懐かしいこのクルマ、ご存知ですか? 4代目のセリカのハイエンド4WDモデルであるGT-FOUR(ST165)。
それまでFRスポーツの代表格だったセリカだが、このモデルによって一気にFFとなった。当然ここは賛否両論ではなく、否定の話題で持ちきりになるところなのに、じつは当時はそればかりではなかった。その理由がこのデザイン。
広告で「流面形」という造語を使った、そのでこぼこのないスタイルはまさにフラッシュ・サーフェイス。サイドウインドウは前から後ろまで本当にフラットな面で、リヤピラーを隠したデザインは、ガラスウインドウにルーフを載せたようなカタチ。その佇まいはすごく新鮮で、クルマ好きを唸らせたのだ。
この4代目セリカの登場は1985年。コロナ・クーペ、カリーナEDの三兄弟で、ともに流麗なボディを持ち話題となった。そして1986年に登場したのがGT-FOUR。単なる4WDということではなく、世界ラリー選手権=WRCに参戦するためのホモロゲーションモデルであることが、そそられる大きなポイントとなったことは言うまでもないだろう。
センターデフ式のフルタイム4WDと、FFでは採用されなかった2.0ℓターボエンジンの採用などが主な仕様だったが、外観的にFFモデルとの大きな違いはなく、フォグランプが装備される程度。あとはGT-FOURと書かれたステッカーが識別点だったが、それだけにこの文字に痺(しび)れたのだ。
そのGT-FOURが劇中車として起用されたのが、1987年に公開されたホイチョイ・プロダクション原作、原田知世主演の映画『私をスキーに連れてって』。セリカGT-FOURは、呉服屋の娘・真理子(原田貴和子/ST165白)、ヒロコ(高橋ひとみ/ST165赤)の愛車として登場する。
スキーブームのさらなる牽引役となったこの作品は、”スキーに行くならヨンク” だったり、車中の音楽は絶対 ”ユーミン(松任谷由実)の曲をヘビロテ” と、スキー場でのさまざまなムーブメントを生んだのだ。
やはりセリカGT-FOURと聞くと、この映画を思い出す人は少なくないだろう。