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ラーメンもクルマもチューニング!
チューニング雑誌の編集部に在籍していた筆者は、元来チューニングやカスタマイズが大好きだ。
ラーメン店で麺硬め、味薄めにするのも立派なチューニング。万人に向けたものを自分にアジャストするのは当然のことで、長時間運転するクルマならなおのこと。
所有するクルマはとにかくチューニングしまくってきた(もちろんノーマルの良さもある)筆者だが、まず気になるのは大抵シートだ。
こればかりは体型の違いがある。体型の違いについてはこれまでも多く語られてきたことだが、さらにそれに加えてカラダの重心の使い方が人によって違うことが挙げられよう。
カラダの大小とは別の要素で、好みのシートやステアリングが変わる。ということを経験上感じるのだ。
細かい好みとカラダの使い方については今後詳しく解説していくとして、シートの話に戻そう。
とにかくシートは個人差があって、誰しもにマッチするのは難しい。これまで購入したクルマのほとんどでシート交換を行なってきたが、GR86に関してはアラ不思議、自分のカラダにすんなりとマッチしている。
まさに「絶妙」という言葉がピッタリで、適度な座面の長さとダンピング。背もたれは肩甲骨くらいまでをサポートするようにホールドし、そこから上はフリーになる。肩がフリーになるので普段乗りでも違和感がない。完全なバケットシートになると、肩が動かず、街乗りではやや使いにくいこともあるのだ。
なんとっても座面を中心に、いい感じに上下動を減衰しながら受け止めてくれるのが心地よい。これまでのウレタンだけで成形したシートだと減衰力が足りず、人間が上下にポヨンポヨンしてしまう。しかし、このシートは絶妙に減衰される。複数のウレタンを組み合わせているのだろうか。
購入したRZグレードは表皮がバックスキン的なもので、この摩擦力が心地よい。洋服と絶妙に摩擦してお尻がズレにくい。普段乗りにレザーシートのクルマにも乗っているが、レザーシートは洋服が滑って乗りにくい。なんで高級車になればなるほどシートがレザーになるのかさっぱり理解できない。中古車を買うときは、下位グレードのファブリックシートのものから選びたくなるほど。
そしていまや、快適三種の神器的な存在であるシートヒーターがついている! ほかのナニとの組み合わせで三種の神器なのかは置いておいて、シートヒーターの快適性は絶大だ。腰から背中がじんわりあたたまり、こたつに匹敵する気持ちよさである。快適すぎて眠くなるという短所はあるが、それは仮眠でカバーするしかない。
こんなに良いシートなのに!!!
しかし、初めてノーマルでいいかも、と思ったシートには大問題がぁ。非常にもったいないことに、ベルトホールが! ないのである。
すべてがよくできているGR86だけに、やはりサーキットで本来の性能を楽しんでもらいたい。自分もすでに走行しているが、ボディとエンジンの進化によって、ドライバーとクルマのシンクロ率が極めて高く、スライドコントロールもしやすい。ぜひともサーキットで全開にしてもらいたいのだ。
そんなスポーツ走行のおりには、ぜひフルハーネスを使いたいし、読者の皆さまにも使っていただきたい。
フルハーネスとはレースのときにドライバーがしている両肩にしているアレで、昔は4点式と言われて、両肩からきているベルトと腰のベルトを固定するもの。ちなみに現在は、上記に股ベルトを加えた6点式のみが正式なもので、国内のレース競技ではこの6点式シートベルトとHANSが装着義務づけとなっているのだ。
ここまでよくできた純正シートだが、4点式も装着できないのが問題なのだ。となると通常の3点式シートベルトでサーキットも走行しなければならない。3点式は安全性の面でもサーキットでは物足りなさを感じるし、カラダがホールドされないので運転がしにくい。
なぜ装着できないかというと、背もたれにベルトホールがないから。バケットシートには肩ベルトを通す穴があって、そこを通して肩ベルトがきちんとした位置に装着されることで正しく装着できるが、肩ベルトがないと安全にカラダを固定することはできないのだ。
ならばシートを交換してフルハーネスを装着するしかない。しかし、それが惜しいくらい今回のノーマルシートはできが良い。スポーツ走行が前提の車種だけに、そこだけは直していただけないかと切に願う次第である(この願いが届きますように……)。