「シビック タイプR」と「スバル WRX S4」実力を比較! FF×AWDか? CVT×MTか?

国産スポーツモデルのなかでも大きな注目を集めるホンダ シビックタイプRとスバル WRX S4。駆動方式もキャラクターも異なる2台だが、ホンダとスバルのスポーツカー精神が強く反映されている点は共通だ。それぞれのスペックから両車の魅力を深掘りしてみよう。

室内の余裕はシビックタイプRがリード、装備と重量のバランスではWRXが優位

シビックタイプRのボディサイズは、全長4595mm×全幅1890mm×全高1405mmと、ロー&ワイドなプロポーションが特徴的だ。

北米で高い人気を誇るシビックをベースとしているだけあって、シビックタイプRはハッチバックスタイルながらも定員となる4人がしっかりと乗れる空間が確保されている。リアシートの着座姿勢も無理を強いられることなく、生粋のスポーツモデルながら快適性は非常に高いといえるだろう。

ノッチバックセダンとなるWRX S4のボディサイズは全長4670mm×全幅1825mm×全高1465mmとなっておりシビックタイプRと大きな差はない。ただし後席の居住性は、広さよりもシートの質感や静粛性に重きを置いた設計となっており、シビックタイプRとは快適性の方向性が異なる印象だ。

また、車両重量はシビックタイプRの1430kgに対して、WRX S4は1610kgと約200kgの差がある。この違いは水平対向エンジンやAWDシステム、CVTといった装備の影響が主であり、車体は重くとも大きなマイナス要因とはならない。

ホンダ シビックタイプR
ボディサイズ=全長4595mm×全幅1890mm×全高1405mm
ホイールベース=2735mm
車両重量=1430kg
タイヤサイズ=265/30ZR19(前後)

スバル WRX S4 STI スポーツR EX
ボディサイズ=全長4670mm×全幅1825mm×全高1465mm
ホイールベース=2675mm
車両重量=1610kg
タイヤサイズ=245/40R18(前後)

駆動方式とトランスミッションの違いが走行フィールを分ける要因に

シビックタイプRは2.0L直列4気筒VTECターボを搭載し、FF車としては驚異的な最高出力330PS、最大トルク420Nmのスペックを誇る。大トルクを受け止めつつ、高い接地感と旋回性能を実現する優れた足回りこそがシビックの速さの肝といえるかもしれない。

一方のWRX S4は、2.4L水平対向4気筒ターボを搭載し、最高出力275PS、最大トルク375Nmを発生する。排気量はシビックタイプRよりも大きく、より低回転域からトルクが立ち上がるエンジン特性となっている。

なによりWRX S4を特徴付けるのはシンメトリカルAWDだ。パワートレインの左右重量分配を揃え、前後輪の駆動力を適切に配分することで、滑りやすい路面やハイスピードコーナリング時でも安定した挙動を維持しやすい点が強みとなる。

純粋なドライバビリティや絶対的な出力を重視するならシビックの方が適しているといえるだろう。対するWRX S4はスポーツ走行のみならず、悪天候時やロングドライブ時の安定性と安心感が光る。

なお、WLTCモード平均燃費はシビックが12.5km/L、WRXが10.7km/Lとなっており、軽量なうえ駆動系の動力損失が少ないシビックにやや分がある結果となっている。

ホンダ シビックタイプR
エンジン形式=直列4気筒ガソリンターボ
排気量=1995cc
最高出力=330ps/6500rpm
最大トルク=420Nm/2600〜4000rpm
トランスミッション=6MT
駆動方式=2WD(FF)

スバル WRX S4 STI スポーツR EX
エンジン形式=水平対向4気筒ガソリンターボ
排気量=2387cc
最高出力=275ps/5600rpm
最大トルク=375Nm/2000~4800rpm
トランスミッション=CVT
駆動方式=4WD

価格差に見合う価値をどう見るか、それぞれが示すユーザー像

シビックタイプRの価格は499万7300円、WRX S4は502万7000円だ。価格は接近しており、選び方は「どこを走るか」「何を重視するか」によって大きく変わる。

高出力なエンジンと前輪駆動ならではのシャープでダイレクトな操作感など、スポーツカーとしての本質を追求したいユーザーにはシビックタイプRが適しているといえる。

WRX S4はベースグレードに比べて、専用チューニングのサスペンションや内外装の質感向上などスポーツ性と快適性の両方を強く意識した仕上がりだ。

日常の足としても使い、高い運動性能に加えてロングツーリングや悪天候での安心感も求めるならWRX S4の安定したAWD性能と快適装備が強い魅力となりそうだ。

車両本体価格

キーワードで検索する

著者プロフィール

ピーコックブルー 近影

ピーコックブルー

クルマやバイクの分野では日本最大級の記事配信数を誇るコンテンツ・プロダクション。ビギナー向けのやわ…