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ボーダーレスな空間づくりが開放感を感じさせる|ダイレクトカーズ・Drtve 江の島
キャブコン(キャブコンバージョン)は日本が生んだ、素晴らしいキャンピングカーカテゴリー。2tトラックの後部に居住空間となるシェルを載せたものだ。数年前まではキャブコンは一部のユーザーから注目されるにとどまっていたが、3年ほど前から急増し、コロナ禍以降は引く手あまたの人気カテゴリーに成長している。
市場には多くのキャブコンモデルが流通しているが、実は室内レイアウトに関しては、それほど多様性がないというのが実情だ。一見すると大きく見える後部も、車両の駆動系などがあるため、広いというほどではない。もちろん、各装備が合理的にインストールされているので快適だが、やはり空間に限界がある。
ダイネットは3名以上は若干の窮屈さも感じるし、天井は高いものの車内での開放感もそれなりといったところだ。しかし、ダイレクトカーズの「Drtve 江ノ島」に乗った時は「広い!」というのがファーストインプレッションだった。
その広さ感を支えているのは、巧みな空間演出だ。実はキャブコンというのは、ギャレーだ、クローゼットだ、マルチルームだと、いろいろインストールしてしまうから狭く感じてしまう。バンコンを例にとっても分かるが、車内がボーダレスなモデルほど開放感があるのである。ダイレクトカーズはバンコンからスタートしているビルダーなので、そういったセオリーをよく理解していると思う。
まずはゆったりとくつろげるU字形のラウンジソファーを車内中央に設置し、そこから取捨選択のレイアウトをスタートさせている。開放感を犠牲にしない位置に、キッチンとシンクを対面で配置。クローゼットやマルチルームを置かず、常設ベッドはバンク部分(1320×2000mm)だけ。昨今、一般住宅でも仕切りを付けないワンルームのリビングダイニングが流行しているが、まさにその手法だ。
しかし、就寝スペースがないわけではない。ラウンジソファーをマット展開すれば1770×1700mmのベッドになるし、車内後部には何と電動で降りてくる2段ベッド(900×1850mm)まで備わっているのだ。しかし、これらのベッドをフル活用する機会はそれほどないだろうし、夫婦2人ならバンクだけでも十分かもしれない。
同モデルの標準装備は、32インチTVモニター、DCクーラー、2000Wインバーター、355Wソーラーパネルなどなど、枚挙に暇が無いほど豪華だ。だが、そうした快適装備もさることながら、このモデルの一番の美点は、十分すぎるくつろぎ空間と言っていいだろう。
このモデルの名前「江ノ島」と聞くと、ヨットやクルーザーを思い浮かべる人が多いと思うが、まさに車内のイメージはそれ。海辺にクルマを駐めて、大きく開口するリヤゲートを開け放ってブランチなどでも楽しんでみれば、そこはエーゲ海か南仏かと錯覚するくらいである。
写真の車両は車両価格で978万円、税込みで1000万円オーバーというクルーザー級のプライスだが、それでもせめてキャンピングカーくらいではゆったりすごしたい人には高くないかもしれない。
ダイレクトカーズ・江の島
■車両本体価格:978万円/展示車価格:1090万7500円
■ベース車両:トヨタ・カムロード ダブルタイヤ
■乗車定員/就寝定員:9人/7人
■主要装備:リチウムバッテリー(2個)/355Wソーラーパネル/外部電源/2000Wインバーター/C-TEC走行充電/車載用DCクーラー/FFヒーター/車内スピーカー/大型32インチテレビ/HDMIケーブル/シーリングファン/電子レンジ/シンク/85L冷蔵庫/大型Rゲート/電動昇降2段ベッド/ナビ連動ドライブレコーダー/7インチWi-Fi付きナビ/コントロールパネル/ナビ連動ETC2.0/Bluetoothレシーバー/デジタルインナーミラー/バックアイカメラ/オリジナルデカール/バンクベッド/昇降式テーブル/折り畳み式ステップ/ダウンライト6個/USBソケット4個/読書灯4個/ダイニング&ベッド/グリップハンドル(ライト付き)/傘立て/網戸/ポップアップウインドウ
■展示車のオプション装備:SRSエアバッグ 2万7500円/ボディコーティング 25万3000円/足周り・強化ブレーキ 38万5000円/ダイヤモンドマジィック 22万円/サイドオーニング 24万2000円/全塗装
ダイレクトカーズ https://www.cars-drt.com/