあって、リヤシートサイズが大きめで大柄な人でもゆったりと乗れる。WRX S4は背もたれとヘッドレストを低く抑えて後方視界を確保しているのは0次安全を唱えるスバルらしい配慮といえるだろう。

シビックはハッチバックである一方、WRX S4はノッチバックとなるため、使い勝手に優れるのはシビックだ。WRX S4も十分なトランク容量と大開口のトランクスルー機能を備えているが、ボディ剛性を高めるためかトランク開口部が狭くなっており大きな荷物は積みづらい。

加えて、WRX S4は張り出したブリスターフェンダーとサイドスポイラーにより乗降性にも劣る。スポーツモデルであっても後席や荷室を使うことは多いだろう。荷室の使い勝手も含めて実用性はシビックのほうが上だ。

ホンダ シビック RS
ボディサイズ=全長4560mm×全幅1800mm×全高1410mm
ホイールベース=2735mm
車両重量=1350kg
タイヤサイズ=235/40R18(前後)

スバル WRX S4 GT-H EX
ボディサイズ=全長4670mm×全幅1825mm×全高1465mm
ホイールベース=2675mm
車両重量=1600kg
タイヤサイズ=245/40R18(前後)

操る楽しみがひとつ多いシビック vs. 絶対的な速さのWRX

エンジンスペックはWRX S4がシビックを大きく上回る。「GT-H EX」はWRX S4の最廉価グレードではあるが、パワートレインや基本的なシャシー構造は「STI Sport R」と共通だ。

しかし、シビックも負けてはいない。排気量あたりの出力ではWRX S4に勝っており、電動ウェイストゲートによる過給圧制御で小排気量ターボながら高いアクセルレスポンスを実現している。ただし、250kgの車重差があっても加速性能はAWDと大トルクによりWRXが圧倒する。

シビックRSは6速MTを搭載する点が特徴であり、軽量フライホイールとタイプRにも搭載される「レブマッチシステム」による自動回転数合わせにより誰でも気持ちよくMTを操れる。

対するWRX S4のトランスミッションはスポーツ走行には不向きとされるCVTで2ペダルだが、搭載される「スバルパフォーマンストランスミッション」はスポーツモード選択時に8段のステップ変速制御となり、デュアルクラッチトランスミッション並の変速速度とダイレクトな動力伝達を可能とする。

絶対的な速さを備えるWRX S4と、クルマを操る楽しみがひとつ多いシビックで好みは大きく分かれることだろう。なお、WLTCモード平均燃費はシビック(RS)が15.3km/L、WRX(GT-H EX)が10.8km/Lとなっており、どちらも燃料はハイオクだ。

ホンダ シビック RS
エンジン形式=直列4気筒ガソリンターボエンジン
排気量=1496cc
最高出力=182ps/6000rpm
最大トルク=240Nm/1700〜4500rpm
トランスミッション=6速MT
駆動方式=2WD(FF)

スバル WRX S4 GT-H EX
エンジン形式=水平対向4気筒ガソリンターボエンジン
排気量=2387cc
最高出力=275ps/5600rpm
最大トルク=375Nm/2000〜4800rpm
トランスミッション=CVT
駆動方式=AWD

価格差わずか8万円!パワートレイン以外は共通点も多い

両車は価格も近く、その差はWRX S4のほうが8万円ほど高いだけだ。実用性はシビックのほうが高い。動力性能は圧倒的にWRX S4が勝る。

しかし、それ以外の点では共通点も多い。両車ともにステアリング剛性を高めるとともに滑らかな操作を実現する2ピニオンステアリングラックを採用し、サスペンションの構成もよく似ている。どちらも機械式ダンパーとなるが、スポーツモデルとして高い性能を備えているのは確かだ。

車内の快適装備もおおむね同じといえるだろう。どちらも前席にはシートヒーターが標準で備わり、後席用のエアコン吹き出し口も備えている。WRXは後席左右にもシートヒーターが備わるが、日常的に使いやすいのはシビックの方であり、フォーマルな場にも違和感なく溶け込む外観となっている。

両車ともに独自の魅力があり、それは代替できるものではない。より興味を惹かれる方がベターなクルマだ。

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