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■50年間愛され続けたモンキー、ついにラストモデルを発表
2017年(平成29)年6月22日、ホンダの原付バイク「モンキー」のラストを飾る記念モデル「モンキー・50周年スペシャル」の500台限定販売が発表された。1967年の国内デビュー以来、キュートなデザインと使い勝手の良い原付バイクとして50年もの間、多くのユーザーに愛され続けたが、ついに終焉を迎えることになったのだ。

遊園地の遊具から進化したモンキー

モンキーの原型は、ホンダが経営していた遊園地“多摩テック”の遊具として開発された5インチのホイールを履いた小さなバイクだ。これをベースに、1963年に小さくて楽しいレジャーバイクとしてCZ100が輸出モデルとしてデビュー。海外で人気となったことから、1967年から国内で「モンキー(Z50M)」とネーミングされて販売が始まった。
モンキーは、構造が簡単な超小型・軽量、さらに分解組立が簡単なことが特徴の原付バイクで、エンジンはスーパーカブシリーズ用の最高出力2.5ps/最大トルク0.31kgmを発揮する49㏄空冷単気筒OHV 4ストロークを搭載。変速機構は、3速MT(自動遠心クラッチ)が組み合わされた。
モンキーは、スーパーカブに次ぐロングセラーであり、1978年には大きなタンクを積んだアクティブな兄弟車「ゴリラ」がデビュー。クルマに積んで目的地で楽しむことを前提としたモンキーとは異なり、ゴリラはツーリングで目的地まで移動できる、より実用的なモデルとして人気を獲得した。
モンキーのバリエーション進化の軌跡
モンキーは、1967年の発売以来、小さな変更も含めてユーザーの期待に応えるように数多くのバリエーション展開を図った。代表的なモデルを取り上げると、以下の通りである。


・1969年:走行性能を向上させるため、8インチホイールに大型化して、フロントフォークのサスペンション、バッテリー、ウィンカーを標準装備。
・1970年:フロント部とボディが分離できるセパレートタイプを追加。
・1974年:燃料タンクを2.5Lから4Lの台形タンクに拡大。リアもリジットからスイングアーム式に変わって、前後ともサスペンション式になり、エンジンはOHVからOHC機構に変更。この世代のモンキーが米国で大ヒットして、世界中にモンキーの名が広まった。
・1978年:燃料タンクが4Lから5Lに拡大され、大きなシートやキャリア、ヘッドライトなどアメリカンな雰囲気にイメチェンした。
・1985年:出力と燃費を向上させた新エンジンを採用、出力が3.1ps/0.32kgmに向上し、さらにMTが4速化されて、90km/Lの低燃費を達成。
・1987年:スポーティな装備とパワーアップによって走りが楽しめる「モンキーR」を追加。
・2009年:2008年に一旦生産終了となったものの2009年に復活。排ガス規制適合のためにFI(電子制御インジェクション)化され、三元触媒を搭載。出力は、3.4ps/0.35kgmに向上したが、排ガス対応と大幅な車体の変更によって、価格がそれまでの約1.5倍に上昇。



ラストを飾るに相応しいメッキを多用した50周年記念モデル

モンキー誕生から50周年という節目の2017年、ホンダはモンキーの生産終了を発表。同年6月のこの日に有終の美を飾るラスト記念モデル「モンキー・50周年スペシャル」を限定販売することになった。受付期間は7月21日から8月21日まで、限定台数500台を上回る申し込みがあった場合は抽選となった。

50周年スペシャルは、2016年に発売された「JBH-AB27」をベースに、スチール製の前後フェンダーや燃料タンク、ヘッドライトケース、サイドカバーを美しさを強調するクロームメッキで仕上げられているのが特徴。また、足回りの黒塗装で足元を引き締め、モノトーン仕様のチェック柄シートと合わせてシックな雰囲気が演出された。
さらに、タンクバッジの復刻デザインのウイングマーク、サイドカバーの50周年記念の立体エンブレム、燃料タンク上部やシート後部、メインキーの50周年記念ロゴなど、特別な装備も採用されていた。
エンジンは、PGM-FIの49cc空冷単気筒4ストロークSOHCで、点火装置はフルトラ点火である。価格は、43.2万円と少しばかり高いが、モンキーの希少なラストモデルだと考えれば、それだけの価値はある。

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バイクもクルマと同じで楽しむバイクの需要が減って、さすがのモンキーも近年は販売台数が落ち込んでいた。原付モンキーの販売終了の翌2018年には、排気量125ccエンジンを搭載して大きくなった「モンキー125」が登場した。レジャー用途だけでなく、街乗りでも軽快に走れる、より実用的なストリートバイクとしての役割を果たすという狙いがあるのだ。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれない。