スズキ ワゴンRの中古車が安い理由は流通量の多さ

1993年に登場した初代スズキ ワゴンR

スズキのワゴンRは、日本の軽ワゴン市場を牽引してきたパイオニア的存在であり、1993年の初代登場以来、広い室内空間と高い実用性で多くのユーザーに支持されてきた。

新車価格の安さと人気の高さから中古車市場にも多くの車両が流通しており、それがワゴンRが安く手に入れられる理由のひとつと言えるだろう。モデルチェンジサイクルも比較的早く、新型が登場すれば旧型の中古相場も下がることもあって、ワゴンRの中古車を安く購入するなら型落ちモデルがおすすめだ。

ただし、あまりに安い価格で販売されている個体や、古い年式の車両は故障リスクの高さからオススメできない。また、安く販売されている中古車は廉価グレードが中心であり、搭載装備にも期待できないが、通勤や通学、買い物などの用途なら何不自由なく使えるだろう。

各世代にマニュアルトランスミッション(MT)が用意されている点もワゴンRの魅力だ。前オーナーの乗り方によって寿命は変動するが、機械的信頼性自体は非常に高いため、MTを選べばトランスミッションのトラブルにも遭遇しづらい。

高年式で機能も充実!現行型6代目ワゴンR(販売期間:2017年2月~)

2017年2月にフルモデルチェンジした現行型6代目ワゴンRの発売当初の新車価格は、もっとも安いグレードで107万8920円だった。

2020年1月以降はモデルの自然吸気エンジンは、それまでのR06A型から新開発のR06D型へと変わり、燃費性能を大幅に改善。2025年現在の新車価格は発売当初より20万円ほど上がっているものの、軽自動車のなかでは依然として安い部類だ。

現行型のワゴンRでも、初期型かつ走行距離10万kmオーバーの中古車なら30万〜40万程度で売られている。2025年7月現在、走行距離5万km程度の個体なら50万円が底値であり、在庫数も豊富だ。なお、燃費性能に優れるマイルドハイブリッドシステム搭載グレードはおおよそ70万円が底値となっている。

ただしターボモデルや上級モデルのスティングレーは、流通量が少なく価格も高いため中古で購入するメリットは薄い。現行型ワゴンRを中古で安く買いたいなら廉価グレードであることが大前提だ。

高年式で機能が充実している点は現行型ワゴンRを選ぶ大きなメリットだが、ややリコールが多い傾向にある。走行不能に陥るケースもあるため、トラブルを回避するためには購入時にリコールの対応状況を確認しておくことが大切だ。

燃費性能が向上した5代目ワゴンRはMC後が狙い目(販売期間:2012年~2017年)

2012年9月に発売された5代目ワゴンRは、低燃費技術や軽量化技術が盛り込まれ燃費性能を大きく向上させた。

エンジンは新しいR06A型に変わり、減速時などに回収したエネルギーで必要電力を補う「エネチャージ」や、新アイドリングストップシステムを導入。エンジン停止中でもエアコンの送風温度を保つ「エコクール」などにより細部にわたって使いやすく改善されている。

中古車の販売価格帯は5万円〜100万円程度であり、走行距離5万km程度の個体でも30〜40万円で購入可能だ。50万円を捻出できるなら上等なワゴンRが手に入れられるだろう。

5代目には、2014年8月のマイナーチェンジでマイルドハイブリッドグレードとなる「ワゴンR FZ」と「ワゴンR スティングレー X」が追加されており、現行型と同等の燃費性能を有している。燃費性能を重視するなら5代目のマイルドハイブリッドモデルがもっとも買い得と言えそうだ。

ただしR06A型の新エンジンに変わった4代目ワゴンRは、クランクシャフトの潤滑不良により異音が発生する場合があるとスズキからアナウンスされており、該当箇所の保証期間が新車登録から10年もしくは走行距離20万kmに延長されている。

5代目ワゴンRを購入するなら、なるべく走行距離が少ない個体を探すのが得策だ。かつ新車保証継承の手続き済みの個体が最良の選択と言えるだろう。

古いけれど信頼性は高い4代目ワゴンR(販売期間:2008年~2012年)

2008年9月に発売された4代目ワゴンRは、新開発のプラットフォームの採用により全高が15mm、ホイールベースが40mm延長されており、室内空間の広さだけでなく安定性や乗り心地も旧型から向上している。ただし、より新しいワゴンRと比較すると特筆すべき点はない。

強いて美点を挙げるとすれば、4代目はK6A型エンジン最後のワゴンRであり信頼性が高い点と、自動ブレーキ等の先進安全装備やハイブリッドシステムといった装置が備わらない代わりに、それに関わるトラブルも起こらないため修理費用が安く済む点だ。価格が安いうえ、古すぎない点が4代目ワゴンRの魅力と言ってもよいだろう。

4代目の販売価格帯は1万~95万円。走行距離5万km以下の車両でも20万〜30万円で販売されており、40万円も出せれば上等な個体が買える。

これより古い年式はどうしても故障のリスクが高くなるうえ、値段もそれほど変わらないため、中古のワゴンRを買うなら4代目がもっともコスパ高となるだろう。隠れた車体のサビにさえ気をつければ、維持費を最小限に抑えながら長く乗り続けることも可能だ。