【火曜カーデザイン特集】 時代錯誤!? いや、ぐるっと回って新しいでしょ! モーガンより新型3ホイーラー発表!

3ホイーラーが魅せる「新たな旅」の提案! モーガン・スーパー3登場! 

2022年2月24日に英国のモーガンより新型車が発表された。ガソリンエンジンの3ホイーラーだ。時代錯誤? と思われるかもしれないが、そのコンセプトにはちょっとワクワクするものがある。もしかしたら、モビリティの違う道が見つかるのかもしれない。
2022年に登場したモーガンの新型モデル、スーパー3。
こちらが2011年発表、2021年生産終了の3ホイーラー。ノーズに露出したVツインエンジン&サイドのマフラーがメカニカルな魅力を漂わせる。

古いと捉えるか、新しいと感じるか

モーガンは1909年に前2輪、後1輪の3ホイーラーを製造し、1952年に製造を終了している。これでモーガンの3ホイーラーの歴史は終わったかとも思われたが、なんと2011年にVツインエンジンを搭載した新型モデルを発表した。登場した3ホイーラーは最新のディテールと伝統的アピアランス&メカニズムを適度に融合させたものだった。このモデルは大きな成功を収め2021年に生産を中止するも、今回の新型車スーパー3の登場となった。

エンジンは直3になったものの、ノーズ先端からカウル内に移り重量バランス&空力性能が大きく見直された。フロントサスペンションもプルロッド式となることで、左右ラジエターへの導風効率が高められているという。また、ばね下荷重も低減された。
スーパー3に向けたスケッチの数々。見ているだけで飽きない面白さに満ちている。サイドにカバンを固定するアイデア、テールアンダー部分を絞り込む提案などが活かされた。

どんなスタイルで登場するのかは大きな関心だったが、まさに衝撃ともいえる形となった。まるで戦闘機のようにボディ前方に露出していたOHVの古典的Vツインエンジンは、近代的なフォード製3気筒1.5ℓエンジンとなりフロントカウル内に格納された。目指したのは空力性能の向上と、何よりも重量配分の見直し。フロントアクスルの前にあったエンジンは、アクスルより完全に後方配置となって3ホイーラーの運動性能に大幅にメスが入れられたことになる。

先代モデルから現代的になったセンター配置のメーターパネルはその形状が継承されながら、デジタルに進化。ステアリングセンターの潜望鏡のようなものはオプションのナビゲーションシステム。
メーターパネル中央下のカバーを開けるとスタータースイッチが。このアイデアは先代から継承。
ツインの液晶ディスプレイによるデジタル式メーターパネル。
シンプルな表示のナビゲーションシステム。

「旅のツール」としての提案が新しい

モーガン初のアルミモノコック構造を採用。3分割のプラットフォームとなり、フロントにはアルミ鋳造製のサブフレームを持つ。ここがエンジンとサスペンションのマウント部であると同時に、左右のラジエターへの導風の役割も果たす構造となっている。エンジンを後退させたことによって、ダブルウイッシュボーン式となるフロントサスペンションのアームが長く取れているのも魅力だ。

これまでと大きく異なるのは、荷物を固定できる専用フックが左右のボディサイドにも設置されていることだ。3ホイーラーといえばボディ骨格はミニマムで、リヤに若干のトランクがあるといっても、リヤタイヤとリヤサスのストロークのために大きな空間は期待できない。また、先代モデルではボディサイドにはマフラーが配置されることで、荷物を吊るような場所としては利用できなかった。

車両のスタビリティを司るのがリヤタイヤ。それが1本しかないだけに、パニックブレーキやコーナーでのブレーキはスピンの危れも高い。そのため重量バランスの見直しは極めて重要なテーマだ。しかしこの特性を利用すれば、コーナリングはアクセリングによって独特のスキルが活かせるという。

実は、ここが大きなポイントだと思う。これまで3ホイーラーはあまり荷物が積めず、独特の走りを単に楽しむだけのスポーツカーとなっていた。しかしその実は、ユーザー調査によってわかったことは、ユーザーは冒険や旅に積極的に利用していたのだという。そこで、3ホイーラーの使われ方が明確になったのだ。

3ホイーラーは旅のためのギアなのだ。そのために荷物は左右ボディサイド、そしてリヤ上部にもアタッチメントによって固定できるように構成された。

また、そのことがこのボディデザインを決めたといってもいい。こんなコンパクトなモデルで、イギリスの田舎道などを旅すれば、実にロマンチックであることは間違いなく、またそのエキサイティングな移動に心惹かれるだろう。そんな「相棒」としての存在感をしっかりと作り上げているのが、このスーパー3のデザインなのだと思う。

バッグなどはモーターサイクルのラゲッジやアドベンチャー・アクセサリーの商品化で知られるMalle Londonと共同開発。
専用のアタッシェケースも魅力的。

EV化だってきっとアリ

バイクより少しリラックスしながら、2人のミニマムな旅のためのツール。そうした側面をスーパー3は明確化したのだ。もちろん今後にはEV化も重要になってくるが、かつてモーガンはEV3という電気自動車の3ホイーラーを開発していた。市販化まであとわずかというところで、バッテリーの供給の問題で断念した経緯があった。

もっと旅を楽しむ、これってむしろ「新しい」かもしれない。
【主要諸元】 エンジン フォード製1.5リッター直列3気筒 ・ギアボックス: 5速マニュアル ・最大出力:118bhp(87kW)/6500rpm  ・最大トルク:110lbft(150Nm)/4500rpm  ・加速 0-62(0-100km/h):7秒(最終認証待ち)・最高速度:130mph(209km/h)・燃費(複合):40 mpg(最終認証待ち)・CO2 排出量: 130g/km ・乾燥重量:635kg  ・全長:3581mm 全幅:1850mm 全高:1132mm

もし今後EV仕様の3ホイーラーが誕生できたとすれば、「アクティブな旅の新しい形」という方向性を持った、超ミニマムなモビリティとしてさらに成長していけるのでは? と、大きな期待を持ってしまうのは、自分だけの妄想だろうか。

こちら2016年のジュネーブショーに登場したEV3。市販化が実現しなかったがパッケージなどはスーパー3のヒントとなったはず。

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著者プロフィール

松永 大演 近影

松永 大演

他出版社の不採用票を手に、泣きながら三栄書房に駆け込む。重鎮だらけの「モーターファン」編集部で、ロ…