【火曜カーデザイン特集】あの時の車、そのデザイン トヨタ・セリカGT-FOUR(1986)

映画『私をスキーに連れてって』もうひとつの主役といえば ”トヨタ セリカGT-FOUR” でしょ

映画『私をスキーに連れてって』の劇中車として登場したトヨタ・セリカGT-FOUR。流面形という造語をCFで用いて、一躍注目されたのがこの4代目セリカだ。そのWRC向けホモロゲバージョンとして登場したのがGT-FOUR。なによりも新時代を感じるそのスタイルに魅了され、セリカがFFベースとなる大事件を、一気に肯定させたモデルでもあった。

懐かしいこのクルマ、ご存知ですか? 4代目のセリカのハイエンド4WDモデルであるGT-FOUR(ST165)。

それまでFRスポーツの代表格だったセリカだが、このモデルによって一気にFFとなった。当然ここは賛否両論ではなく、否定の話題で持ちきりになるところなのに、じつは当時はそればかりではなかった。その理由がこのデザイン。

4代目セリカはFFとなる大事件にも関わらず、この流麗なスタイルで人気を博すこととなる。

広告で「流面形」という造語を使った、そのでこぼこのないスタイルはまさにフラッシュ・サーフェイス。サイドウインドウは前から後ろまで本当にフラットな面で、リヤピラーを隠したデザインは、ガラスウインドウにルーフを載せたようなカタチ。その佇まいはすごく新鮮で、クルマ好きを唸らせたのだ。

こちらはFFのセリカ。先代のマイナーチェンジよりワイドなブラックのグリルにリトラクタブルヘッドライトを採用。このスタイルが受け入れられたのは、2代目プレリュードの成功によるところが大きい。
スポーティなインテリアも魅力的。

この4代目セリカの登場は1985年。コロナ・クーペ、カリーナEDの三兄弟で、ともに流麗なボディを持ち話題となった。そして1986年に登場したのがGT-FOUR。単なる4WDということではなく、世界ラリー選手権=WRCに参戦するためのホモロゲーションモデルであることが、そそられる大きなポイントとなったことは言うまでもないだろう。

エンジンは2.0ℓの直列4気筒DOHCインタークーラーターボ。FFレイアウトをベースとする横置き。

センターデフ式のフルタイム4WDと、FFでは採用されなかった2.0ℓターボエンジンの採用などが主な仕様だったが、外観的にFFモデルとの大きな違いはなく、フォグランプが装備される程度。あとはGT-FOURと書かれたステッカーが識別点だったが、それだけにこの文字に痺(しび)れたのだ。

そのGT-FOURが劇中車として起用されたのが、1987年に公開されたホイチョイ・プロダクション原作、原田知世主演の映画『私をスキーに連れてって』。セリカGT-FOURは、呉服屋の娘・真理子(原田貴和子/ST165白)、ヒロコ(高橋ひとみ/ST165赤)の愛車として登場する。

スキーブームのさらなる牽引役となったこの作品は、”スキーに行くならヨンク” だったり、車中の音楽は絶対 ”ユーミン(松任谷由実)の曲をヘビロテ” と、スキー場でのさまざまなムーブメントを生んだのだ。
やはりセリカGT-FOURと聞くと、この映画を思い出す人は少なくないだろう。

『私をスキーに連れてって』で、セリカGT-FOURとともに注目を浴びたカローラIIリトラ。劇中では三上博史扮する矢野の愛車として、この上の仕様のGPターボ(トヨタ・カローラII リトラGPターボ/EL31)が用いられた。なんと普通のハッチバックなのにリトラクタブルヘッドライトを採用する個性派。

キーワードで検索する

著者プロフィール

松永 大演 近影

松永 大演

他出版社の不採用票を手に、泣きながら三栄書房に駆け込む。重鎮だらけの「モーターファン」編集部で、ロ…