受注停止直前に「新型フェアレディZ(RZ34)」注文した!

モーターファン.jpライターの蔵田智洋が、話題の新型フェアレディZを注文した。「7月31日をもって一旦受注を停止」との情報を受けて、滑り込みで7月28日に契約を済ませたのだ。人気の盛り上がりを受けて現場では混乱も見られる中、まったく同じ日に関西地区で注文した「友人」の例も含め、「Z注文」にまつわるナマの体験記を語る!
REPORT:蔵田智洋(KURATA Toshihiro)

ライター蔵田智洋が思う「なぜ今、新型フェアレディZを買うべきなのか」

新型フェアレディZ(RZ34)は「最後の純ガソリンエンジン搭載のZとなるかもしれない」と発売直後から大人気。S30や歴代フェアレディZを彷彿とさせるどこかノスタルジックで新しいデザインが好評。日産が自社開発したVR30DDTTエンジンは3000cc、V6ツインカムツインターボで最高出力405PSの強烈な加速性能を持つ。FRレイアウトのプラットフォームは熟成の領域に達し、マニュアル車の設定、先進の9速ATを新開発するなど、勘どころを押させた魅力的な内容で多くのファンが待ち望んでいた「Z復活」だ。

そして発売と同時に注文が殺到。ついに日産は「2022年7月31日(日)をもって、新型ファレディZ(RZ34)は受注を一旦停止する」と発表した。

私も当然、新型フェアレディZに注目し、検討していたが、クルマを見て座ってもいないのに注文するにはさすがに躊躇する高額車だ。「買ってみたい気持ちはあるけれど、自分にはまだ贅沢ではないか」そんな気持ちでなかなか決断できずにいた。


北海道の先行試乗会で新型Zに乗ったモータージャーナリストたちがレポートしているのを見ているうちに、「Zを購入し、自分好みにカスタマイズして仕上げたい!」という気持ちが湧いてきた。何人かの友人に話すと「気持ちがあるうちに買っちゃいましょう!」と背中を押され、7月28日(木)夕方、近くの日産プリンス神奈川販売株式会社「港北新羽店」を訪ね、新型フェアレディZの見積書の作成を依頼した。


ここは、かつて私がスカイライン(R32)の不具合で困っている際にも丁寧に対応してくれたこともあり、とても好感度が高いディーラーだ。閉店時間近くにも関わらず、速やかに対応してくれた営業マンは「すでに納期3年待ちを超える受注が入っており、現時点で納期は2025年度。それ以降に延期されることも考えられます。また受付最終日となる7月31日は日曜日のため、日産本社のコンピュータに本当に注文登録ができるのか、あるいは早期に打ち切らないかも不安です。万一のことを考えると明日の29日、金曜日のうちに注文した方が良いと思います」と的確なアドバイスをくれた。

見積もりは「イカヅチイエロー」と「バーガンディー」の二種類つくってもらった。

同じ日に注文しても、納期に2年半の開きがあった!

この担当営業マンは接客、車両説明共に的確で好印象だったことから、「このクルマが欲しい!」とピュアな気持ちで即決し、新型フェアレディZの注文書にサインした。クルマや担当営業マンとの出会い、縁でディーラーに入った時にはまだ買わないつもりだったのに正式注文してしまったのだ。「バージョンSTの6MT(646万2500円)でオプションを含め総額689万9380円の高額2シータースポーツカーの注文である。私にとっては「一生に一度」の大きな決断だ。納車されたら、もちろん「一生乗り続けるつもり」である。

通常の注文書とは別に「ご注文に関する同意書(新型フェアレディZ)」というものにサインした。これは、将来Zが何らかの理由で生産不可能となった場合に日産側からキャンセルできるというものだ。

「1. 本件注文書が現時点のものであること。2. 理由のいかんを問わず、日産自動車販売会社に起因して本件車両の供給が遅れ、これにより販売会社が本件車両を供給することが不可能となり、本件注文書にかかる注文がキャンセルされる可能性があること。 3. 本件車両の後継モデルとなる車両の購入を引き続き希望する場合、当該車両に関する注文書の取り交わしが改めて必要になること。4. 輸出目的の購入でないこと。登録して半年以内に転売しないこと。5. これらに違反した場合は販売会社が本件注文をキャンセルすることと今後の取引を断られる可能性があること」などが記載されていて、これに承諾して署名、捺印をした。


翌朝、7月29日(金)の朝一番で日産自動車に対し、注文を入れてもらった。私は一時金として10万円を指定口座に振込し、購入の意思を明らかにした。担当営業マンからは「納期はおそらく2025年度」と聞いていたが、実際にシステムに予約を入れてみたいところ「納期は2024年度(最も遅くて2025年3月)、約2年半待ち」と出た。もちろん、前述の通り、遅れる可能性はあるものの、嬉しい知らせだった。

私は他にも「Zの購入」を検討していた友人に連絡をして、購入したことを伝えると、何と彼もまたその日の午後、同じグレードのZを注文していたのだ。彼は関西在住だが「2025年度分はすでに締め切られており、お客様は2026年度以降で2027年度の可能性が高い」と告げられたらしい。私の方が2年半待ちに対して、実に5年待ち。同じ日でも午前、午後の注文でこれほどの開きが出るとは正直驚いた。お昼前後に全国から注文システムの入力があったのだろう。土日の締め切りで一体どれだけの注文が入ったのだろう。

契約時、納期は2024年度(2年半待ち)と言われたが。

契約したのに「抽選に変更」なんてアリなのか?

Webで情報を見ると、先に注文していたのに「いきなり「抽選」と言われて、早く注文した人が怒っている」という噂があったり、「いやいやそれは今年、2022年度納車に対する抽選らしい」とか、「7月31日までに注文した人の分は日産が作ると約束しているので大丈夫。増産もするだろう」など情報が錯綜していて、実際のところは未だ見えてこない。

私が注文した日産プリンス神奈川販売株式会社「港北新羽店」は新型フェアレディZを5台受注しており、Zの発売を待ち焦がれていた昔からのお客様にご案内して買ってもらった例が多いそうだ。7月末までの購入決断が必要で、かつ納期が長いために購入を断念した方もいたという。

今のところ、日産プリンス神奈川販売は自社の抑えている枠内で販売しており、納車に対して「抽選」があるという知らせは来ていないし、購入をお断りした例もないそうだ。しかし、メーカーや販売会社の本社から、いきなりそういった話が来て、販売店の現場では対応に追われるといった例は稀にあるそうなので、私も注文した新型フェアレディZが無事に納車されるまでは安心できないと思っておいたほうが良さそうだ。


実は納期が早まった場合を想定して15年以上持っていたスポーツカーを近日売却してしまおうかと考えていたが、もう少し経過を見て、納期が迫ってきてから動いた方が良さそうだ。もし万一、販売会社側からのキャンセルとなった場合に、先に愛車を売却してしまっては、後悔してもしきれない。

メーカー、開発者、販売会社、そして注文したユーザーもみんなが幸せになれる解決策で落ち着き、私をはじめ「このクルマが欲しい!」とピュアな気持ちで注文したすべての人に車両が行き渡ることを切に願う。

初代フェアレディZにインスパイアされたスタイリングも新型RZ34の魅力のひとつだ。

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著者プロフィール

蔵田智洋 近影

蔵田智洋

日産スカイラインGT-R(KPGC10) vs マツダロータリー勢のレース観戦をきっかけに自動車に興味を持ち、自…